☆K★B★L☆~蛇蠍~☆

☆K★B★L☆~蛇蠍~☆

★君の弱さが僕の強さになる

★☆ 君の弱さが僕の強さになる ☆★

TV画面では、ある孤島に住むペンギンの生態が流されていた。

まだ産まれたばかりの子ペンギンと、母ペンギンがとり上げられ
ていた。

そこは一面断崖絶壁で、そんな大変な所なのに登り、海から4時
間もかかる森の中の集落場所で待つ子供ペンギンの為に餌を運ぶ
親ペンギン達。

「あんな崖、よう登るなぁ…僕やったら・・無理やな・・
 うわぁ~~♪可愛えぇ~ペタペタ歩いて…」

沢山のペンギン達の群れの中で、確実に自分の子供をみつけて
餌を与える姿に感動・・してるのは剛の方・・俺はと言うと・・。

素直に感動してる剛を見つめて、ほんわかしてたりする。

「・・やっぱわかるんやなぁ~♪」

画面はそんな暖かな光景や子供に生きる為に必要な事を教える
為に、餌を与える事をあえて止めてつれなくする…厳しさ。

「…やっぱおかんは偉大やなぁ~。なぁ~光ちゃん!」

剛みたいに素直に見れない自分がいる。
いつまでも変わらない少年の純粋さと繊細な心は画面に合わせ
て変わる表情からも見えて・・剛の表情に見惚れてる自分に苦
笑する。


「そりゃ~偉大やな~こんな可愛えぇ子産んでるんやからな~」

「うん、うん、可愛えぇよな~♪」

ほんとに、可愛すぎるわ~でも俺が言うてるのは、剛が思って
るペンギンやないけどね。気付いてないみたいやな~。

「ほんま、高所恐怖症やったり、泳ぐの嫌やとか言うてても何
だかんだいってもやる時はやるしな~えぇ子やで!」

「・・高所恐怖症?・・ペンギンさんそんなん言うてないで?」

「ペンギンねぇ~お腹は立派にペンギンさんやけどね~うひゃひゃ」

「・・光ちゃん?」

「おっ、見てみ!凄~いで、ペンギンの横滑り崖くだり!凄い
凄い!うひゃ~あいつお前みたいに慎重やな~ちょこちょこ移
動しとるで、怖がってまた戻っとるし・・」

画面は、子ペンギンが始めての崖降りに挑戦している所だった。

高い絶壁の崖を眺めて、意を決して挑んだだろうペンギンは不
安定な体勢を気にしてか何度かやり直している。

その姿は、スキーをしてるかのような体勢で斜めに徐々に降る。

そしてたまたま、運悪く踏ん張れなくて滑り落ちていくペンギン。

「あっ・・」

「うわ・・ぁ・・痛そうやな・・血だらけやで・・」

そうかと思うと、今度は大人たちの群れに間違って入ってしまっ
た、子ペンギンが周りから突かれて、居場所をなくし海に落ち
ていく・・。

そして、海藻に絡まってもがいていると・・大きな鳥が来て…。

「・・あ…ぁ・・」

残酷な無慈悲な現実…弱いものは生きては行けない世界。

40%は生き残れないとTVのリポートアナウンスで告げられる。

ペンギンの生態なのに何故か今いる自分達の世界にも似かよっ
てて・・。

なんだか切なくて、傍で悲しそうにして画面に釘付けの剛を
ぎゅっと抱きしめていた。

「…光ちゃん・・大丈夫やで・・」

「・・何が?」

「ペン太!ほら~無事辿り着いて海で泳いどるよ・・」

画面は、今まで成長を追っていたペンギンが海に辿り着き餌
となる魚を追っていた。

たった一人で、いつの間にか誰にも頼る事無く進んでいて…。

「・・臆病やったのになぁ...」

「人間、日々成長しとんねん!いつまでも光一さんに甘えて
られませんよ!」

「・・剛・・お前…」

ニッコリ楽しそうに笑う剛を見て自然に笑顔が浮ぶ。

「光ちゃん心配しすぎやでこれからは、2人で一緒に戦って行
きましょう~♪なっ!」

「・・おぅ!」

傍で笑ってるキミがいるから俺もまた強くなれる・・一人で弱
くなっても、2人なら最強。

---END---

2003/05/03日記UPより


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