暖冬傾向で、ゴルフ場の予約が多い!
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
224594
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
日常・・・
第七章 【盟友達の最期】
しかし脚をゾンビに噛まれたユアン、そろそろ症状が出てきた。
せきが出てきたのだ。
喘息のように肺から「ぜーぜー」という音がして、のどにも負担がかかる。
ユアンは持ってきたペットボトル入りの、ミネラルウォーターを飲み込む。
なんとなく楽になってきたように感じ取れた。
しかし、今度は頭が重くなって、傷口が痛み出してきた。
傷口をチェックしたいが見る勇気が出ない。
ユアンは壁にもたれた。
(もうこのままゾンビになってしまうのだろうか・・・その前に告白しといた方がいいよな・・・
でももう遅い・・・告白するには・・・)
「・・・アン・・・おい・・・ユアン!」
「!」
スコットに呼ばれて我に返った。
「大丈夫か?やっぱり変だぞ、お前」
「ん、あぁ、大丈夫。ちょっと考え事を・・・」
ユアンがそこまで返答した時、天井のパネルががたんと動いた。
一同は慌ててマシンガンを構えた。
「リッカーか・・・?」
クロウがさりげなく問う。
「わかんない・・・もしかしたら」
スコットが何かありげに言った。
「もしかしたら?」
「新種のモンスターが・・・」
とまで言った時、天井のパネルが外れ何かが落下してきた。
スコットは慌てて落下してきたものに標準を合わせた。
銃を持っていて手榴弾も装備している・・・普通だったら危ない人で、射殺されるかもしれない。
しかし、今回は別にOKだった。
「ルーク」
キットが叫んだ。
追ってきたのは、天井上の通気功を渡ろうと言っていたルークだった。
天井からはマックスとG.E.が顔を覗かせている。
「お前達・・・何してるの?」
ネイオが尋ねた。
「ああ、リッカーがいるから天井裏の・・・」
・・・静寂が降りた。
「リッカーがいる?」
カルロスが辺りを見回すと、つられて全員が同じことをする。
「早いとこ逃げようぜ」
「名案だスコット。マックス、降りてこい」
ネイオが天井上にいるマックス、G.E.に手招きする。
「分かった。よし、俺が先に下りる。G.E.、お前は俺が降りたらだ」
マックスはG.E.に告げると、先に脚を下に下ろす。
まだ通気功に匍匐前進状態のG.E.に小さな声で告げた。
「俺が降りたら下で支えるから・・・!」
マックスは驚きの表情をした。
次の瞬間、G.E.が凄い力で引っ張られた。
リッカーが通気功を伝って、マックスたちを追ってきていたのである。
マックスはすぐさまG.E.の両腕をつかみ、下の廊下に落下しようとした。
しかし、G.E.を向こう側から引っ張る力が強く、マックスはG.E.にぶら下がる形になった。
下にいるネイオたちも状況を察したらしく、マックスを引っ張る。
しかし、G.E.をつかんでいたマックスの両手は滑り、マックスは廊下に思い切り落下した。
G.E.はそのまま通気功の奥へと消えていき、気味の悪い悲鳴だけが残った。
「・・・・・・皆、走れ!」
一瞬の静寂を破り、我に返ったようにマックスが叫んだ。
一目散に隊員達は廊下の奥のほうへと走り出す。
迷路のような通路だ。ついには迷うだろう。
サーフは手持ちの電子地図で一生懸命確認をとろうとするが、走りながらなので思うようにはかどらない。
先頭を行くネイオとマックスの目には、高さが三メートルは超えていると思われる
大きな扉が見える。
「あのデカイもんみたいな所に走れ!!!」
ネイオが思い切り扉を押し、マックスが通る。
後続の者たちもしっかりと入る。
大きさとは裏腹、金属で出来てはいるのだが意外と扉は薄い。
最後にネイオが扉を閉め、しっかりと扉の鍵をかける。
「おお、何だここ?」
先を行っていたスコットが驚きの声をあげる。
見るとまさしくホール、アリーナだ。
一般的な学校の体育館より一回り大きく、しっかりと客席までも配置してある。
「フットボールでもするのかな?」
スコットは呟いた。
『リッカーはただ今五階・・・やばいぞ!六階に向かうエスカレータに向かってる!
皆!注意しろ!作戦通りいくんだ』
デパートのアナウンスが響く。
港区のデパートで、ジェシーらは六階でリッカーに対し、ある作戦を実行しようとしていた。
『皆、六階にリッカーがあがった!』
アナウンスと同時に、本棚の上にいたジェシーが手を上げ、振り下ろした。
すると各所から次々に銃弾が飛び出し、リッカーに命中していった。
しかし音も大きくなく、本物の銃弾ではない。
デパートにあるエアガンを片っ端から集め、それを放っているのだ。
が、本物の銃弾をまともに受け付けないリッカー、そんなもので利くわけが無い。
リッカーは弾が飛び出す方向へと駆け出した。
エアガンを放っていた一人の男が、悲鳴と共に食い漁られた。
「クソが!もう少し銃撃を激しくしろ!」
先ほどのイケメン男が叫ぶ。
「だからいったろ?こんなの無駄だよ!」
ジェシーが反論する。
「ああ、やっと分かった」
イケメン男が苦渋の顔をする。既に三人の犠牲者が出ていた。
対抗しているものもいれば、下に逃げたものもいる。
どっちが利口かは、簡単に分かるだろう。
「こうなったら頭脳戦だ」
イケメン男が言う。
「ちょ待て!頭脳戦?どうやる?」
ジェシーが聞くが、相手にもしないで本棚を軽く飛び移り、リッカーの一番近くまで行った。
「お~い、化け物~!」
本棚の上でイケメン男がリッカーを誘う。
リッカーはイケメン男に食いつこうと、本棚を登った。
しかし、イケメン男は一瞬にして本棚から飛び降り、その本棚を倒した。
登っていたリッカーは思い切り潰された。
「やったぜ。頭脳戦って言ったろ」
イケメン男は颯爽とジェシーの元へと駆けて来た。
「凄いね、日本人はやること違うわ・・・」
と、そこまで褒めた時、本棚の下からリッカーが飛び出した。
「復活か・・・」
イケメン男は一言嘆くと、走り出した。
とりあえずこの階からおさらばしたい。ジェシーもイケメン男の後を追った。
エスカレータまで、あと少しというところ、リッカーが先回りした。
「くそっ!」
二人は、別の所にある階段のほうへと向かった。
しかし、またもや先に回られる。
「くそ、頭良すぎだろ!」
「そんなに考えてないと思うけど・・・」
そんな会話をしながら、二人は逃げまとう。
しかし、ついに追い詰められた。
「やべ・・・」
壁に大きなガラスが張られている場所だ。
思い切り慌てめく外の様子が確認できる。
二人はそのガラスにぺたりと張り付いた。
リッカーが正面から睨んでくる。
「ここで終わったな・・・裕に言う、死亡フラグだ」
不思議と、沈黙の時が過ぎる。
「お前、名前なんていうんだっけ?」
ジェシーが不意に質問をする。
「ああ、俺は・・・堀内透・・・「ほりうちとおる」だ。あんたはジェシー・スィムスだっけ?」
「うん。正解だ」
「よし、また頭脳戦だ。三、数えたら右に走ろう・・・」
堀内透が提案する。
「いくぞ・・・。一・・・二・・・」
リッカーは近づく。
正直、もう終わったと思われた。
「三!」
そう叫ぶと同時に、ガラスの向こうで爆音が響いた。
二人、さらにはリッカーまでガラスの向こうに注目する。
ガラスの向こうはヘリコプターが飛んでいた。
「!? 何でヘリが・・・」
「伏せろ!!」
ヘリの方からスピーカー越しに、二人は言われるがまま、伏せた。
すると今度は銃撃が行われ、ガラスをぶち割り、リッカーめがけて派手な銃撃を行った。
弾が浴びせられるとリッカーは後退し、そのうち撤退した。
すると、割れたガラスにヘリコプターから数人の男達が飛び移った。
ジェシーの元に、一人の男が駆け寄った。
「ジェシー!!」
「あ、アフタショットさん!わざわざ?」
「ああ、いろいろとあって。複雑だったけど・・・」
アフタショットとジェシーは再会をした。
堀内のところへは自衛隊の山井が向かった。
「大丈夫ですか?怪我は?」
「ああ、大丈夫だ・・・他の人たちは?そこらにいるはずだけど・・・」
「はい、外にいた人たちは別の輸送機に移しました。もう大丈夫です」
すぐにコルトンが英語で何か喋った。
「よし、ヘリに向かおう。奴が来るぞ」
「きました・・・」
仕切るコルトンに、部下がよくない知らせをした。
リッカーは奥からもう突進してきた。
「逃げろぉ!」
誰かの声が飛び、一同は左右に分かれた。
避け遅れた一人の特殊部隊員がリッカーに体当たりをくらい、リッカーと共にヘリへと
飛んでいった。
ヘリの中に飛び込んだリッカーは操縦士を喰いに、操縦室に入ったようだ。
悲鳴が聞こえると同時に、ヘリは降下を始めた。
「やばい、早くしたに!」
コルトンの声で、一同はエスカレータへと向かった。
ヘリに乗ったリッカーは、墜落直前、器用にもデパートの壁に飛び移り側面を登っていた。
アフタショットらはエスカレータを下りに下り、三階まで来ていた。
しかし、そのエスカレータを下り終えた途端、上のエスカレータの乗り口にリッカーが見えた。
もう追いついていたのだ。
リッカーは一気にエスカレータを飛び越え、殿を務めていた隊員に飛び掛った。
「くそぉ!」
「やめとけ、逃げるのが先だ!」
銃を向けたコルトンに対し、アフタショットが静止する。
何とか一階まで来た。
しかし、出口はこのままほぼ直線に逃げる必要があった。
だが、リッカーもすぐ上に迫っていた。
「仕方ない、地下に逃げるぞ!」
「何で・・・」
「議論している暇は無いぞ!」
コルトンが叫び、もう一つエスカレータを降りた。
皆も続いた。
デパートの地下といえばデパ地下である。食品が、未だ綺麗に配置してある。
「ここならジグザグに走れて奴をまける!地下の出口から出るぞ!」
コルトンが叫ぶと、エスカレータの上にリッカーが下をチラチラと出しながら構えていた。
「はしれぇ!」
コルトンの掛け声で一同は走り出した。
しかし、リッカーが固まっている逃走者たちの中心に飛び降りてきた。
「うわぁ!」
山井が驚いたような悲鳴を上げた。
リッカーは鋭く、長い爪を振り回すと特殊部隊の隊員の脚に当たった。
その隊員はうずくまったが、すぐにリッカーが覆い被さった。
生存者達は別れて、デパ地下を逃げ回り始めた。
アフタショットとコルトンに、二人の特殊部隊隊員たちは生野菜のコーナーを逃げていた。
「こっちであっているのか!?」
アフタショットが逃げながらコルトンに聞く。
「知るか!俺の行きつけのショッピングモールとは違うんだぞ!」
コルトンはそう返すと、追ってくるリッカーに銃弾を浴びせかけた。
リッカーは血をばら撒きながらも、しぶとく追ってくる。
そしてリッカーは大ジャンプを見せた。
「わぁぁぁ」
アフタショットはものすごい速さで、それを交わす。
リッカーはそのまま野菜の棚に突っ込んだ。
途端に電気が消えた。
すぐに緊急用電源に切り替わるが、青い薄暗い空間になってしまった。
「不気味だぜ!」
何処かにいる特殊部隊員が叫ぶ声がした。
「くそぉ」
コルトンはマシンガンを取り出すと、突っ込んでのびているリッカーめがけて
撃ちまくり始めた。
「やめろ、今は逃げる方が先決だろが・・・」
アフタショットが何とかそれを静止する。
その途端、リッカーがむくりと起き上がった。
アフタショットとコルトンは顔を見合わせた。
そんな時、ジェシーと透、さらに生き残った二人の日本人と特殊部隊員一人、それに山井といった面々は、
広いデパートの地下で迷っていた。
「どこなんだよ!」
透が叫ぶ。
「知らない。ここへは来た事がないし・・・」
山井がさりげなく答える。
すると、足音がしてきた。
「おーい」
アフタショットの叫ぶ声がこだます。
アフタショット、コルトン、二人の特殊部隊員が合流した。
「やっと合流できたか」
「それより出口・・・どこだ・・・」
「知らないぞ。何処か壁際に沿っていけば・・・」
コルトンが辺りを見回す。
「リッカーから隠れていれば大丈夫だろう。一旦、ここで会議だ」
コルトンが仕切り、立ったままの作戦会議が始まろうとしていた。
陳列棚に「ポテトチップ」の文字があることを見ると、どうやらお菓子売り場のようだ。
アフタショットは棚にあったチョコレートを取り出すと、紙を接ぎ、黒いものにかぶりついた。
「うは・・・これビターだ・・・」
そこまで言ったとき、異変に気付いた。
真剣にコルトンの話を聞いている、特殊部隊員の首付近に、何か細長いものが伸びてきているのだ。
細長いものは、ゆっくりと特殊部隊員の首を取り囲むようにして伸びてきている。
どうやら棚の後ろから伸びてきているようだ。
「・・・?」
アフタショットは、さらに詳しく見た。
すると、脳裏に言葉がよぎった。
―リッカー・・・舐める舌・・・―
アフタショットは恐怖の顔をした。
それにジェシーが気付く。
「あれ?アフタショットさん?どうしたんですか?」
その途端、一人の特殊部隊員の後ろの棚から勢いよく何かが飛び出してきた。
一同は、一瞬固まる。
棚を越え、リッカーが顔を見せると、一同はコルトンを先頭に逃げる体勢をとった。
「はしれぇ!」
コルトンの一声で、一行は逃げ出したが、棚に下敷きになった特殊部隊員は既に息絶えていた。
別の特殊部隊員がマシンガンを向け、連射するが、リッカーはそれをものともせずに突っ込んでくる。
「バカ、早く来いよ!」
アフタショットは叫ぶが、既に遅し。
その特殊部隊員はリッカーに頭から咥えられてしまった。
そのとき、山井が叫んだ。
「上へ行く階段があるぞ!上に行って脱出しよう!」
目線の先には階段がある。
山井を先頭に、勢いよく階段を駆け上がっていく。
「まったく地下に来た意味が無かった気がするぜ!」
「いいの!犠牲は出したが・・・リッカーから逃げられた」
一同の先には、デパートの出口が見えた。
「何のホールだ?・・・」
スコット疑い深げに尋ねる。
もちろん、答えられるというものは誰もいない。
ホール奥には、中型トラックが三台、置いてあった。
「何でトラックがあるんだ?」
「知らないさ。こっちが聞きたい」
ネイオは手持ちライトでホールを照らした。
高さは十メートルほどはある。
恐らくレベル5の奥に位置しており、観客席でレベル4とレベル3くらいまで伸びているのだろう。
誰もがこのホールの使用目的を考え出した。
すると、キットが突然うずくまった。
「どうした?」
マックスが心配そうに尋ねる。
「たいしたこと無い。足を少し挫いただけだ」
そういうキットの足を確認すべく、クロウはキットのブーツと靴下を脱がした。
「うん、少し腫れてるな。そこまで酷くはないさ。軽度だろう」
「医者みたいだな。ところで、ここから先の・・・ふぐ!」
クロウは右手でスコットの口をさえぎる。
「どうしたクロウ?」
カルロスは、クロウのスコット封じを見て何かが来ると直感し、銃を構えた。
しかし、返答はそっけなかった。
「うん?ああ、スコットがウザイだけだから」
クロウはカルロスにジェスチャー付きで返答した。
「今はスコットよりキットだ。ああ、あのトラックに乗ってろ。誰か付き添いが・・・
ああ、ユアン。キットと一緒に、トラックで待っててな」
ユアンは苦しい体をこらえつつ右手を上げた。
ユアンの症状は、完全に奈落のそこへと落ちたように悪くなっていた。
しかし、誰も異変には気付かない。
切羽詰っている状況だからである。
「よし、二人はそこにいてくれ。俺達は観客席に上ってそこから脱出口を探す」
マックスは貫禄を感じさせる言動振りを発揮した。
ネイオもさすがに感心する。
「あそこの階段からかな」
ルークは一番近くの階段を指差す。
マックス、ネイオ、スコット、ルーク、ヘブリック、クロウ、カルロスの順で階段を駆け、
上の観客席へと登った。
「二つくらいあるな・・・どれも不気味だ」
ヘブリックが呟く。
扉は一同がホールに逃げ込んだ扉の真上の観客席の所、いわゆる本館の方に繋がる扉と、
まったく別のところにもう一つあった。
一行は、その一つの扉にネイオ、スコット、ヘブリック、ルーク、クロウが、
もう一つにはマックス、カルロス、サーフ、カルがそれぞれ入っていった。
「お前、過去生き残りだっけ?何でここに・・・?」
キットは、トラックの座席に座り込み、隣に座ったユアンに尋ねた。
「ああ、2006年の島での事件で・・・何とか・・・生き延びた・・・」
ユアンは咳き込みながら答える。
キットは心配になった。気分でも悪くなったのだろうか。
「すまん」とユアンの額に手を当てる。
「ん!すごい熱がある・・・」
慌てて自分の水筒の水を持っていたビニール袋に入れる。
ユアンは完全にうなだれている。
「くそ・・・こうやって・・・」
ビニール袋を縛り、ユアンの額にそれを乗っける。
一瞬、ユアンの顔は和らいだ。一瞬だが。
「早く戻って来いよ・・・」
キットは正面を見た。
真正面には車一台くらい走れるほどの幅で、かなり奥行きのある通路が見えた。
ホール自体薄暗いので、その通路の広さも定かではない。
「何であんな通路が・・・」
キットは目を凝らした。
するとなにやら奥で、うごめいている。
よくは確認できないが、確かに何か大勢のものが動いている。
「なんだと思う・・・?」
楽になったか、ユアンは不意に尋ねる。
「さあ、なんだかね・・・」
キットは腰につけてある小型双眼鏡を手にとり、それを目に当てる。
突然キットの顔がこわばった。
「嘘だろ・・・」
ユアンも双眼鏡を受け取り、それを確認する。
「・・・くそ・・・」
ユアンも同様に愕然とした。
「ゾンビ共か・・・」
ユアンはそう呟き、拳銃に手を伸ばした。
通路でうごめいていたもの、それは、大量のゾンビ達だったのである。
ホールに初めて入ったときに通った扉の真上に位置していた扉に入ったネイオたちは、本館に再び入っていた。
「レベル4か。結構懐かしい気がするな」
クチャクチャと音を立てながら、ルークが呟いた。
「普通にこの通路を抜ければ出られるな。よし、スコットとルーク、ヘブリック。お前達はここで残れ。
俺とクロウはユアンとキットを連れてくる。マックスたちに連絡を入れといてくれ」
「2人じゃきついな、ヘブリックも俺達と一緒に来てくれるか?
あ、もし危険が出たら知らせろよ。オールという心強い見方があるからな」
ネイオとクロウが順に話す。
どうもこの二人、何かしら貫禄を感じる。
スコットの話を途切れさせ、ネイオとクロウ、ヘブリックは、今来た通路を逆送し始めた。
「クロウ、お前さっきからの身のこなしや対応を見ているとただの<SAF>ではないようだ。
何があったんだ?何か特別なことでも?」
「そうだ、身体能力が高いのはともかく、あいつらに対する対応力も手馴れてるように見える」
ネイオとヘブリックが続けて質問する。
「あ、いや。別に。ちょっとしたごたごたがあって・・・」
クロウが、ネイオの質問に答えた時、何処かの扉が開いた気がした。
三人は、一瞬にしてその場で固まる。
銃を装填し、背中を合わせ、三方向を向く。
「何の音だ?」
ヘブリックがおっかなびっくり訊く。
「知らないよ」
「その通り」
ネイオ、クロウは一応答える。
すると何処かから石が一つ飛んできた。
三人は何とか避け、石は壁に激突した。
必死で飛んできた方向を確認する。
「・・・なんで・・・石か?」
すると、赤いレーザー・・・ビームが飛んできて、三人の丁度足元に被弾した。
「レーザー!?」
ヘブリックが驚きの声をあげる。
「レーザーの技術・・・そんな力があったのか・・・」
解説を続けるヘブリックの腹部に、レーザーは避けることなく直撃した。
ヘブリックは勢いで少し吹っ飛び、壁の激突し横たわった。
「ヘブリック!」
ネイオは銃を構え、まだ見えぬ敵めがけてぶっぱなった。
すると、ようやく確認が取れた。
「何だ・・・新種の生物か・・・」
ネイオはさりげなく呟く。
コイツはいわゆる・・・
「フィア・・・」
である。
残されたスコットとルークは沈黙の密室状態になっていた。
「おい・・・ガムうまいか?」
「ガムをかんでないと水分が不足しちまうだろ」
そんなしょうもないことを話していたのである。
そのとき、突如として前方で赤い閃光が走ったかと思うと、ネイオとクロウが、全速力で走ってきた。
「どうした?怖気づいたか?」
ルークは嫌味たっぷりに言う。
そんなルークの肩をネイオはつかんで、説明を始めた。
「逃げるんだ、奴が来る前に早く・・・来るぞ・・・なんだっけ?」
ネイオはクロウを振り返る。
「フィアだ」
「おいおい、ヘブリックはどうしたんだよ」
スコットが半ばパニックになりながら誰ともなしに聞く。
「そうだ、フィアが来る。なんと言うか外見は・・・」
ネイオが詳しい説明を加えようとしたとき、通路の角からフィアが姿を見せた。
「あんな感じだ」
ネイオはそのフィアを指差し言う。
「そんな冗談はいいぜ。早いとこ逃げよう」
「名案だ・・・」
スコットの一言で、一同は奥のほうへ走り出した。
一方、まったくどこへ向かっているか分からないマックスたちのグループは、
座って休憩をしていたのである。
「サーフ、ここは何処か電子地図で確認してくれ。頼む」
サーフはマックスの指示を受け入れ、小型電子地図で現在地を確認しだした。
「一応確認しておくが、あのホールは施設の一番奥部にあって、レベル5が入り口だ。
で、レベル4に観客席への入り口がある。しかし本館の方に通じるのはネイオたちが行った方だ。
こちら側はレベル4の・・・いわゆる見捨てられている部分だ」
「ああ、廃墟のほうかよ」
タバコをくわえながら、カルは歎いた。
「タバコか・・・俺はここ三年禁煙中だからな・・・懐かしいな」
カルロスがタバコをまじまじ見ながら語った。
「タバコは最高だぜ。ま、禁煙したお前は、褒めてあげられるが」
カルはカルロスを、笑いながら見る。
カルロスは嫌な顔をして、カルから顔を背けた。
それにしても灯りは壁にそって取り付けてある薄暗い電灯のみ。
不気味な暗さが、恐ろしさを演出している。
「一旦戻ろうぜ。不気味すぎる・・・おい、オールで連絡とってくれないか?」
カルはマックスに指示を出し、マックスはそれに従う形となった。
「分かったよ。とりあえずキットとネイオに連絡する―」
マックスがそこまで言った時、何か動く音がした。
機械仕掛けのものが動く音・・・何かがきしんでいる音も混じっている。
全員が耳を凝らしたとき、突如足元の床が開きマックス、サーフは下に投げ落とされた。
「何!」
カルロスは床下に投げ出されたマックスとサーフに、必死で手を伸ばした。
しかし、床は徐々に閉じてゆく。
「カルロス!」
マックスの声が響いた瞬間、床は完全に閉じた。
「なんなんだ!?」
ずっと立ちすくんでいたカルが大きな声で叫ぶ。
残されたカルとカルロスは少し落ち着きを失う。
「何かに操作されているようだ・・・」
「何かって何だ!?」
「知るか!とりあえずネイオたちと連絡を取ろう。カル、その通信機で、連絡とってくれ」
カルロスが、カルの左手に装備してあるオールに目を向ける。
そういえば、こいつの存在を忘れていた。
「分かりやした。ネイオね・・・」
カルはしばらくオールに神経を集中させた。
しかし、しばらくすると驚きの表情で前を向き直った。
「残念でした。ネイオは気付いていないようです」
「ならキットにでも連絡しろ・・・」
カルは再びオールと向き合った。
すると、今度ははっきりと音が聞こえた。
銃撃の音が―
「銃撃の音がする!」
「ああ、音漏れで聞こえるぜ!」
カルロスは銃を装填しながら言う。
カルもハンドガンを構えつつ、吸っていたタバコをはき捨てた。
二人は来た道を、再び戻り始めた。
先ほど床下に落とされたマックスとサーフ、二人の落下したところは牢屋の中だった。
鉄格子がはめられている個室に、二人は落下したのであった。
「ここは監獄かよ。サーフ、地図で確認してくれ・・・」
サーフは手際よく確認をとる。
「ここが分かった。レベル5にある廃棄室兼処刑室だ」
マックスは固まった。
嫌な響きの部屋である。
しかし、周辺に同じような監房が数箇所あり、鉄格子の向こうには通路が走っている。
かなり広い通路で、車一台走れるだろう・・・。
「あ、多分さっきのホールと、目の前の通路で繋がっていると思う」
サーフは鉄格子から、頑張って通路の先を確認した。
するとサーフは腰を抜かすほど驚いた。
「やばいな・・・」
マックスもつられて、鉄格子の隙間から顔を出す。
「あれは!」
二人が見たのは奥のほうへ、どんどんと歩いていくゾンビの大群だった。
そのゾンビが向かっている先は、ユアンとキットがいるホールである。
既に大量のゾンビがホール内に侵入し、キットたちのいるトラックに迫ってきていた。
「クソ!」
キットは窓からハンドガンを連射する。
数は今の時点で三十くらい・・・これからもっと多くなりそうな気配がする。
大きめのハンドガンを連射しつつ、キットはユアンの状態を確認していた。
ユアンは眠っていた。
「寝たのかよ・・・息はしているからな・・・」
キットはそうたいしたことではないと思っていたのである。
そして再びハンドガンを撃ちはじめた。
しかし、ゾンビの数は一向に減らない。
トラックから出てマシンガンをぶっ放す手もあるが、それはあまりにも危険すぎる。
運転席側に座っているので、エンジンをかけようと努力をしたこともあったが、
展示用らしく、きーも見つからず、そもそも車体が固定されていた。
「なんのトラックショーしてたんだよ!!!」
どんどんゾンビは迫っていた。
そのとき、前方を来ていた複数のゾンビが順序良く倒れこんだ。
キットは何が起きたのか瞬時に判断し、トラック内から観客席を見た。
観客席には、マシンガンを構えるカルロスとスナイパーライフルを構えているカルがいた。
「待ってろよ、今行くからな!」
カルロスは大声で叫んだ。それにゾンビは気付いたか・・・観客席に向かうゾンビも現れ始めた。
カルロスは階段を駆け下り、ホールへ降りかけた。
「待ちな!」
すると観客席から、一本の筒状のものが、ゾンビが出現している通路に投げ込まれた。
途端に耳もつんざくような爆発が起きた。
通路の奥で、ゾンビが吹っ飛んでいるのが想像できた。
カルはダイナマイトを投げ込んだのだ。
「どうだ、だいぶ清掃できたろ」
「お前そんなの持ってたのか!」
「ああ、まだ五本残ってる」
「もう危険だから極力使うなよ!そこで狙撃をするんだ」
カルロスは少しの感想を述べ、カルに命令を出した。
カルは単三電池ほどのものを、ライフルに詰め込み始めた。
その間に、カルロスはトラックへと向かう。
しかしゾンビの大群はすぐそこに迫っていた。
「くそ・・・」
カルロスは後方からマシンガンを連射して、前方にいるゾンビたちをなぎ倒し始めた。
トラック内でも、キットはハンドガンを連射し、極力倒していた。
「ああもう・・・永久ループだ・・・」
そう呟いた時、助手席に座っているユアンがうなり声を上げた。
不思議に思い、キットはユアンを見る。
顔は青ざめ、じっとこちらを見つめている。
「ああ・・・嘘だろ」
突然ユアン・・・いや、ゾンビはキットにのしかかってきた。
右足を腹に食い込ませ、何とか襲撃を防ぐ。
しかし、力が圧倒的過ぎる。
ゾンビの右手が伸び、キットの腕をつかむ。
すると、カルロスが助手席側の扉が開けた。
カルロスはキットののしかかっている元ユアンのゾンビを引きはなす。
右手をゾンビのあごの下に入れ、キットに襲撃するのを防いだ。
そのまま引っ張り出そうと、体後と引く。
しかし、あごの下に入れた右腕に、ユアンゾンビは噛み付いたのだ。
「ぐぁぁ」
小さな悲鳴を、カルロスはあげた。
どうにか車外に引っ張り出して、仰向けに倒しこんだ。
倒すなら今だ。
しかし、倒れこんでいるのは元の戦友で、今まで戦ってきた仲間である。
窮地を乗り越えてきたのである。
そんなことが、カルロスの脳裏をフラッシュバックしていった。
「ユアン・・・すまない」
最後にそう呟くと、起き上がりかけていたユアンゾンビの額に一発撃ち込んだ。
ユアンゾンビは力なく倒れこむ。
カルロスはしばらく余韻に浸っていたが、キットの一言で我に返った。
「カルロス!」
目の前に一体のゾンビが迫っていた。
とっさにユアンを撃ち抜いたハンドガンで対応する。
しかしその前に、観客席から飛んできた銃弾で倒れこんだ。
カルがスナイパーライフルで狙撃しているのである。
「これでも喰らえ!」
カルはそのライフルでゾンビに見事にヘッドショットさせている。
「ハーハッハッハ!・・・。くたばっちまえ!この醜い化け物共が!」
完全に舞い上がってしまっているカルは次々に弾を発射させていく。
すると、不意に弾が切れた。
同じように、単三電池のようなものを詰め込み始めた。
「この銃の悪いところは・・・弾が少ししか入らないところだぜ・・・」
「カル!」
一人歎くカルの耳に、カルロスの叫び声が聞こえてきた。
慌てて辺りを見回すと、ホールから梯子を伝って観客席に上がってきたゾンビが、今のところ三体確認できた。
カルは今現在、詰め込んである弾が多いことを信じ、装填して撃ち始めた。
しかし、一体が撃ち終わる前にカルに近づいていた。
カルはスナイパーライフルを振り回した。
その銃が偶然そのゾンビの頭にぶつかり、倒れこんだ。
しかし、ぶつかった衝撃で引き金が引かれ、弾が発射されてしまった。
不運なことに、その弾はトラック周辺で撃ちまくっていたカルロスの足に命中した。
「うぐぁ!」
足を押さえうずくまる。
出血も、多少あるようだ。
ゾンビはそこまで迫っている。
そのためか、何故か冷静になれたようで、座り込みながらも銃の連射を忘れなかった。
そして一瞬の隙を突いて、トラックの助手席に上がりこんだ。
「はぁはぁはぁはぁ・・・」
扉を閉めると、カルロスは着弾した箇所を調べ始めた。
完全に弾は入り込んでしまっているようだ。
貫通していないが、かなり厄介なケースである。
それを見て、カルロスは独り言を呟きだした。
「・・・銃が危険だと思い知らされたのは初めてだ・・・はぁ」
「そこ曲がれよ!」
フィアの手から逃げているネイオ、スコット、クロウ、ルークは迷路のような通路を
試行錯誤しながら逃げていた。
「ルーク!お前、フォース使え!」
「はぁ!?何言ってんだよ!出来るわけ無いだろが!」
「何で!?じゃあ、何で「ルーク・スカイ」なんていう名前なのよ!?」
「いいから走れ!喋るな!」
走りながらも話し続けていたスコットに、クロウが釘をさすと、先頭のネイオが前方を指差した。
「見ろ!曲がり角だ!どっちに曲がる!?」
「左だ!」
スコットが大声で言う。
「分かった・・・スコットを信じて・・・」
ネイオは左に曲がった。
前方に扉があるではないか。
「でかしたスコット!」
「まだ何があるか分かってないだろ」
とか言いつつも、四人はその扉に入り込み、追ってくるフィアをシャットアウトした。
入り込んだ面々は、安堵の息をつく。
「安心だ」
スコットが笑いながら言う。
しかし、次の瞬間、扉を突き破ってフィアの赤いレーザーが入ってきた。
四人が立っている、丁度真ん中を抜けていく。
「どこが安心だよ」
ルークが呟くと、一行は部屋の壁にある扉に逃げ込んでいった。
「この檻から出れるか?」
一つの監獄に閉じ込められているマックスが、一緒に閉じ込められているサーフに訊いた。
「これは電子機器じゃどうにも・・・ここは鉄格子だから・・・」
「そっか・・・無理か」
鉄格子の奥の通路の向こうでは、果てしない銃撃音が聞こえる。
「ゾンビが向かう方にはみんながいるんだろうな・・・」
サーフが呟く。
「ゾンビ・・・こっちに来るかもだ!どうにかして脱出しないと・・・」
マックスは辺りを見回す。
銃で鍵でも壊したいところだが、鉄格子に扉という扉は見当たらない。
本当に鉄格子がはめられているだけなのだ。
「仕方ない・・・」
マックスは切り出した。
「手榴弾を使って出よう」
一方、既にゾンビたちが半分を占めているホールでは、未だに銃撃が続いていた。
観客席から狙撃銃で、確実にゾンビを一体一体カルが倒していて、
下ではトラックの中でキットとカルロスがゾンビに対し攻撃していた。
減っていくものの、続々と後続のゾンビたちが入ってきてきりがなかった。
「クソが・・・」
カルロスが撃たれた足の痛みをこらえつつ、マシンガンを連射する。
ふと、観客席で撃っているカルに目をやった。
「!」
見ると、観客席までゾンビは多数這い上がってきていて、カルは銃を片手に逃げていた。
カルロスは窓から身を出すと、カルを追い回しているゾンビたちめがけて撃ち始めた。
カルはカルロスの助太刀に最初は驚いたが、後に自分も撃ち始めた。
「コイツ!この俺が殺してやらぁ!!」
カルがそう叫んだ瞬間、カルの右側から突然ゾンビが現れた。
厳密には調子に乗りすぎて、横を気にしていなかったからだ。
そのゾンビは一瞬でカルの腕に噛み付いた。
「うあぁぁ!」
叫ぶカルに構わず別のゾンビも鼻の先に迫っていた。
「カル!飛べ!下に飛ぶんだ!」
カルロスが大声で叫んだ。
その言葉を聞き、カルはゾンビを引き連れたまま下に向かった。
「くそぉぉ・・・これしかねぇのかよ!」
そう叫び、カルを観客席からゾンビを引き連れ大ジャンプした。
右腕の方から着地した。カルは即効でゾンビを振り払う。
直接着地した部分が痛むが、構ってはいられなかった。
カルはトラックに向かった。助手席の扉を開ける。
「くそ!俺達どうする!」
カルは大声で叫んだ。
前方に迫るゾンビは、キットが対応している。
カルロスは、元ユアンのゾンビに噛まれた右腕をチラッと見る。
そしてカルも、先ほどゾンビに噛まれた箇所を見た。
二人は顔を見合わせた。
以心伝心した。
カルロスは突然、キットが挫いたといっていた右足首に、テーピングを巻きだした。
「何するんだよ!」
「これでOKだ!」
厳しい口調になったカルロスが、キットの顔を見る。
「お前はまだまだ生きられるだろ!逃げるんだ!」
キットは困惑しだした。
「何を突然・・・」
「ゾンビはまだここまで来ていないだろ!観客席に登る梯子まで走れ!観客席のゾンビも
今は降りてきている!早いとこ行かないと手遅れになるぞ!」
キットはカルとカルロス、二人の顔を順に見た。
「俺達はもう噛まれた。ここで生き延びてもどうせすぐ死ぬ。お前はまだ捻挫レベルだ。
ここを生き延びれば十分生き続けられるさ。・・・・・・早く行け」
カルロスは打って変わって、穏やかな口調になった。
カルも後ろでゾンビを警戒しつつも何かを浮かべている。
「分かった・・・」
キットは二人に言った。
「達者でな・・・」
そういうと、キットは扉を開き、観客席に登る梯子まで駆け出した。
右足首を多少気にしているが、かなり早いスピードで逃げている。
梯子を登るスピードも、救急隊員以上だ。
「・・・あいつ、元気じゃないか」
「俺達とは違うからな」
そんな会話を交わしている二人、がふとキットが登った観客席に目をやった。
キットは泣きながら親指を上に立て、こちらを見つめていた。
カルロスとカルが、それを同じポーズで返すと、キットは観客席を駆け上がった。
「・・・はぁ」
カルが大きなため息をつく。
「俺の人生も短いもんだ」
そう言うと背負っていたかばんから、ダイナマイトを取り出した。
手榴弾を爆発させ、マックスとサーフは鉄格子の部屋から出た。
「どっちへ行く!?」
「お前、ゾンビの大群がいる方へ行くのか!?」
マックスが厳しい突っ込みを入れた。
「あっちだ」
ゾンビの大群がいないほうを、マックスが指差し、二人は逃げるように走り出した。
「よし!フィアは閉じ込めたぜ!」
スコットが溶接した扉から離れながら言った。
「気をつけろ。また突き破ってくるかもだぞ」
クロウが警告する。
「そうなる前に逃げようぜ」
ネイオが銃を構えながらそういった。
「で、ここどこだ?」
スコットの一言で、一同は凍りついた。
すると、通路の奥から何やら音が聞こえてきた。
何かが走ってくる音だ。
「なんか来るぜ」
ルークがマシンガンを構える。
スコットは手榴弾を投げる構えを取った。
ネイオとクロウは落ち着き、ハンドガンを抜こうとしている。
すると、正体が見えた。
「キット!?」
「どうしたんだよ!」
ネイオが走ってきたキットに訊く。
「そもそも足は?挫いたんだろ」
クロウがキットに尋ねる。
よくキットの表情を見ると、涙目になっているのが分かった。
ネイオらは、これを見て異常なことがあったと察した。
「誰か死んだのか?」
ネイオが静かに尋ねる。
キットは静かに首を振る。そして、小さく喋りだした。
「・・・死んだようなもんだ」
一同は顔を見合わせた。
「どういう意味だ。まさか、誰か噛まれたか・・・」
「ユアンか?」
一斉に尋ねるので、キットは必要なことだけ言い出した。
「・・・トラックにいたらゾンビの大群が来て・・・ユアンはゾンビになって、カルロスとカルが助けに来た。
しかし二人とも噛まれて・・・俺だけ逃がした・・・で、二人は今、大群がいるホールのトラックの中にいる・・・」
その言葉を聞いた四人は、一斉に銃を構えた。
「どこへ行く?」
「決まってるだろ。二人を助ける」
「ダメだ!二人はもう覚悟している・・・カルがダイナマイトを持ってた・・・それを使うかもだ・・・」
「そんなのあいつ持ってたのか!」
スコットが叫ぶ。
「で、カルロスとカル以外は・・・マックスとサーフはどうした?」
ルークが尋ねた。
「そこまではしらないよ。とにかく、二人は自分の身を引き換えにあいつらを倒す気だ・・・」
重苦しい雰囲気がたちこめた。
「2人もやられた可能性があるな・・・」
ネイオは涙を浮かべながら言った。
「・・・行こうぜ。二人の死を無駄にはしたくない」
一同は同意した。
「まだまだ生きたいしな」
スコットが呟いた。
「よし、行くぞ。・・・何処かにな」
ネイオが言うと、クロウが殿を務めキットを励ましながらそっと述べた。
「辛いことだってあるさ」
そういうと、キットを起こし歩き始めた。
トラックの中に残った二人は雑談をしていた。
「ふぅ・・・お前の叔父は、懲りない奴だった・・・危険だといってもすぐ行動を起こす・・・」
カルロスはため息混じりに、カルの叔父、T.カウのことを話し出した。
「ああ、叔父は仕方ない。犯罪を犯したんだし・・・」
カルは話すのをやめた。
「そういや、カルロス、お前も叔父と同じことをしたんだな」
「そういうことだな」
小さな笑みをカルロスはつくった。
「人間、変われば変わるさ」
「でもカルロス・・・お前の指揮していた攻撃隊はもっと真面目なやついたんだろ?」
「いたよ。ユアンともう一人以外は、全員死んだけどな」
二人は黙り込んだ。
そして、トラックのフロントガラスの向こうには、ゾンビの大群が迫っていた。
「タバコ、吸うか?」
カルがタバコをカルロスに向けた。
「やめたっていったろ、タバコは」
間があく。
「でも・・・いいかな」
カルロスは、カルの手からタバコを受け取って、カルのライターで火をつけた。
同時にカルは、ダイナマイトを足元に置いた。
五本束ねてあって、導火線が一本ずつカルロスとカルの方向に伸びている。
二人は顔を見合わせた。
「じゃ、やるか」
二人同時にタバコの日を、導火線に点けた。
長い導火線が徐々に減っていく。
そしてゾンビの大群は、トラックを取り囲むように迫ってきた。
「カル?訊くぞ。お前の叔父は犯罪者だった。なのに、何でお前は特殊部隊に?」
「簡単。叔父とは歩むべき道が違っただけ」
「性格はそっくりだがな・・・」
カルロスが笑いながら呟き、異様な沈黙が降りる。
「「なあ?」」
二人の言葉があった。
「はは、質問しようとしたな。なんて質問だ・・・?」
「何か悔いは残ってないかカルロス?、って質問だ」
「お、俺も同じだ」
静かに二人は笑った。
「じゃ、一斉に答えるか」
カルロスが提案する。カルも頷いた。
そして、二人は大きく息を吸って、同時に言った。
「「あるに決まってんじゃねえか」
その瞬間、ダイナマイトの導火線が燃え尽きた・・・。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
ひとりごと
きたさんちのみかん
(2024-12-02 17:52:11)
母の日 プレゼント
コストアップと人材育成
(2024-11-24 11:48:44)
写真俳句ブログ
冬薔薇 fu
(2024-12-02 14:54:17)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Mobilize
your Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: