きみのこえ

護るモノ、護られるモノ



そのうち、メールが入ってきた。


『メールを一件受信しました

FROM:ruu-tsukii』


ルウ・ツキイ ――― 月居 流宇。


私は、彼からのメールを開き、本文を読み始めた。





きみのこえ




お前は狙われている。
理由は後々話すことにする。
もう直、お前の周りにヤツラが来るだろう
俺は、お前をヤツラから護る為に此処に来た。
IDまでもを偽造して。
俺の正体も今は明かせないが、これだけは言える
お前は、護られるべき存在だ。



―― 護られるべき存在?

誰が? 私が。


彼がIDを偽造してまで私を護る目的は?


白いノートの真直ぐな罫線がぐにゃり、と歪んだ気がした。

いや、世界全体が歪んでしまった気がした。



私がそんなことを考えているうちに1時間目、2時間目、3時間目、4時間目、給食が終わり、昼休みになった。




「星川さん、ちょっと話があるんだ。」

そう声をかけてきたのは月居流宇だった。

「丁度、私も月居君に聞きたいことがあるんだよね。」



そういって私は彼―月居流宇を誰も来ようとはしないA棟とB棟の境目に連れて行った。

「こんな人気の無い所に来たらヤツラの思う壺だぞ?」

「ヤツラって何?・・・貴方は何者?」

「ヤツラ・・・仮に悪としておく。ヤツラはお前の中にあるあるものを狙っているんだ。」

「仮に?貴方が悪かも知れないと言うこと?」

「違う。仮に、と言ったのはあくまでも形式上だ。一応ヤツラも元をたどれば俺と同じ種だ。」

「シュ?人ではなくて?」

「ああ。俺は人ではない。だが、今は明かす事は出来ない」


その時だった。

ビュン、と何かが私の頬を掠めて飛んでいったのは。

「何・・・コレ・・・。」


「ヤツラだ・・・・」


「ヤツラ?」


私が振り向いた其処には、白い翼を持つ銀色の髪の青年が立っていた。


「やあ、ルーン。サマになっているじゃないか?その学生姿。」

「お前には言われたくないな。ラス」

「まぁ、良いじゃないか・・・彼女は俺に渡してもらおう。」

「断る。」



ラスと呼ばれたその青年は彼に剣を突きつけた。


「今はあの時と違う。これはお前の肉体を切り刻む。」


「そしてお前は星川さんを連れ去るのか・・・・だが、」



彼はそういった後にニッと笑った。



「俺が力を全て失ったと思ったら、大間違いだ。」



ガシャン、と窓ガラスの割れる音がした。

強い風が大きな窓ガラスを割ったのだ。


「ワッ!?」


私は、彼に抱えられて空を飛んだ。


彼には翼が生えていた。



さっきの青年と同じような真っ白な翼が。






「此処まで来れば大丈夫だろう。」


彼はA棟の屋上に降り立ち、私を放した。


「その翼・・・」



「だから言ったろ?俺は人間ではない、元をたどればヤツラと同じ種だと。」




彼は、羽を仕舞い、さっさと降りていった。


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