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…誕生祝いは何が欲しい?彼女にこう聞くと、…誕生石が欲しいの。と、小さな声で答えた。彼女が一月生まれだということを知ったのはその時だった。一月の誕生石は石榴石・ガーネットということは知っていた。アクセサリーを着けない彼女が、珍しく宝石を欲しがったことに、僕は何か新鮮なモノを感じて、ちょっと嬉しくなった。…ピアスがいいかな。ペンダントもいいよね。それとも、指輪にしようか。僕は、ついでのことで、ガーネットの由来を話して聞かせた。…ガーネットってさ、面白い伝説があるんだよ。昔昔神様が、人間をこの世にあるいろんなモノを使って創った時、心臓を何で創るかで迷ったんだって。綺麗で長持ちするモノがいいからって、ありとあらゆる宝石で試してみたんだって。だけれども、ダイヤモンドは硬過ぎて、冷たい気持ちの人間になるだろう。ルビーやサファイアは、その色の通り移り気な人間になるだろう。トパーズは、見栄っ張りな人間にになるだろう。オパールは、落ち着かない人間になるだろう。真珠は、気持ちの狭い人間になるだろう。て、いろいろ迷った結果ガーネットを選んだんだってさ。それを記念して、年の初めの月の誕生石もガーネットにしたんじゃないかな。僕らは、一人一人宝石を心臓にしているんことになるね。そう考えると、すごいじゃないか。矢継ぎ早に言葉を口する僕のことを、彼女は微笑みながら、黙って見詰めていた。僕が話し終わると、彼女は大きく頷くと、…だから、欲しいのよ。と言って、僕に向かって手を差し伸べた。彼女の手が、僕の胸元に差し入れられ、胸の奥がぐいと強く引っ張られるのを感じた。そして、何かがもぎ取られたような衝撃を感じ取ったのと、にこりと笑う彼女の手元に、まばゆく深紅に輝くモノが見えたと同時だった。膝から崩れていく僕に向かって、彼女の声が聞こえて来た。…誕生石をありがとう、貴男の心臓はとても綺麗だわ。僕は、微かになっていく声を感じながら、彼女の名前がハーリティーだったことを思い出していた。
2006/01/26
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どうして、お前が負けたんだ?信じられない、何か有ったのじゃないのか?…兎が亀に駆けっくらで負けた後、兎自らが負けたのは自分が油断して途中で眠りこけていたからだと説明したにも係わらず、それに納得するモノは皆無だった。お前が負けるはずは無いんだ、きっと脅されたんだろう!卑怯な亀め、とんでもない奴だ。…いくら兎が、自分の至らなさのせいで負けたんだということを繰り返しても、そう言えば言うほど、逆に亀のずるさが真の事実として広まっていく始末だった。もう一編勝負してみたら、わかるに違いない。今度こそ正々堂々と勝負するべきなんだ。…兎の支持者たちによって、とうとう再勝負の日程が決められて、兎と亀はもう一度駆けっくらで競うことになった。有るはずもない不正を恐れた皆の万全の手はずによって、連絡を取ろうと必死になった兎の努力も空しく、兎と亀はその当日まで会うことなく、いよいよその日を迎えた。スタートから、勝負は決まっていた。兎は走り出しながら、みるみるうちに小さくなって行くに違いない亀の姿を思いながら、すまないすまないと繰り返し、ただただひたすらにコースをたどり、一気にゴールに飛び込んだのだった。歓声が上がるのを苦々しい思いで聞きながら、兎は最初の駆けっくらで、全力を尽くさなかった自分を恥じていた。亀は何も言わずに、最初と時と同じように、のろのろとコースをたどっている。違うとすれば、今度は大穴ねらいで、自分には掛けたりしていないということだろうか。一人勝ちはいつも世の中も許されないものである。それがたとえ違法なモノでないとしても・・・と、亀はそう思いながら遙か遠くのゴールをひたすらに目指すのだった。
2006/01/24
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新年会の帰りに通りかかった店先には「火星売ります」と紙が貼ってあった。馬鹿馬鹿しさに誘われて入ってみると、店の中にオヤジが一人暇そうに座っているだけだった。オヤジは俺をじろりとみると、妙に太い声で・・・いらっしゃいと声を掛けて来た。俺が、表の紙を指差しながら・・・火星は幾らだと聞くと、オヤジの奴ときたら、冗談みたいなそれこそ天文学的な数字を言うものだから、俺は大笑いして褒めてやったんだ。・・・新年早々、出来の良い冗談だとね。オヤジは済ました顔で、・・・これでも、バーゲン価格です。というものだから、ますます俺は笑った。・・・ところで、「地球」は売っていないのかい?と聞くと、オヤジはにやりと笑って、・・・残念ながら「売約済」でございますと言うと続けて、・・・ちょうど、お買い上げの方がお見えになったようでございます。と太い声で言ったんだ。オヤジがそう言ったとたん、あたりは突然暗くなり、天から高らかにラッパの鳴り響く音が七度轟いた。
2006/01/10
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さぁ、今日から、今年一年の仕事開始だ。とは言っても、年中無休の休みナシの仕事だけどな。それにしても、なにしろ、去年から出番が充実してきたのだから、ますます張り切るってものさ。何がだって、やっと去年、死んだ人数が赤ん坊の数より多くなったって言うじゃないか。丙午の年も大したことなかったし、おまけに次の年でえらく持ち直してしまったし、なんと言っても昨今の少子化ブームのおかげだね。え?私の仕事は何かって?誰だい、わかったような顔付きで、葬儀屋だろうなんて言ってるのは…年中無休と言ったじゃないか。そう、私は死神だよ。日本の皆さん、今年もどうぞ、よろしく。
2006/01/05
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新年のご挨拶を申し上げます。昨年は、大変にお世話になりました。恙無く年を越せましたこと、皆々様のおかげでございます。さて、本年につきましては、自転スピードを1/100程度加速を予定しております。この措置に伴いまして、今年の一年は昨年より約1週間程度短くなる見込みでございます。どうぞ、引き続き本年も、ご理解ご支援の程、よろしくお願いいたします。地球エネルギー削減推進本部から、20××年新年のご挨拶を申し上げました。
2006/01/04
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…こりゃなんだい、宝船に乗った七福神の人形。招き猫は、右手上げと左手上げとそれぞれ一匹ずつ。福助もいるし、達磨は両方ともギョロ目が開いてこっちをにらんでやがる。四葉のクローバー入りのキーホルダーって、これ本物かぁ。それに、なんだこの変なおっちゃんは?仙台四郎だって???えーと、頭のとがってるのはビリケンとか言ったよな。あとは、干支にちなんだお犬さまシリーズかい!折角、年初めの運試しで大枚叩いて福袋を買ったっていうのに。いくら福袋だからって、こんなしょうもない縁起物ばかり詰め込みやがって。こんなことなら、食料品の福袋でも買うんだったな~。…えーい、こんなもの、こうしてやる!投げ捨てられた福袋は、部屋の角にぶつかって、ぐにゃりとつぶれた。しょうがないので、俺は潰れた福袋を見下ろしながら、大口開けて笑ったんだ。だってさ。笑う角には福来るって言うじゃないか・・・…ははははははは・・・・・はぁ~
2006/01/03
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…お父さん、お年玉は無理しなくてもいいからね。借金の支払を延ばしてもらうため、今日も一日頭を下げて回って、くたびれ果てた父親の肩を叩きながら、子どもはそう言った。父親は、小さな手を取ると、…心配いらないよ…と、笑ってみせた。大晦日除夜の鐘が鳴り終わるころ、父親は子どもにありったけの厚着をさせると、初詣に出かける人混みを尻目に歩きだした。子どもが、歩き疲れてむずがると、父親は子どもを抱き上げ、背中に負ぶい、自分のマフラーを子どもの顔にそっと架けると、また歩き続けた。夜が明ける少し前、父親と子どもは、海辺に着いた。穏やかな波が寄せては返す浜辺は、仄かに明るくなっていて、長くうねる砂丘のところどころに人影があったが、どこまでも静かだった。父親は子どもを降ろすと砂浜に新聞紙を敷き、自分の肩に子どもの頭をも垂れかけさせると並んで座り、ぼんやりとまだ暗い空を見上げた。子どもは目をこすりながら、珍しそうにあたりを見回した。…もっとお前が小さい頃に、一度来たことがあるんだよ。その時は、お母さんも一緒だった…暫くして父親は、ぽつりとつぶやくと、子どもを促し立ち上がった。…ほら、お前にあげる今年のお年玉だよ。父親は、遙かな水平線を指差して、子どもに笑いかけた。父と子の顔を明るく彩りながら、朝日がゆるゆると天空を昇っていく。
2006/01/02
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その男に肩を叩かれたのは、ちょうど0時の鐘が鳴り始めたときだった。…探しましたよ!寒さのためか唇を少し震わせてその男は、俺に言った。…アナタでしょう、アナタに間違いないですよね。なんだか酷く興奮した様子で、男は俺に問いかけた。…アナタ、戌年の戌の日の戌の刻に生まれた年男ですよね。鳴り響く鐘の音にも負けないくらい大きな声で男は俺に確かめた。確かに、俺は年男だが、戌の日戌の刻だったかどうかまでは知らない。そう男に言ってやろうと思ったのだが、あまりに鐘の音がうるさくて、面倒になってしまった。男は、満足そうに頷くと、…ああ、これで、無事に年が越せる。と、言いながら、俺に何かを渡そうとした。一瞬、やばいような気もしたのが、最後の鐘が鳴るのにあわせて、男は俺にその箱らしきモノを渡すと、…あとは、よろしくお願いしますよ。と、言うと、コートを翻して足早に雑踏に消えて行ってしまった。鐘が鳴り終わると同時に、そこかしこで花火が打ち上げり、人々の歓声が響くのが聞こえてきた。一人取り残された俺は、今のはなんだったのかと首をかしげながら、男が残していった箱を開けてみた。箱を開けると、昔の御伽噺に出てくるような白いひげで白装束の杖を持った小さなじーさんが、ちんまりと座っていた。俺と目が会うと、じーさんはやおら立ち上がると、コトシハ オマエダナ。と、言った。そして、俺が答えるのを待つまでもなく、サア ライネンノ トシオトコヲ サガシニイコウと、言うと、あまりのことに呆気に取られている俺を、オマエガ サガシダサナイト ライネンガ コナイゾヨサガシダスマデ ワシハ オマエカラ ハナレナイノダゾと、叱り付けた。おどおどしている俺が、それでもじーさんになんでだと尋ねると、ワシハ トシガミジャヨルトシナミデ トシオトコヲ ジブンデサガスノモ メンドウニ ナッタデナヒトサガシハ ダレカニ サセルノガ イチバンジャヨと、言ったのだ。
2006/01/01
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