幸せな大学生活・9

2004年5月29日



僕は年下の彼女と性交渉をした。
否、正確に言えば「交渉」ではない。
彼女は薬を飲み、そして僕も薬と躁の状態で明らかに正気ではなかったのだ。
彼女に意識は殆ど無かった。
僕はそれを確認しながらも彼女の中に入った。
それは限りなく一方的なものだった。



僕は大学の保健室のメンバーと保健室に赴任している60代の女性の先生の間で犯罪者として扱われた。
その犯罪とは「レイプ」



彼女と僕は抱き絞め合ったりキスをしたり手をつないで大学に登校したりする事を無意識に隠していた。
人前でキスをしないのは普通の事だが…
隠れて何かを成し遂げる事に快感を覚えていたのだ。
誰もいない個室で二人手をつないだり。
誰かがもしかしたら来てしまうような教室の隅でキスをしたりした。
それは二人にとってこれ以上ない幸福と快感をもたらした。



しかし保健室のメンバーと赴任の先生は僕と彼女の行為を一つも知らなかった。
僕が一方的に彼女を辱めたんだと決定づけた。
僕が彼女に薬を飲ませて、意識の無い彼女を僕が犯したんだと信じて疑わなかった。



僕はすぐさまフリースタイルでラップをしてみんなに伝えたキスの事、そして躁の状態で喋ってしまったトイレでの性交渉のこと、それらを知っている知人一人一人に連絡を取り誰にも言わないように、他言しないようにと頼んだ。
何故ならば、この事が公になると僕は大学を退学させられる。
そして更にレイプ犯として罪を科せられる…からだ。



僕と彼女の距離はこの日を境に何万光年と呼べるほど遠くなった。



彼女と僕が交わったことは保健室のメンバーと赴任の先生の中では無かったことにされた。
悪い夢だったのだと、僕自身が居なかったものだったのだと…。



彼女は保健室のメンバーと赴任の先生には何も言わなかった。
言わせてもらえなかったのだろう。



しかし僕と彼女のガッチリとはまった歯車は外れることはなかった、いつでもまた会えるようにと努力した。



彼女と会いたい彼女の温かな体温を感じたい。



僕は保健室のメンバー全員の記憶から削除された。
それはやはりレイプが原因だった、彼女を心から愛し友と思い慕う人からすれば当然の心境だ。
しかし正確に言うと僕は彼女をレイプなぞしてはいないのだ…



僕と彼女が一緒にいると保健室メンバーの「ミナ」と「キャシー」が来てすぐに引きはがされた。
彼女と大学内で自由に会える時間は極度に制限された。



そんな事があった数日後、保健室の赴任の先生にパソコンのメールで呼び出された。



赴任の先生は「あなたも彼女もどちらも大切な人なの、それをわかって」と前置きをしてもう彼女に会うのも連絡をするのも止めてほしいと僕に言った。



僕は今回の事を反省していた、いくら薬と病気のせいだろうとこんなレイプまがいの事をしてしまった自分を責めていた。
そしてその場しのぎでその申し出を了解した。



彼女と一緒にいたい。 これからもずっと。
それだけが僕の願いとなった。


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