2007年揚雲雀俳句抄


平成19年度俳句作品抄





箕に供ふ鎌と稲穂や秋収
霜柱傾ぎて光るもぐら径
敷藁を干しゐる牛舎冬うらら
湯の花を足湯に溶きて冬籠
師の句碑に桜冬芽の影ゆるる

地下足袋で泥鰌提げ来る寒見舞
風花や膠の匂ふ木偶屋敷
赤米の穂の垂るる注連飾りけり
ボタ山の松にとび交ふ冬の鳥
出来たての藜の杖を年棚に

地卵を買ひ凍餅をもてなさる
凧揚がる炭住跡の大広野
日脚伸ぶ古漬刻む夕厨
旧正の護摩札届く餅添へて
草にとぶ野鍛冶の火花春浅し

鍬の柄に楔打ち込む雨水かな
影確と剪定終る梨畑
峡の田の鋤き藁腐つ雨水かな
如月や大石据うる造園士
ご詠歌の稽古休みや花菜漬
草の芽を踏み天神の鈴鳴らす

野蒜抜く竹棒の先尖らせて
車井戸軋み通しや彼岸寺
楼門の高きを蜂の潜りけり
祓ひたる潟に幣浮く汐干狩
花篝名残の薪の濡れてをり

納屋奥のふくべより出す種袋
窓際に野鳥の図鑑四月尽
夕月や谷へなだるる梨の花
芹摘むや吟行に持つ肥後守
しんがりは小振りの一羽巣立鳥
ひそやかにどぶろく届く花見時

繋船に八十八夜の潮なれり
海霧晴るる浜街道や車輪梅
円墳の松に吹かるる蛇の衣
田に落ちてより勇みけり荒御輿
棕櫚の皮入るる金魚の産卵に





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