闇光線

闇光線

真実


 彼らの強みはその下調べにあった。隅から隅までぬかりなく調べつくされ、その星を侵略するのにどの手段をとればいいかが慎重に審議され、そして慎重に実行に移される。その慎重かつ緻密な作戦にはどの知的生命体も手も足も出ない状態であっさり降伏するか、そのまま滅ぶかのどちらかだった。
 太陽系の場合も小惑星の数から内部の地質まですべて調べ上げた彼らは、知的生命体が第3惑星にしか住んでいないこと、第3惑星はオゾンの層で守られていることなどが報告された。その後、審議が開始された。
「えーーーーー、今回の太陽系の侵略ですが、えーーーーー、どういうものにいたしましょうか?」
総勢300人の審議会のメンバーが頭をひねる。そして、地球時間で2時間後、一つの案が出た。
「えーーーーー、第3惑星を爆発させて、えーーーーー。ほかの惑星を侵略するというのはいかがでしょうか?」
すぐにまたメンバーが頭をひねる。さらに3時間後、反対意見が出た。
「えーーーーー、第3惑星が我々が住むのには一番適しているとの報告がありますが・・・・・。」
こうして彼らは慎重に審議されてゆく。地球時間で6年後、ついに判決が出た。
「えーーーーーっと、というわけで、えーーーーー、第3惑星を、えーーーーー、なんだったっけ?」
議長が聞いても、誰も覚えていない。そしてまた6年の歳月が流れる。
そしてやっと、侵略のための書類が発行された。
その作戦は地球を熱して、その惑星の生物を殺すというものだった。この書類までたどり着くのに18年たっている。そしてやっと地球が熱され始めた。ゆっくりと、だが確実に。
 地球にはたくさんの環境問題が提示さえている。酸性雨、砂漠化、熱帯林の破壊、資源枯渇、水質汚濁、大気汚染、そして地球温暖化。温室効果ガスが原因という科学的な証拠は、何一つない。つまり、我々は知らない間に宇宙人に侵略されていることだってあり得なくないのだ。


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