
母親がどこからか仕入れてきたのだろう。今風の、どこか軽さのあるイラストチックな掛け軸で、「芽が出て葉が出て花が咲く」と、当たり前といえばそれまでの、自然の摂理が読みにくい書体で記されている。
この「当たり前」の摂理が、気に入らない。例えば、「雲が切れれば晴れ間が出る」みたいなもので、「ほら、この言葉の中には重い意味が込められているのだぞよ」と半ば説教を受けている感じさえするのだ。そんなこんなで、この掛け軸の寿命も、そう長くはあるまい。
ところで、脳出血から立ち直った釣友Sちゃんの結婚式の日取りが決まった。ちょうど2ヵ月後の11月22日だそうな。
この日は「いい夫婦の日」らしい。Sちゃんは「いいでしょ!グッドタイミングでしょ!」と浮かれているが、僕はこの安易な語呂合わせが気に入らない。まるで掛け軸のそれと同様で、何の深みも感じられないのだ。
ところが、今年の「いい夫婦の日」は、古来から伝わる暦の上では「仏滅」だそうな。こっちの方が深みと重みを感じるな。僕にとっては。