<夢発信> az☆我が道を行く

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雪の日



「雪の日」


雪景色がみたいと君が言ったから
せめて雪をみせようと手の平にすくったのに
君の前に現れたそれは
ただの滴(しずく)になっていた

それだけのことなのに何故か悲しくて
その手の平をみつめていたら
暖かい滴がポタポタと落ちてきた

びっくりして顔を上げると
ベッドの上の君が
そんなに泣かなくていいのよと
やさしい笑顔で言った

外はあんなに白一色なのに
この部屋がこんなに温かすぎるから――
雪がびっくりしてしまったんだと分かったら
君は一生雪をみれないと思って
そう感じてしまったことがたまらなかったんだよ

心の中で君に語りかけてみるけれど
君の目が壁を通り越して
白一色の世界を夢みているから
何も言わずにそっと部屋を抜け出して
君をそのままにしておいたんだ


<1998.10.23>


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