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2018年04月02日
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カテゴリ: 水滸伝


「岳飛伝17」北方謙三 集英社文庫

遂に「大水滸伝シリーズ」が完結した。ずっと私は、最後の場面を想像していた。王清の笛の音で終わるのかと思っていた。或いは、水の滸の物語であるのだから、象の河のほとりで終わるのかと思っていた。ところが、「あの山」の麓で終わった。終わってみれば、やはり「彼」で終わらすのが当然なのだ。彼だけが、一巻目から登場していたのだから。

それぞれの主人公の終わり方も、それぞれ象徴的だった。宋江は旗を次の主人公に託して自死した。スーパーマン楊令は、岳飛とウジュに勝って毒殺された。主人公は負けないのである。けれども退場するのである。蕭珪材が「剣が私に死ねというのか」と叫び岳飛に切られて「岳飛伝」が始まったように、ちゃんと対になるように、岳飛の死が描かれた。流石としか言いようがない。

「音もなく、見えることもなく、国は崩れるのか」
「腐るよりは、いいな」
低い声で、秦檜が笑った。
秦檜の人生も、自分の人生も、この程度で終わるのだろう、と岳飛は思った。
「面白かったなあ、秦檜。おまえいて、俺は生きられた」
「同じだ、岳飛。面白かったし、愉しかったとも思う」(226p)

こんな宿敵が居たなら、ホントに人生愉しいだろうな、と思う。漢(おとこ)の見果てぬ夢である。

ただ、南宋の場合は、秦檜と岳飛の会話で、なんとなく決着の付け方はわかったが、金の行方がわからなかった。あれほど抗金のために命をかけて戦った結果を全く見せなかったのは、納得いかなかった。あれで、ホントに金国内の民は幸せになるのか?もしかして、それは「チンギス紀」で描くというのか?

ところで、集英社さん!「読本」は出すんですよね⁉︎お願いしますよ!その時は、シリーズを通しての年表と地図をお願いします!

2018年3月末日読了





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最終更新日  2018年04月02日 08時38分26秒
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