幸福な日々

愛す姫 恋す王子


海の王も山の王もそれはそれは大切に子どもらを育て上げました。

大人になった王子と姫は王様達の命令で偶然、同じ学び舎に入る事になりました。
そこで出会った二人は独りで居ては危なっかしい姫を放っておけない王子と
優しいまなざしをくれる王子に姫は安心感をもち、恋に落ちました。

しかしその恋はしてはならないものでした。
海の王と山の王の間には過去確執があり、今だ冷たい空気に包まれていたのでした。
当然二人が一緒になる事は許されません。
しかし二人は離れる事など思い付きません。静かに時が来るのを待ちました。
8年の月日が立ち、姫は「一緒に城を立ててしまいましょう、きっと王達も諦め、祝福してくれるわ」王子も賛成し、城を建てました。

しかし、運命は許してはいなかった・・・
城を建てた一ヶ月後、海の王が重い病に倒れ、王子は海の国に即刻戻るよう命じられてしまったのです。
王子は泣く泣く姫を独り城において帰って行きました。

姫は気丈にも「しょうがないわね、運命だったのよ」と諦め、しばらく悲しい日々を送りました。
だいぶ痩せてしまった姫はその時、平野の王子に巡り会いました。平野の王子はスマートで優しく姫を楽しませてくれました。
姫は徐々に元気を取り戻して行ったのです。
平野の王子を好きになり姫は気づいた事が一つ。王子の心の鍵が見つからないのです。いくら探しても見つかりません。
姫は(もしかしたら別の姫様が持っていらっしゃるのでは無いのかしら?)と考えはじめました。
しかしまだ姫は優しい王子に逢いたくて仕方が無い。しばらくの間魔女から貰った「知らぬ振り」の薬をのむ事にしたのです。その薬はなんとおそろしい薬でしょう、飲む事に姫の体力までか、王子に罪悪感まで背をわせてしまいます・・・。

そして薬がきれ、「もう一度この薬が必要かい?」魔女が姫に言いました。姫は「わたくしの身はかまいませんが、王子の苦しそうなお顔はもう見たくは無いのです・・。もう必要ありません」

そして姫は王子に囁きました。
「王子、今までありがとう、姫には王が決めた婚約者がいるのです、もうおわかれですね」
平野の王子も「それはよろしい事です。今までありがとう、幸せに」と姫の元を去って行きました。

姫は悲しみにくれましたが、平野の王子の別の姫様を憎らしいと思う前にさようならを言えた自分だけを支えに、強くなろうと決心しました。

そして今山の姫は眠りについています。
つかれた心を少しばかりお休みさせて下さい。KO

そして目覚めた時に本物の赤い糸を硬く結んでくれる王子と出会うのを楽しみにしているんです。
MN




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: