日常・・・

日常・・・

リッカー (第二章)



あっという間に、任務までの二週間は過ぎた。
あれ以降、スコットとは会ってもないし、連絡も無いから、本当に人生を楽しんでいたのだろう。
彼らは島に一番近いとされる港に集められた。港には小さな船があり、いかにもジェットという感じだ。
すっきりと晴れ、見通しも良い。海も穏やかである。
すると後ろから聞き覚えのある声がした。
「スコットか・・・」
ネイオは直感し振り向いた。すると彼はバッグを背負っている。
「なんだスコット。武器は各自「H&K MP5A3」が配られるんだぞ。そんな自信たっぷりに」
「周りを見てみろよ。ネイオさんよ」
スコットは周りに居る、仲間達を見るようにネイオに言った。
「見てみなよ。カプランはともかく、ナイズにゼイドにイポー。皆バッグ背負っているだろ」
確かにその四人が専用のバッグを背負っていた。
するとそこへ、ボーク隊長と右腕のマニーがやってきた。
「さて諸君。そろそろ出発だ。武器は船で配布する。詳細は船に乗ってからにしよう」
ボークはそういうと、さっさと船に乗り込んだ。
「聞いたかネイオ。早く乗れだとよ」
ネイオとスコットは一番に乗り、その後をカプラン、マイン、ゼイド、バラン、O・B、ナイズの順に乗り込んだ。
船の構造はいたってシンプル。乗り込むとそこは操舵室。はしごを降り待機室。さらにその下、倉庫がある。
窓は無く、操舵室に上がらないと、前方を確認できない。ネイオは早速待機室の椅子を陣取った。
しばらくしないうちに、船は発進した。ネイオは出来れば、アメリカに別れを告げたかったが窓が無いので心の中で別れを告げた。どうせ帰ってくるから・・・という気持ちで。
自動操縦に変えたらしく、カプランも待機室に入ってきて、ボーク隊長から任務の詳細を聞くことになった。
「これから、任務の詳細を話す。よく聞いておけ。まず船が着いたらバラン、ゼイド、マニーの三人で付近を偵察。その間、残りの者達は荷物を運び出す。運び終えたら偵察隊を呼び戻し、島の地図に沿って地下通路のところへ向かう。地下通路で建物まで歩き、そして建物に着いたら行動開始だ。それぞれ武器を持ち怪物を探す」
そこまで言った時、隊員の一人、O・Bが言った。
「まってくれ、怪物ってのは・・・?」
「ああ、島に来た奴がただの遭難だと分かるまでは、動物、トラやライオンの可能性も否定は出来ないだろ。それを探すんだ」
O・Bは納得した表情と、安心した表情の二つを出した。
「どんなに長くとも五日間しかこの島には居ない。いつかたったら、島から出る。詳細はここで終わりだ。マニー、武器を配れ」
右腕のマニーは箱を取り出して銃を配りだした。
銃は「H&K MP5A3」という銃で連射も聞くし、軽く強力な銃として有名である。
さらにベレッタ92も配られた。これは単純にピストルである。隊長は別の銃を装備している。カプランは「H&K MP5A3」を配られず、レベッタ92だけである。恐らく電子機器要因だというのを愛慮してだろう。
バランは筒状のものを取り出していた。
「これはただの筒だと思うなよ。ここをおすと・・・」
すると筒から銃口のようなものが飛び出した。
「これは最新鋭の小型ミサイル発射機器だ。皆に三本くらい配る」
バランからそれが配られると、次はゼイドが筒状のものを取り出した。
「これはミサイルじゃないぞ。このボタンの前にあるカバーをはずし、ボタンを押すと・・・」
すると、なにやらカウントを始めた。
「十秒で爆発する」
その言葉を聞いたとたん、パニックになった。
「止めろ、ゼイド!!」
「早く・・」
五・・・四…三・・・二・・・
その時、ピッという音がした。
「これはまたボタンを押すことでタイマーが止められるんですよ。あ、驚いた・・?これ三本配るから」
「ッタク!!」
隊長は少し怒ったように、ゼイドを見た。
「これを配るから。二本くらい」
ゼイドはその高性能な爆弾を配った。
「ネイオ。これ・・・威力はどのくらいなのだろうな・・・」
スコットは小声で尋ねた。
しかし、初めてのものなので、ネイオにはもちろん分からない。
「知らないよ。たぶん普通の手榴弾・・・それ以上なんじゃないかな」
ネイオはまた、適当に答える。
すると隊長が言った。
「もうすぐ島だ!!おい、荷物をまとめておけ!!」
なんて早いのだろう。ネイオは疑問に思ったが、スコットが答えてくれた。
「目的地の島はそれほど遠くなく、ジェットフェリーで行けば、一時間くらいで着くところなんだ。この船は民間のものより高性能なエンジンを積んでいるから、早く着くのは当然だろうな」
スコットのいつもと違う、学者のような言葉にネイオは驚いた。
「よーし。島の港に寄せるぞ。もしかしたらぶつかるかも知れない。一応、衝撃に備えろよ」
ネイオは操舵室まで上がって港はどんなものかを確認したが、ただの木でできたやつで、港とはいえないようなものであった。そこへ、カプランがぴったりと船を寄せる。操縦はうまい。
「みんな!!降りるぞ!!」
隊長が叫んだ。かなり大きな声で、船中に響き渡る。
ネイオは自分の荷物と、共同の食料の入ったバッグを持って船から下りた。スコットも続く。
島の外見は緑。海に面している砂浜を除くと後はすべて木々。アメリカ本土から距離が数十kmとは想像もつかない。
そして、みんな降りたのを確認すると、マニーを先頭に砂浜まで歩いた。距離はそれほどでもない…。
「よし、これから作戦通りにマニー、ゼイド、バランの三人で周辺の偵察だ。その間に俺達は荷物を運び出している。それが完了したら無線で知らせる。そっちも何かあったら知らせろよ」
隊長が三人に念を押して出かけさせる。
三人は足早に木々の覆い茂る森の中へ入っていった。
「面倒くさくないか?こんなところで任務なんて」
ミサイル発射担当者のバランが早速愚痴った。
「仕方ないだろ。資金もそれなりに手に入るんだ」
ゼイドがそれに反応する。この二人、任務を嫌っているようだ。
「おいおい、ここに遭難している人たちを探すのが俺達の仕事じゃないか。きちんと任務を全うしようぜ」
マニーが二人を何とか任務に前向きに参加させようとして声をかける。んが、二人はひたすら歩を進める。
「よし、そろそろ分かれるか」
ゼイドの一言で三人は各方向へ散らばった。
ゼイドは早いとこ一人になりたかった。あまり人と任務をするのは得意じゃない。
「ふぅ、やっといってくれたか・・・」
そうゼイドが声を発した。
その時だった。
地も引き裂くような強烈な鳴き声がゼイドの耳を揺るがした。
もちろんこの声はバランやマニー。そして海岸で荷物整理をしているネイオたちにも聞こえた。
「なんだ・・・?」
スコットが不安な表情を浮かべていた。
その声を聞いた偵察部隊のマニーとバランは声のするほうへと向かった。
声のする方向へと近づいているのが雰囲気で分かってきた。
マニーは草むらの向こうでなにやら動くものが見えた。
しばらくしてその全貌が明らかになった。



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