彼は、父親が社長を務める会社の後継者でもあり、「両親は猛反対。どうしよう?かっちゃん」という内容。僕はいろいろ考えたが、「ガンダムに聞くのが一番」と答えた。
久しぶりに会ったM君は、会社の同僚と3人で飲んでいた。ガンダムの件はひとまず落ち着いたのだろう。「同僚」は、どうやらカップルらしく、M君は太鼓持ち役に徹している。人がいいM君は、友人のためなら平気で機動戦士になれる。
「今日はこんなのが手に入ったから、殺されてみて」と、Iちゃんはカワハギの刺身を出してくれた。カワハギは今が旬だ。透き通る白い身を、こってりとしたキモに付けていただく。あまりに美味いので、身を食べた後にキュウリと大葉をもらって、このキモを食べた。生き返るまでに数分かかる。


カワハギは、ガンダムで言えばモビルスーツのような頑丈な皮に覆われている。「皮を剥いで食べる」のでカワハギという。モビルスーツからは考えられないほどの上品な味わいが、僕を殺してやまない。
ガンダム熱に侵されていたM君も30歳を越え、カワハギ同様、モビルスーツの中にある人生の美味さに気がついたのか。「相変わらず彼女ができなくって」と笑う頭の上で、卵が産み落とされることのない鳥の巣が揺れていた。