これじゃいけない。せめて今のうちに、じっくりとお酒を楽しんでおく必要があると思い、後輩S君を誘ってIちゃんの店に行く。
今夜の主役は、大間産本マグロ。人生通算2回目のご対面を果たす。「これ食べてもらいたかったから、今夜来るように願ってたよ」とIちゃん。出番を待ちわびていたという初おろしの器に、大間のマグロがデーンと鎮座している。

S君も僕も、言葉が出ない。余韻を楽しむS君が、「これ、口の中でとけちゃいますわ。歯がいらないっすわ」と、のたうち回っている。
カウンターにいたお友だちのMちゃんにも勧める。「どれどれ」と賞味したまではいいが、天井を見ながらMちゃんは静止。しばらくして気を取り戻すと、「本当に歯がいらない」と残りの本マグロをにらみつけている。「次の一口からは入れ歯をはずし、ついでにカツラもはずし、メイクを落とし、スッポンポンになってから食べる」と言い出す。やめてくれ。
ともあれ、忘年会では味わえない酒と肴に酔いしれる。忘年会前に来て、本当に良かった。味気ない忘年会浸けの合間に、またIちゃんの店に来よう。
帰り際、Iちゃんに「かっちゃん、来週もよろしく」と見送られる。来週は、Iちゃんの店が忘年会会場になっていたことを思い出す。