彩感(つれづれ日記と社労士受験)

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普通解雇と懲戒解雇

明日から来なくていいよ。朝、上司からそう言われたどうします?


まさか、この法治国家、近代国家である日本においてこんな事を言う会社はないと思いますが、もしこう言われたらどうなるのか、それを説明します。

上記の発言はいわゆる「即日解雇」といい、法律上論争のある問題なのです。すなわち、

1、 法律上の有効性

2、 解雇日はいつなのか?

ということです。

信義則と裁量権のところで説明しましたが、この即日解雇は厳格な要件が整わなければ成立しないのです。

朝、会社に出社しこの言葉を言われたら、まず必要なのは「異議を唱える事」です。

上司から解雇を通知されたら、普通の人はまず動揺すると思います。誰だって、心当たりの一つ二つはあるかもしれません。でも、自分が直観的にこれはおかしいなと思えば、まず異議を唱えることが必要なのです。



法律的にいえば、その解雇が有効ではなくても相手が追認(認めれば)すれば、成立する事がよくあります。ですから、ここで認めてしまえば後々、対抗することが難しくなります。

後で説明しますが、明らかに違法解雇であっても、解雇予告手当を受領したためにその後の訴訟が不利になってしまう場合もあります。(この解雇予告手当については、別途参照してください。)



会社の常套手段として使う方法は、「会社が解雇の決定をすれば、賞罰となり貴方に不利になるので自主退社にしたほうがいいよ」という言葉です。なぜなら、解雇という行為は会社にしても意外に経費がかかり、信用問題でも影響があるからです。労働者が自主退社を申し出るのが一番痛手のない方法なのです。この対応としては、「解雇も承諾しない、自主退社も承諾しない」と回答し、その解雇理由を確認してください。労働基準法に会社は解雇事由を労働者に明確に示さなければならないとされています。ここで解雇事由が説明されなければ、その時点でこの解雇行為は違法となります。



もうひとつ必要なのは、解雇事由と共に、その解雇が諭旨解雇なのか懲戒解雇なのかを確認することです。懲戒解雇については別ページで説明していますが、いわゆるその解雇が有効なのか裁量権を逸脱しているのかは、この種別でレベルが違います。



懲戒解雇については、社会通念上これはしょうがないというレベルでなければ認められません。たとえば横領など対外的にも影響がある場合です。先日の新聞では、一般的には横領でも100万円を超えた場合、約7割の会社が懲戒解雇をしているとの事です。ようするにこのレベルです。会社内のゴタゴタぐらいや、顧客よりクレームが来たぐらいではまず認められません。年がら年中、上司に反抗し文句を言っている社員が懲戒解雇になり、訴えた件では、裁判所はそんな事うちわもめでしょ。懲戒解雇事由には当たりませんと言っています。

ですから、上司がその部下を気にいらないとか、ふだんから反抗的な態度をしているぐらいで、懲戒解雇は不可能です。もちろん、上司の命令遵守違反ぐらいでは難しいと考えます。



要するに、たとえそれが諭旨解雇であっても、会社はそう簡単にできないと考えるのが相当だと思います。ゆえに会社より解雇通知を受けた場合、あなたが納得できなければ、承諾せず、その後善後策を考えたほうが良いと思います。



最後に言いたいのは、会社が強いのはあなたに給与を支払っているからです。会社が解雇を通知した時点で、あなたは会社と対等となり、それ以上にあなたが法的立場で守られることになるのです。


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