日常・・・

日常・・・

第九章 【"アグリック"】


少し前に軍のファイターと例の無人機がドッグファイトを繰り広げたところだ。
ここは本当にリカルアの経済宙域ギリギリの地区なので、監視の目などは行き届かない。
そんな地域に、突如怪しげな中型戦艦がフラッシュ航行からヴロウしてきた。
その戦艦は一見すると軍の戦艦と代わりはないが、とあるところに特徴的なマークが記されている。
伝説の鳳が羽を広げている紋章である。
そんな戦艦のブリッジでは、一人の男が命令を下していた。

ブリッジ内で椅子に座った髪が片目を隠す男、露わになっている右目は冷酷な眼差しに変わっていた。
「ボス、着きました、リカルアの宙域です。」
その低くて怪しげな声は、どうやら通信相手に向けられているようだ。
帰ってきたのはいかにも怪しげな声の雰囲気の、冷たい声である。
『よし、ならば計画通りにいく。クレイグ、オリアで戦っている愚かな兵士諸君に、我々の力、
“アグリック”の力を見せつけてやれ』
ボスらしい声が言い終えると、クレイグと呼ばれた怪しげな、冷酷な眼差しの男は静かに笑いながら質問する。
「ボス、もちろん武力は行使していいな?」
『我々の力を見せつけるに、武力の行使はイコールすると思うか?』
その冷たい声の質問に、クレイグの右目は見開いた。
「もちろんだ、もちろんイコールだろ?」
その答えに、ボスらしき男も少し笑いを含んで返す。
『クレイグ、お前は困ったやつだよ』
「ボスには及びません。とにかく、計画の第1段階をクリアしたら報告をします」
クレイグはそういって通信を終えると、誰もいないブリッジで一人笑い始めた。
「ハハハ、ついにこのときが来たようだな。”アグリック”の力、思い知らせてあげようか愚民共!」
彼がそう叫び、髪で隠れていた左目を露わにすると、その左目が赤く光った。
その途端に戦艦は高速で移動を開始、クレイグと戦艦の意思が、まるで結びついているかのように。




SSF本部の母船、巨大な球体の要塞<マザー>、その側面から突き出している塔には、最高司令室がある。
「この事態を終息させる方法がある」
赤くて小太りで背の低く不細工な男、ポルトン最高司令官は呼び出した上級司令官と補佐官のドルジに
こんなことを言った。もちろんこの事態、とはオリア襲撃の事だ。
どこからともなく絶え間なく現れ続ける無人機に、受けに回ってしまっている現在の戦況は
明らかに不利といったほうがいい。
それを1人の上級司令官に伝えると、ポルトンはニッと小さな笑みを浮かべる。
「それは重々承知の上だ」
「ならば、一体どうしろと・・・」
ドルジが再び尋ねると、ポルトンは目を見開きドルジにむけて言い放った。
「ズバリ、妨害電波を発する、だな」
その言葉に4人は一瞬固まったが、一瞬でとりあえず納得した。
なるほど、最高司令官は無人機の主電源は電波であると考えているようだと。
正直、おそらくほとんどのお偉いさんはそんな考えを既に巡らせていると、ドルジは思う。
あまりにもシンプルすぎるのだ。
「最高司令官、妨害電波とは何故・・・」
一応尋ねてみる。しかし
「そりゃ母船的なところで動かされているんだろう、その母船的なものを破壊するのが主な目的だ。
で、そのためにはやはり妨害電波を出してその援護機を弱らせてだな・・・ああ、もちろん電波で
コントロールされているという前提でだが」
スラスラと意見を述べるポルトン。全く持って予想通り。これじゃまるでありふれたSF映画ではないか。
ドルジが心の中で突っ込んでいると、ポルトンは続けた。
「馬鹿らしいとか思ってるな?」
見透かされたドルジ、その他上級司令官3人はいいえと反論する事すらできなかった。
「いやぁ・・・」
「まぁそうだろうな。だがな、この作戦をまだ実行したやつはいないだろう。何でも実戦あるのみだ。」
持論を突き通すポルトン、SSFの最高司令官はSSFのトップに君臨する人物だ。
ここまで言われて反抗はできまい。
「了解しました」
エイリアン顔の司令官は敬礼すると、広い部屋中に広まるゴミを踏み分け先に出て行った。
すると、残された銀髪の男が質問する。
「・・・電波を発すると仰いましたが、この広範囲、どのように妨害電波を発するのでしょう?
ええ、そしてその例の・・・仮に母船として、その位置とかはつかめているのでしょうか?」
その問いに、ポルトンは一瞬固まる。
「ああ・・・電波は出撃中の部隊の専用軍艦に搭載されている万能通信妨害装置を広範囲に分布させる
つもりだったが・・・その、母船は・・・あくまでも私の仮説だ」
ドルジは聞いて安心した。
これがポルトン最高司令官なのであると。
そのとき、最高司令室にサイレンが響き渡った。
緊急事態を意味するこのサイレン、ドルジやポルトン、銀髪、メガネの2人の上級司令官も
このサイレンに固まる。
「・・・なんなんだ?」
銀髪の上級司令官が呟くと、サイレンは電子音声に変わった。
『緊急事態、緊急事態、レベル4、レベル4、緊急事態、緊急事態、レベル4・・・』
ただただそれを繰り返す電子音声に、ドルジはつい声を張り上げた。
「レベル4だと!」
SSFは緊急状況を独自なレベルで、コンピュータが判断する。
このレベル4は、主力艦隊が攻めてきた場合にのみ適用される。
「どの区画に出現したんだ!?」
ポルトンが叫びながら腕を広げる。
すると今まで暗闇の空を映し出していた天井のガラスが、スクリーンに早変わりした。
そこにはリカルア経済区域が映し出され、ポルトンはオリアの区画をズームインする。
そこにはオリアに向け高速で移動をしている戦艦のデータが表示されている。
しかも、割と大きな戦艦であるとデータは示している。
「これは!・・・」
銀髪の上級司令官はつい声を上げた。
「何というスピードだ!」
メガネの司令官のほうも、続いて声を上げた。
「ルートを見ると・・・どうやら外縁部のアステロイド地帯の方向からこちらに向かってますね」
「そこに潜んでいたというのか・・・」
2人の上級司令官の言葉を、止めたのはポルトンだ。
「経緯などどうでもいい、防衛ラインは機能するか・・・」
「いや、これほどの戦艦が戦闘機並みのスピードで突っ込んでくるんですよ。とても迎撃なんてしてられません」
ドルジが無精ひげをいじりながら冷静に指摘する。
「しかしこの密集地帯まで来てなんというスピードだ。他の戦艦にぶつかるなんて考えはないのか・・・」
銀髪の司令官は淡々と呟く。その戦艦がスピードをほとんど落とさず、防衛ラインや拠点をおく
戦艦の間をすいすいと抜けてきているからだ。ポルトンは醜い顔をさらに歪ませた。
「いったい何を考えてる・・・」




「突破だ!前方に80パーセントのシールド集中!大きな戦艦はスルー、戦闘機なんてぶつかっちまえ!」
クレイグがそんな戦艦のブリッジで、一人叫んでいる。
ブリッジにはその他の乗組員は誰もいない。
「胸が・・・胸が高まるぜ!」
そんな鳳の紋章が描かれた戦艦はどんどんと目の前に見える大きな星、衛星オリアへと向かっていた。
「フラッシュ航行準備開始!目標はオリア大気圏内・・・ポイント615区画!フラッシュ!!!」
そう言うと、戦艦の前方はたちまち光り輝き、光の中へと消えていった。

「ハハハハ!スリルだぜスリル!」

その矢先、クレイグの前方の視界は開けた。
それもそのはず、ほんの近くの宙域から衛星大気圏内にフラッシュしたのだ。
いわば先ほどのアイザックより近距離でやってのけたことになる。
その大きな戦艦が姿を現したのは、オリア上空の雲の中、いわば大気圏内だった。
「さすが俺のこの力は違うぜ・・・」
クレイグが相変わらず一人で叫ぶ。自画自賛。その左目は赤く光っている。
戦艦は大気圏を抜けると、クレイグの目には夜の衛星オリアが飛びこんできた。
クレイグは赤い目をさらに光り輝かせ、急降下していた戦艦を何とか急停止させ、上空に浮かせた。
クレイグは一息つくと、モニター越しに外の様子を確認する。
ちょうどクレイグの現れた辺りには攻撃の手は及んでいないらしく、炎はまだ見えない。
「ちょうどいい、まずは焼き払うかな、このあたりを・・・」
クレイグがそこまで言ったとき、通信が入った。相手はもちろん、例のボスである。
『クレイグ、順調なようだな。』
「もちろんよ!とりあえず目の前に森が見える、この森から焼き払おうかな、なんて」
クレイグが揚々と報告する。返す”ボス”の声も、心なしか弾んでいる。
『まぁそれもいいが、人質でもとっておけ。統一軍の兵士か、運が良ければ民間人。お人よしの
あいつらはなおさらお前の戦艦に攻撃できないだろうな。』
とはいえ低く冷たいその声の、その提案にクレイグはにやりと笑った。
「了解、そうだな、その後お得意の電波ジャックといきますか!」
クレイグが了解すると、通信をきった。そしてクレイグの目の前にホログラムスクリーンが
どこからか現れると、クレイグの赤い目がさらに光を増した。
「生体反応生体反応生体反応・・・」
クレイグが手近な付近を捜索する。人間の反応を探しているのだ。
「さすがに林じゃいないか・・・」
そのとき、ホログラムスクリーンが光った。
「みつけたぞ!運の悪い奴等め」
クレイグがそう言うと、戦艦から小型シャトルが出発した。
もちろん、指示も乗組員もない。
「軍人だといいんだがな。」
クレイグは呟くも、口元のにやつきは隠しきれていなかった。




その数分前・・・

アイザックが船を静止させる。
高度、数千メートルのところから輸送機で降下してきた第21小隊一同は、ようやく地表についたのだ。
アイザックは地面との距離を1mあるかないかのギリギリのところで、降下を停止させた。
「よし、作戦の地点へ到着だ」
アイザックがそういうと、後ろで待機していた面々は一斉に立ち上がると、横にスライドした扉から
一斉に飛び降りた。
ザックが先陣を切り、続いてベン、アダム、メリルと続きロイが降りる。そして最後にエクスが下りると扉が閉まった。
『健闘を祈るぞ、第21小隊さん』
腕についている通信機越しにアイザックの声が響く。
エクスがそれに答える。
「任せておけ。ミッションの状況はまた知らせてくれ」
『承知だ。我々はしばらく宇宙空間に抜けて戦線の報告をする』
アイザックは最後にそういって輸送機を上昇させた。
地表に爆風が吹きつけ、見る見るうちに輸送機は高く舞い上がった。
残された第21小隊の面々、すかさずエクスが声を張り上げた。
「よし!我々の任務はこの地区の防衛任務だ!敵には発砲許可、張り切ってかかれ!」
「「「了解!」」」
エクスの声に、全員が声を張り上げた。
「ロイ、万が一死なれてもらっては困る、お前はとりあえず林の中に入って隠れながら敵を探せ。
見つけたら通信機で報告を入れろ」
エクスが最後に、スーツの右腕に内蔵されている通信機を見せる。
「了解です。」
ロイはそういうと、一人で夜の林の中へ消えていった。
「さあて、俺たちも探索と行こうぜ!」
ザックが1人、テンション高めに張り切っている。
気合が高まる。意気も高まる。
しかしその後に訪れたのは静寂だった。
遠くでは爆発の光などがチラチラと見えるが、ここは周り一面が山林地帯。建物も無ければ、
上空を通過する戦闘機も無い。相当な田舎に送り込まれたようだ。
そもそも敵は無人機である、地上戦が専門のSSFの第21小隊は完全にアウェーである。
メリルはその状況を察して、SSFの部隊に標準配布されるバランスタイプのブラスターライフルを下ろした。
「・・・・・・・えっと・・・」
「ざけんなよ!俺たちをなめてるのか!」
この状況に苛立ったか、ザックが叫び始めた。
「このド田舎に送り込んだのはどこのどいつだ!敵は無人の戦闘機!俺たちの専門は地上戦!
そもそも俺たちは戦艦か何かに配属されるのがセオリーなんじゃないのかよ!」
「ザック!気持ちは分かるがあまりにも不謹慎だ」
ザックをエクスが静止するが、ザックの苛立ちは収まらない。
「いいや、俺たちはSSF、戦うために生きてるんだよ!戦場に行かなければ、俺たちが赴く必要が!・・・・・」
「やめてください!」
突然そう叫んだのは、銃を下ろし1人うつむいていたメリルだった。
少女の叫び声が、静かな夜の林に悲痛に響いた。
「おい、メリル、何だよ突然・・・」
アダムが装填途中のスナイパーライフルを降ろしながら呟くも、メリルは聞いてはいない。
間髪おかずベンが落ち着いてメリルに質問をする。
「メリル、なぜいきなり・・・1年もいれば、いくら不謹慎とはいえザックの性格は理解したはずなんだが」
ベンの問いに、メリルは大きな瞳を少し閉ざしながら答えた。
「私はいいんです、むしろ私もどちらかというとザックさんと同じ気持ちなんです。だけど
この任務が初めての新人がいるんです。私も初めてのときは不安でしたし。しかも衛星の防衛なんて
過去に前例のないような大きな任務なんじゃないんですか・・・その気持ちを考えると、
今ザックさんが大声で言ったことは、彼の不安をただ煽るだけになるんじゃないですか・・・」
メリルの言葉はもっともだ。
入隊して2年目、誰よりも初任務の緊張は忘れてはいないだろう。
沈黙の中、この流れではザックは静かに呟くしかなかった。
「なんかすまないな・・・つい気持ちが・・・」
「で、エクス、そのロイはどこに行った?」
ベンが辺りを見回す。
「ああ、あいつなら林の中に入って、隠れながら敵の捜索を・・・」
エクスがそこまで言ったとき、上空から轟音が聞こえてきた。
全員銃を構えるまもなく、ただ瞬時に上空を見上げた。
するとどうだろうか、黒い物体がチラッと見え、巨大な戦艦が空に現れたかと思うと、
さらに降下を続けてくるではないか。
「なんだよありゃ!」
ザックが轟音に負けない声で叫ぶ。
その声がかき消されるのと同時に、その戦艦はようやくスピードを緩め、一定の高度に落ち着いた。
「あの戦艦は・・・」
ベンが呟く。
アダムは目を凝らした。暗くてよく分からないが、よく見ると側面に鳳の紋章が描かれているのが分かる。
「あの紋章はなんだ・・・」
「どれだ?」
ザックがアダムが指差すほうを見る。ザックもそれを確認した。
「・・・少なくとも、味方の戦艦ではないな・・・・・」
全員がその戦艦をしばらく眺めていたが、沈黙を破ったのはメリルだった。
「隊長、ロイ・モースを呼び戻しましょう!」
メリルの提案に、我に返ったエクスは、頷くと腕の通信機に向けて話し出した。
「分かった。ロイ、ロイ、戦艦を見たか?・・・直ちに帰還してくれ」
エクスがしゃべった後、しばらくしてロイの声が返ってくる。
『見ました!何なんですかあれは!?今偶然別の部隊と遭遇しまして。直ちに戻ります!』
きびきびとしたロイの声が返ってくると、エクスは間髪いれずに続けた。
「よし、ならばすぐに戻ってきてくれ。」
『了解です。・・・・・・・・ん、ちょっと待ってください。・・・なにか小型な飛行物体が向かってきます!』
ロイの緊迫した声が聞こえる。
「飛行物体?戦艦からか!?」
エクスがつい声を荒げる。周りの面々も、厳しい表情になった。
『上空からとしか・・・高速で向かってきます!・・・上空十メートルちょっとのところで静止!・・・』
エクスは感じ取った。ただ事ではすまない。
「逃げろ!ロイ、そこから逃げろ!」
エクスが通信機に向かって叫ぶ。アダムがそれを見て背中に背負っていたジェットパックを起動させ、
一気に飛び上がった。
「上空からなら見えるはず!・・・」
「隊長!俺たちも行きましょう!」
ザックの声に、エクスは頷く。今度はメリルも文句なく銃を構えた。そして腕にある小さなボタンをいじる。
すると小さなホログラムスクリーンが表示された。
どうやら居場所をあらわしているようで、少し離れたところに赤い印が光っている。
「IDシグナルで居場所は特定!ここから約110メートル」
「今からそっちに向かう!」
メリルの声を聞いたエクスが叫ぶと、ロイの声が返ってきた。
『了解・・・今何か降りてきました・・・』
そこまで言って、しばらく声が途絶える。向こう側からは果てない連射音が聞こえてくる。
エクスが心配になったとき、雑音の中ロイの声が聞こえた。
『こいつらは・・・バトル・シミュ!・・・・・・』
ロイの声はそこで途切れた。
「ロイ!・・・」
「上空から見えました!報告どおり飛行物体を確認」
降下してきたアダムが淡々と報告すると、エクスが険しい顔をさらに歪ませた。
「全員いくぞ!メリル、先頭を行け!」
「「「了解!」」」
エクスの一言で、ザックを先頭に第21小隊は走り出した。
メリルは指示されたとおり、シグナルを頼りに先頭を走る。生い茂る木々を掻き分けて、全員が走った。




林に隠れて敵を探せといわれたロイは、森の中に入るとひたすら歩いた。
「あまり離れちゃいけないな・・・」
そう思いながらも、好奇心がどんどん足を早く回転させる。
しばらく林を歩いたところで、どこからか木々を掻き分ける音がする。
「・・・誰だ?」
ロイが無意識にその方向に配布された標準装備のブラスター・ライフルを向ける。
着慣れないスーツは、まだ体に合わないがじょじょに慣れてきた。
ロイは静かな林の中で風の音と、そのかすかに聞こえた雑音を感じようとしていた。
天性の才能が彼の心に一瞬の答えを通知する。
「そこか!」
ロイが使い慣れぬブラスターライフルを勘の指示する方向に構えた。
しかし、相手も黙っていなかった。
茂みの中にロイに向けられた男が1人、ライフルを向け対抗する。
さらに彼の右後方から1人、さらにロイをはさんで反対方向からも1人、新たにロイの右方向からも
新たにライフルを構えた人間が1人、こちらを向いている。
ロイはさっと、4人の相手の位置を確認する。
完全に囲まれている。
夜でしかも林の中なので暗く、顔はよく見えないが、星と近くの衛星やリカルアの輝きで明るさはある。
そのなかでロイはその4人を凝視する。
するとそのうちの1人、最初に銃を向けた1人が銃を下ろした。
「・・・・そのスーツ・・・SSFだな」
その声に反応してか、ロイの周りで銃を向けていた面々も、立て続けに銃を下ろした。
ロイは警戒を緩めず、ブラスターは構えたままだ。
相手の服装はSSFのスーツではない。軍服ではあるが、それを着込んだ山賊や密輸業者の一味が
まだ避難せずにこもっている、そんな考えもめぐらせた。
ロイが怖い顔でそんな考えをしていると、銃を最初に下ろした男が笑いながら弁解した。
「おお、名乗りがまだだったな。俺たちは統一軍の部隊、第99小隊だ。」
それを聞いたロイが、やっと構えていたライフルを下ろした。
そしてほっと一息つくと、相手の視線に気づく。こっちの名乗りを期待しているようだ。
「えっと・・・SSF第21小隊、ロイ・モースであります」
初めての名乗りだったが、おどおどせずにさっと言ってのけた。
それを聞いたさきほどの男が改めて咳払いをする。
「俺は99小隊の隊長のコリンズ少佐、とでも名乗っておこうか。」
相手のコリンズという男は、よく見るとエクスよりも歴戦の勇者、といった感じの男だ。
隊長格には珍しい長めの銀髪が小さな風になびいた。
「・・・よく見るとお前若いな。いくつだ?」
コリンズがじっとロイを見つめて質問する。
「あ、はい、今年で17です。」
「と、なると・・・戦歴は?」
「入隊してほんのまだ・・・」
その答えを聞いて、コリンズとその部下たちは驚きの声をあげた。
「おお、まだまだ若い、その年で戦場に立つって事は相当期待されてるって事か?それともただ単に
お前さんの部隊の面々がちょっと無茶な編成をしてるってとこか?」
コリンズの質問に、ロイは答えられなかった。まぁ・・・正直どっちともとれるから・・・・・
そんな雑談をしていると、コリンズの部下、まだ若手っぽい金髪の隊員が声を上げる。
「隊長、雑談はこれくらいにしましょう。」
その声に、コリンズはふと振り返った。
「そうだな、それじゃロイ・モース・・・・・・階級はまだか。任務に戻って・・・」
そこまでコリンズが言ったとき、上空になにやら嫌な影がはしった。
一瞬暗くなったかと思うと、今度は轟音がとどろく。
ロイはあわてて耳をふさぐ。ブラスターライフルは放り投げてしまった。
「くっ!・・・・」
「・・・なんだよ!・・・」
コリンズも同じように耳をふさぐ。その他3人の部下もだ、地面に突っ伏すものもいた。
ロイがふと上空を見ると、大きな戦艦が上空に現れたではないか。
星明りを隠し、わずかばかり暗くなる。
「なんだあの戦艦!」
短髪で髪を逆立てた30くらいの隊員が叫ぶ。
「統一軍のものじゃないぞ!」
もう1人、坊主頭の若手隊員も叫んだ。
コリンズはじっと目を凝らした。
ほぼ真下にいるので、特徴的な側面の紋章はよく見えない。
「くそ!これは相手の戦艦なのか・・・」
コリンズがつぶやくと、無線を片手にどこかと通信し始めた。
ロイはそれを見て、無線の存在を思い出した。スーツの右腕部に内蔵されている。
スイッチを押そうとしたとき、どこからかの通信が受信された。相手はもちろんエクス隊長だ。
あわててスイッチを押す。
「隊長!」
『ロイ、ロイ、戦艦を見たか!?・・・直ちに帰還してくれ』
エクスの声に、ロイはついついあわててしまう。
「見ました!何なんですかあれは!?」
一息つくと、今伝えておいくべきことをとりあえず話す。
「今偶然別の部隊と遭遇しまして。直ちに戻ります!」
ロイはそう報告する。統一軍と出会って~・・という細かなくだりは省いた。
コリンズのほうは、ロイに向き直っている。
「君はすぐに部隊のところへ戻れ!健闘を祈るぞ!」
コリンズはそういい残すと、部下たちのほうに向き直った。
ロイは落ち着きながらうなずくと、再び腕の無線機に耳を近づける。
正直、落ち着いていられるのは奇跡に近いと自分でも感じている。
『・・・すぐに戻ってきてくれ!』
エクスの声だ。
前半がよく聞こえなかったが、それでも伝えたいことはよく伝わる。
「了解です。」
「隊長!あれを!」
そこまでロイが言ったとき、コリンズの部下の1人、金髪の若い隊員の声が上がった。
ロイはそれに釣られて林に固まっている4人の軍人を見た。
全員上空を見つめている。それを見たロイも同じく、上空に目を向けた。
すると戦艦からかは良く分からないが、小型のシャトルのようなものが降下してきている。
しかもロイたちのいるほうへ向かっているように見える。
ロイはあわてて通信機に顔を近づけた。
「・・・・・・ん・・・ちょっと待ってください・・・」
そういって改めてその飛行艇をまじまじと見る。
「・・・なにか小型な飛行物体が向かってきます!」
ロイが叫ぶと、エクスのほうも戸惑ったように返してくる。
『飛行物体?戦艦からか!?』
その質問に答えるべく、こちらに降下してくる四角い飛行艇をまじまじと見つめる。
「上空からとしか。ですが高速で向かってきます!・・・」
ロイがそこまで言ったとき、高速で降下してきた飛行艇はやはりロイ、そしてコリンズの部隊の上空で制止した。
大きさは10メートルあるかどうかの、一般的な小型輸送艇である。
正直、ロイは死をも覚悟した。
(入隊間もなくして死亡・・・ロイ・モースよ永遠に)と考えていた。
しかしそれではわざわざ入隊した意味がない。ロイの中にある正義感が、エクスへの報告という行動を取った。
「上空十メートルちょっとのところで静止!」
「SSF!早く逃げろ!よし!迎撃しろ!」
コリンズの声が聞こえる。
彼の部隊はブラスターライフルを構え、その飛行艇に向かってライフルの弾を浴びせている。
しかし小型といえど、相手は輸送船、装甲は対人用レーザー程度では破れない。
コリンズはそれでも笑いながら、どこからかポータブルロケット・ランチャーを構える。
「対レーザーには耐えられても、こいつはどうだ!」
コリンズがそういいながら火薬式のランチャーを発射した。
しかし、それは装甲に行き着く間もなく、レーザーにより撃ち落された。
「しくじったか!」
その光景に、ロイは一瞬自分の世界に飛んだ。
些細ながらも、これが体験する初めての戦いである。
命を投げ出してこの場にいるのだ。
必死にレーザーを浴びせるコリンズとその3人の部下を、ただただ呆然と見つめた。
『逃げろ!ロイ、そこから逃げろ!』
エクスの声も、耳から抜けていった。
ブラスター発射音が響く林の中で、ロイはただただ静寂に浸っていた。
「隊長!向こう側からの攻撃はありません!」
「とはいえ味方のはずはない!いつ攻撃されてもいいよう、退却の準備を・・・」
コリンズがそこまで言ったとき、上空にただただ浮かぶ輸送船の下部ハッチが開いた。
「・・・なんだ?」
4人は目をただただ凝らす。
ロイはその光景に、心ここにあらずな状態であった。
『今からそっちに向かう!』
エクスのその声に、ようやくロイも正気に戻った。
あわてて今まで忘れていた通信機の存在を思い出す。
「了解!」
「くそ!新手だ!」
ロイもその声に反応し、輸送船を見る。
下部ハッチが開いていることを、今更ながら確認した。
そして、その中から何か出てくるのも確認していた。ロイはそれを伝えるべく、再び通信機に
口を近づける。その出てきたものの小隊は、暗くてよく見えないが、ジェットで飛行しながら
降下してきているのだけは分かる。
「今何か降りてきました・・・」
そしてその正体がようやく分かった。
太い金属の骨格で創りあげられ、人の格好をしている戦闘用ロボット、無愛想な顔部分は目がライトで光り、
胸の部分には動力源を備え、両腕は二機の銃口を備えている。
何度も何度も、SSFの実践訓練の動画を見てきた、その際に使用されるSSFの訓練用マシン、
バトルシミュレーターに酷似している。
ただ違うのは、暗闇のせいなのか、おそらく全身がブラック基調でペイントされていることだ。
「撃て!撃つんだ!」
近くでコリンズが叫ぶ。そして部隊の面々がブラスターの雨を降下してくる2機のそれにぶつける。
それらは足裏にあるジェットを巧みに使い降下しながら、その弾を避けている。
「あたらねぇ」
坊主頭の隊員がマガジンを取り替える。その隙にその機械が右腕を突き出して狙いを定めたかと思うと、
青い色のレーザーを発射して坊主頭の隊員に浴びせた。
命中し倒れこむ隊員。
「ルック!」
「この鉛の堅物が!」
若手の隊員とコリンズが立て続けに叫び、応戦する。
そして降下しきったそいつらが、次に目をつけたのは少し離れたところにいたロイだった。
ロイは固まって、腕の通信機を口に近づけた状態で動けなくなっていた。
「逃げろ!」
コリンズの声が響いた。
ロイの耳には届いたのか、それでもSF第21小隊として出来ることはこれしかない。報告だ。
「こいつらは!・・・バトル・シミュ!・・・」
最後まで言い終わらぬうちに、ロイは目の前に青いレーザーが飛んでくるのを確認していた。
避ける間もなくロイは、その青いレーザーの直撃を受け、後ろに少しふっ飛ぶと、倒れこみ動かなくなった。



「こいつめ!」
コリンズがロイにレーザーを浴びせたバトル・シミュレーター似の兵器に飛び掛り、至近距離で
頭部にライフルをぶちまけた。
兵器の無愛想な顔がふっ飛び、少しよろける。
その隙にコリンズは後ろに飛ぶと、すかさず立て直し構えなおしたライフルを兵器に向けて連射した。
火花を散らして兵器は倒れこむ。
一機撃破。
「隊長!」
傍らで聞こえたその声に熟練のコリンズが振り向くと、たった今もう一機の兵器が、金髪の隊員を
レーザーで仕留めたところだった。
「マイキー!」
そう叫んでライフルを兵器に浴びせる。
しかしそいつの機動力は、頑丈そうなその骨格とは反比例だ。すばやく横転で交わされると、
横でマガジンの取替えに夢中だった髪を逆立てた隊員を殴って気絶させる。
「ワイズマン・・・くそ!」
残された熟練の隊員。コリンズ少佐は、圧倒的な力の差を見せ付けられた非生物兵器に鋭い眼差しを向けた。
彼の軍人人生、これほど機械を相手に苦戦したことはない。
「この・・・鉛の・・・堅物が!・・・」
コリンズがそう言い放って銃口を向けたとき、兵器の銃口からも同じく同じくレーザーが発射された。
そのレーザーがコリンズの腹を捉えた。それを感じたコリンズは、詞とはまた違う、別のものを感じ、
最後に上空を漂う戦艦を瞳に写し目を閉じた。
そしてさらに上空からは、数機の兵器が降下してきていた。




林を掻き分け走る第21小隊、少し先で聞こえる戦闘の音は、今一瞬止んだ。
100メートルを10秒少しで駆け抜けられる面々がそろっているが、如何せん夜の林の中だ。
そうまっすぐははしれない、障害物もある。
「くそ!110mが長い」
ザックが口の中に入った葉っぱを吐き出しながら叫ぶ。
「もう少しです!」
メリルがそう言うと、林が開けた。
木々や地面にレーザー痕が見られる。
「遅かったのか?・・・」
ザックがらしくなくつぶやいたとき、アダムが上空を見た。
「あれだ!あの輸送船だ!」
アダムの見る上空には、たった今下部ハッチがしまって、そして一気に上昇していく輸送船が見えた。
「逃がさねぇぞ!」
ザックが手持ちのポータブルランチャーを構え、すかさず発射した。
しかし、その弾はてんで見当違いの方向に飛んでいく。
「あら」
「させんぞ!」
ベンが腰から下げるチェーンガンの照準を上に向けると、間髪いれず発射する。
鮮やかなレーザーが上空へと舞う。
しかしその威力も輸送船には効かなかった。
どんどんどんどん輸送船は遠くなる。
「なんだと!」
ザックと同じく、ランチャーで狙いをあわせていたエクスが叫び、ポータブルランチャーを放り投げた。
「ロイの野郎はどこに行ったんだ!」
ザックが叫ぶと、アダムが落ち着きながら答える。
「確か別の部隊が、とか言ってたな。彼らと行動を共にしていると考えよう」
「そんなこと考えられんぜ・・・」
2人のやり取りを尻目に、エクスはメリルのほうへと近づいた。
メリルの心情は分からないが、いつもの元気さはない。それでも任務は任務だ。
エクスはかまわずメリルに質問した。
「メリル、もう一度ロイのシグナルを。居場所を知りたい」
メリルは思い出したかのように、腕についているボタンを何度かいじる。
そして再び現れるホログラムスクリーン、ロイの居場所を示すIDシグナルは確かに存在していた。
しかし、場所が場所だ。
「・・・これは・・・何を表している?」
エクスは、かなり上のほうにある赤いシグナルを指差す。
理由は明白だ。それでもエクスはたずねておきたいのだろう。
メリルは唾を飲むと、静かに答えた。
「ロイ・モースは・・・現在上空約8000メートルのところにいます・・・・・」
「つまりどういうことだ・・・」
後ろで聞いていたザックが神妙に聞いてくる。
メリルは一同の顔を見回すと、変わらず静かに告げた。
「・・・先ほどの輸送船に、連れて行かれたと考えるのが・・・妥当です」
その言葉に、全員が上空の戦艦を見上げた。
また確定していないのに、どうしてもそこにロイがいるとしか思えないからだ。




SSF母船 <マザー>

最高司令室を、強引な理由 ―ちょっと友人に用事を― で後にしたドルジは、すぐさまプランアリーナ

―広い面積に100を越えるスクリーンとキーボードが敷き詰められ、SSF本部における事務活動や任務の振り分けを行う場。

に急ぐ。友人のであり、プランアリーナでは一番の地位を持つダシ・バダルチの元へと急いだ。
自分の目で確かめておきたい。
プランアリーナへと足を踏み入れると、150人近くいるオペレータ達が、インカムを片手に
ホログラムパネルのキーボードを打ちながら、各自目の前のホログラムスクリーンを見て話をしている。
非常にあわただしい光景だ。それもそのはず、衛星オリアへの小型機の攻撃はいまだ止まず、
さらに大型の戦艦まで現れたのだ。今その戦艦に対しどう対処するかの検討が上では行われている。
ドルジは足早に、キー式のキーボードを連打しているダシの元へと急いだ。
「ダシ!ちょっと映像を出せないか!」
ドルジが叫ぶと、だしがドルジをチラッとみて再びキーボードに向かう。彼の目の前には、
小さいながら3つのホログラムスクリーンが表示されている。
「ちょっと待て、俺は今3つの部隊のオペレートをしてるんだ。少しだけ待って・・・」
「至急だダシ!最高司令官補佐官がいう!」
ドルジはこれを見よという感じに、胸の紋章をたたく。
それをみてダシは、ふうとため息をついた後、キーボードを少したたくと、もう1つ新たなスクリーンが
ダシの前に表示された。そして今度は小型のパネルを渡す。遠隔操作のリモコン型キーボードだ。
「これで我慢しろ。ったく、こういうときだけ階級を使いやがって」
「感謝するダシ」
ドルジは笑顔で友人の気遣いと皮肉に受け答えると、早速渡されたパネル式キーボードをたたく。
オリアのセキュリティサイトにアクセスし、機能している監視衛星の映像を探す。
「・・・これか」
目当てのものを選択したドルジは、さっとエンターを2回たたくと、スクリーンに3つのウィンドゥで
映像が表示された。どれも、あの戦艦を映し出している。
「・・・これが戦艦か・・・」
最高司令室ではデータでしか表示されなかったので、本物を確認するのは始めてである。
夜のオリアに浮かぶその戦艦は、パッと見だと中型の戦艦、かつて軍が使用していたものに似ている。
ただ圧倒的に違うのは、側面に施された巨大な鳳の紋章。あまりにも特徴的だ。
「・・・すごいな」
「その紋章、何を意味するんだかな。」
ダシがチラッとこちらを見ながらつぶやいた。もちろん答えはドルジにも分からない。
「そうだドルジ、この戦艦に対する攻撃予定とかももちろん考えてるんだろうな?ていうか、
お前はそれに参加しなくていいのか?」
「ああ、今上官たちがそれに対する会議をしている。最高司令官かぁ・・・用事があるって抜けてきたよ」
ドルジは苦笑いをする。
「正直、あんな出落ちキャラに付き合っていられない。」
「おいおい」
ダシのあきれた突っ込みに、ドルジは顔を切り替えた。
「戦艦だが、宇宙空間なら即攻撃なんだが、オリア上空ってのがなぁ・・・」
ドルジがそこまでいったところで、彼らの目の前にあったスクリーンはブラックアウトされた。
「ん?」
「なんだ?」
ダシは落ち着きながらキーボードを叩くが、どうやら復旧しないらしい。
「おいおい、こりゃなんなんだよ」
ドルジは辺りを見回すと、この広いアリーナの中でどうやらすべてのスクリーンでその現象が起きているらしい。
にわかに慌しくなる。全員プロの技術士でもある。復旧させようとキーボードを叩くものが多くいるが、
結局ホログラムスクリーンには何も表示されない。
「やばいな。この状況は思った以上だ」
ダシの言葉にドルジが見入ると、ダシは続けた。
「単純に停電じゃないな。<マザー>が停電しても少なくとも俺のとこだけは発電するようにしてあるし、
現に電灯はついてるわけだしな。多分通信の発信、受信、電波の面だけがジャックされてるんだろう」
ダシの予想はもっともだ。ドルジも神妙な顔でうなずく。
そのとき、何も表示されていなかったスクリーンに光がともった。
2人の目に映ったのは、あの戦艦に描かれていた、鳳の紋章であった。
「くそ!本格的な電波ジャックか!・・・」
ダシの嘆きが終わらぬうちに、<マザー>全ホールに低く冷たい声が流れ出してきた。



『現在、首都惑星リカルアとその衛星に対し、電波のジャックを行っている。近くのモニターや
公衆スピーカーから、しばらく耳を傾けてほしい。私は反乱分子、”アグリック”の統帥、司令官だ。
名前はレグザスとでも言っておこうか。我々”アグリック”は知ってのとおり第4衛星オリアに
対して空中攻撃を仕掛けている。これは自力で対処してほしい。我々は共存同盟に反する勢力を
あらゆる星や文明から集めて、その勢力は脅威となるであろうことを伝えておきたい。全面戦争を
仕掛けるつもりはない、かといって共存の道を歩むつもりもない。今回のオリアに対する攻撃は
我々の力を君たちに思い知らせたいというだけの行為だ。既に知ってると思うが、無人機も導入した。
テストのわりに、よく出来ているだろう。それで知ってほしい、我々を見くびるなということを。
君たちより進んだ技術と強い軍を備えているということを。我々は勢力を拡大させるためならなんでもする。
勢力が広がったほうが資金も手に入るし、人材も集まるしな。武力行使で勢力拡大だってためらわない。
我々はなんでもする。それにどう対処するかは、君たち次第だ。最後にひとつ言いたい、
・・・君たちは、同盟に加担する者たちは、我々の手の内で、踊らされることになるだろう。
それでは失礼する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・言い忘れていた、オリアの上空に戦艦が現れている。軍事関係者はご存知のとおりだと思うがな。
人質を連れている、下手に撃墜しようもんなら彼らも巻き添えになることをお忘れなくだ。』



音声は、そこで途切れた。


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