シングルママは大忙し

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我が愛しきモノ;物;者(音楽編:その1)

苦しい時こそ笑顔


まだ独身で働いていた頃、時間外労働時間が200時間をこえるような激務をしていた時があるのです。そんな激務の中、興味があって声楽を習っていた事がありました。今考えても良くそんな時間があったものだと思いますが、人というのは興味があること、本当にやりたいと思う事には何がなんでも時間を作るものなんだなぁ~、なんて思います。
そう忙しい、時間がないなんていうのは言い訳に過ぎないと...
(まぁ、本当に忙しくて時間がとれないということもあるのですべてが逃げではないと思いますが)

で、なぜ声楽を習ったかというと『カルミナ・ブラーナ』という楽曲にたいそう惚れ込んでしまったからなんです。この楽曲のソプラノパートが歌いたい!なんて思ってがんばっちゃいました。
このカルミナ・ブラーナとは?

カール・オルフという作曲家が作った世俗カンタータ(註1参照)の題目です。この曲は彼の出世作と言われています。

カルミナ・ブラーナもう少し詳しく説明すると、

1803年、ドイツのバイエルン地方にある、ある修道院が国有化された時、その修道院の図書室から古い歌を集めた写本が発見されました。その中には約300編もの歌が収められており、ラテン語、古イタリア語、中高ドイツ語、古フランス語などで書かれ、若者の怒りや恋愛の歌、パロディなどの世俗的な内容のものが多かった。おそらく、この修道院を訪れた学生や修道僧たちが歌ったものを書き留めたものであろうと。中にはネウマ記譜法(註2参照)という方法によって簡単な旋律がつけられているものがあった。恐らく12から13世紀の歌と推測され『カルミナ・ブラーナ』(ボイレンの歌)という題名で編纂され1847年に出版された。

その編纂されたものの中から24の詩を選んで作られた物が、わたしの惚れ込んだ『カルミナ・ブラーナ』という世俗カンタータというもの。楽曲は3部構成になっています。
実はこれは聞くよりも本当は見た方がいいものなのです。このカルミナ・ブラーナには副題がついていて、『楽器の伴奏を持ち舞台場面にによって補われる独唱と合唱の為の世俗的歌曲』となっているのです。そう、この曲はオペラなどと同じように歌手が衣装をつけて歌い、合唱団が配置され、それと同時にその歌に応じたバレエが演じられる事によって楽曲を表現するものなのです。チケット情報誌のクラッシックのページを丹念に探すと、年に1、2回程度、バレエ入りで演じられています。

このカルミナ・ブラーナの第一曲目と最後の曲が同じ曲。同じ曲にはじまり同じ曲で終わります。その題名は『O Fortuna』(おお、運命の女神よ!)です。この曲はよく映画のサウンドトラックなどにも使われているので聞いた事があると思います。詩の意味としては『月のように美しく、またコロコロと心変わりする運命の女神よ!その女神に翻弄された私の人生をみなさんも一緒に嘆いてください!』なんていう内容です。
この曲ももちろん大好きなのですが、他の曲も面白いので聞いて欲しいのです。とくに第2部の酒場にてという場面では、『居酒屋でグデングデンに酔っぱらったオヤジが、オヤジギャグ満載で、クダ巻いている』というようなイメージで聞いていただけると、本当に面白いのです。
クラシックが苦手というかたも、たまには気分を変えてオヤジがクダ巻いたり、若者が恋に悩んだりなんていうバラエティーにとんだ内容の音楽聞いてみませんか?

じつは声楽に通っていた理由、もう一つあるのです。
私が習っていた先生とても面白い人だったのです。
何しろ私は、当時、物凄い激務。徹夜あけでげっそりした顔でレッスンなんてことも...
そんな疲れて、ストレスを溜め込んだ私を見た先生は、
「ストレス、一杯溜まってるみたいだから、『バカヤロ~』で発声練習しようか?」なんていう先生。
そうレッスンの時『バカヤロ~』で発声練習してました。叫ぶんじゃないんですよ。あくまでも発声練習。アアア~~やウウウ~~などの代わりにね。

頭にきてる人の顔を思い浮かべて、はい!
♪♪バカヤロ~~♪♪♪

でもそんな発声練習も高い音にくると非常に苦しい。つい苦しい顔で歌を歌ったりすると先生にすかさず、

苦しい時こそ笑顔よ!

と言われてしまうんです。そう苦しい時に苦しい顔で歌うと見ている人、歌を聞いている人までみんなが苦しくなってしまう。そんな時は笑う事ってね。

先生がいったその言葉は、単に歌についてだったかも知れないけれど、私は思うのです。
歌に限らず人生においても『苦しい時こそ笑顔!』と


註1:カンタータとは17、8世紀のバロック時代に発展した声楽曲の形式の一つで、独唱・重唱・合唱と楽器伴奏で構成されています。歌詞の内容により『教会カンタータ』と『世俗カンタータ』があります。

註2:ネウマ記譜法とは中世の譜面の表記法です。その方法はメロディーの動きを目で見えるように曲線や点を使って表したもので、カーブを見ればメロディーの起伏はわかるけれども、どこの音から始るかなどは難解でまたリズムやテンポも不明瞭。知らない曲を読み取る事は難しい表記法です。
グレゴリオ聖歌の表示法として一般に知られています。


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