<夢発信> az☆我が道を行く

<夢発信> az☆我が道を行く

幸せの青い鳥(2004/4/10)







<幸せの青い鳥>


幸せだと、思ったことはなかった。
何か足りない生活に、嫌気が差していた。

同じことを繰り返す毎日。
新しいことを始めても、
それはやがて、普通の日常に戻っていくのだ。

だから、あの地を出たかった。
ここではないどこかには、幸せがあるような気がしていたから。

だけどね。

飛んでみてやっと分かったことがある。

幸せは、ある日突然訪れるものでも、
どこかにあるものでも、
まして、苦しいことに耐えたから、手に入るものでもないんだ。

幸せはね、
「ある」ものではなく、
「感じる」ものなんだ。

感じようとすれば、いつでも感じられる。


ほら。
あの夏草のにおいは、父のかすかなタバコの香りに似ていないかい?

あんなに嫌いだったニオイだけど、少しだけ、ほんの少しだけ、懐かしささえ覚えるのだ。

ほら。
あのバナナの木は、母が庭に植えた、島バナナの木によく似ていないかい?

私が大好きだった島バナナ。
甘酸っぱい島バナナ。

この地にも、同じようなものがあるんだよ。


愛されていた記憶。
確かに愛されていた記憶。
そして今でも……。


愛されたいと願っていたあの頃。
いつも、願っていたあの頃。
願っては、裏切られるような気がして、もう認めたくなかったあの頃……。
―でも、求めてばかりいたのは誰だったのだろう―


ほら。
感じなかっただけなんだ。
十分に、大事に想われていたのに。
要求に答えることだけが、愛を示すわけじゃない。

ほら。
確かに幸せは、いつでもそこに、
感じようとすればそこにあったのだよ。


夏の海の潮の香り。
沖まで連れて行ってくれた広い背中。
真っ青な空。
一面にゆれるさとうきび畑。
新しいリボンを結んでくれた麦わら帽子。

ほら。
今なら、あたたかな風を感じるように、それを感じられる。
自分がどんなに幸せだったのかを。
そして、今も、どんなに幸せなのかを……。


2004.4.10

*よろしければ、掲示板か私書箱に感想をお書きください。
* 掲示板へ * 私書箱へ





© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: