へっぽこ院長の独り言

【痙性と付き合う】



『痙性とうまく付き合う』

痙性と聞くと、悪いイメージが強い。車椅子に乗っていて起こると落車しそうになったり。テーブルや布団を跳ね上げたり。ステップに置いた足が小刻みに震えたり。立位で膝ぬけしたり。ベットに寝る際、全身が突っ張ったり。お腹の痙性で呼吸しずらくなったり、気持ち悪くなったりと、挙げたらきりがない。ならば薬やリハで押さえ込んだらどうなるだろう。ある程度の運動機能が回復された方は良いかもしれないが、私ならたぶんタコのようにフニャフニャになって、力が入らないだろう。
好意的に痙性を考えるならば、何らかの運動機能の残存に苦労している裏方さんに思える。小刻みに震えれば、筋の刺激や血液の循環を必死にしているのかもしれない。病的と言ったらそれまでだが。
わたしなりの考えですが、痙性は運動のスイッチだと考えます。米国のプロジェクト・チームも、痙性がない患者さんには痙性が起こるようにアプローチするそうです。神経の誤作動であろうが何らかの神経のお仕事があることは望ましいという考えだと思います。なぜならその憎き痙性で運動をさせるからです。私も水治療で立位になる訓練をしていますが、じっとしていると膝抜けがして、力が入らなくなります。歩いている方が膝抜けしづらいです。なぜか?実際自分の力だけでは歩行できません。痙性の伸展パターン(足が突っ張る)を使って歩いたり立ちます。抜けそうになるとPTのN先生がももを掴んだり揺すったりして刺激して痙性を起こします。歩行は、ゆっくり歩くと膝抜けするので、次々と足を運びつま先がつくと痙性が入り力が入ります。今の段階では痙性を上手く利用して運動することが必要だと思います。
入院したときに、左足の親指に痙性が初めて入りました。その時に居合わせたMG先生と話し、曲がる痙性が起こるとき、一緒に曲げる意識を持ったらどうかと試したところ何とかコントロール出来るようになった。それから今度は逆に抵抗するように伸ばしてみる意識を持って力を入れるようにしたら、これも時間がかかったが出来るようになった。そのパターンで動き始めたものはみな試してみた。動くようになってからは、痙性が使える運動には利用した。今でも同じである。
私が思うのに、痙性も使い方があるように思う。痙性が起こったら止めるのには、それ以上の力で押さえ込む。国リハでも、車椅子に乗っていて小刻みに震えだしたら、PTの先生が膝を強く押し込んで止めた事があるが、そんな経験をした人もいると思う。立位訓練で立つが、筋力が無いまたは弱い場合は、重力で押さえ込まれるため筋が仕事ができない。車に乗るとき私は助手席に乗るが、足が少し角度のついた床に着く。その時に力を入れるとかなりの突っ張る力が入る、体重を支えるだけの力はないが、足を伸ばす際に痙性が働き、自分の意志で何回でも自由にそれが出来る。このような状態にしての訓練が出来る。あまりの負荷がかかりすぎると運動は抑制されてしまう。その微妙な力加減の狭間に運動訓練のヒントが有ると考える。
立位訓練は、内臓。筋や靱帯・関節には大切であるが、体幹訓練をしっかりと並行して行わないと危険だと思う。それから立つのと歩くことはまた別の運動であり、リハビリも別のメニューが必要だと思う。私はまだ基礎訓練が少ないので、積み上げて立位、歩行へと進んでいかなければならないう。どのようにメニューを作り上げていくかが課題である。



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