くろの旅

くろの旅

しあわせなクリスマス

しあわせなクリスマス



クリスマスイブの夜、
あるおんなの子が、部屋の窓から、外を眺めていました。
空からは、音もなく、しんしんと雪が降っています。

「今年は、本当にいい子にしていたから、
サンタさんは、きっと素敵なプレゼントをくれるに違いないわ」
おんなの子は、前から欲しかった
ピンクの毛糸で編まれた、可愛いミトンの事を
思い描いていました。

「ふわぁぁぁ、なんだか眠くなっちゃった・・・」
おんなの子は、カーテンをそっと閉めると、
ベッドに入り、うとうとしはじめました。

夢の中で、おんなの子は、
枕元につるしたくつしたの中に、
素敵なピンクのミトンが入っているのを見つけました。
おんなの子は、早速そのミトンをはめると公園に行き、
お友達とみんなで、大きな雪だるまを、作り始めました。
「なんて楽しいクリスマスなんでしょう!」
おんなの子は、眠ったままで、
「クスッ、クスクスッ」
と笑い始めました。

「クスッ、クスクスッ・・・」




街全体が、寝静まった頃。
おんなの子の部屋の扉が、そっと開きました。
「どれどれ、おんなの子のお部屋は・・・
おっ、ここじゃ、ここじゃ。」
サンタさんが入ってきました。

「おやおや、なんと? この子は、寝ながら笑っておるぞ。」
サンタさんは大きな袋から、ピンクのミトンを取り出し、
枕元のくつしたに入れると、
おんなの子の寝顔をしげしげと見つめました。
「それにしても、なんとまあ、楽しそうな笑顔じゃのお。
いやはや、わしまで楽しくなってきてしまいおった。
クスッ、クスクスッ」

そして、おんなの子のほっぺにそっとキスをすると、
次のこどもが待つ家へと向かいました。



ところが、
とっても楽しい気分になってしまったサンタさんの笑いは
一向に止まりません。
「クスッ、クスクスッ・・・」
結局、サンタさんは、街中のこどもたちのくつしたに
プレゼントを入れているあいだ中ずっと、笑っていました。
「クスッ、クスクスッ・・・」




こどもたちはみんな、
夢の中でサンタさんの笑い声を聞きました。
そして、楽しくなって、
眠ったままで、
みんな笑い始めました。

「クスッ、クスクスッ・・・」
「クスッ、クスクスッ・・・」

「クスッ、クスクスッ・・・」
「クスッ、クスクスッ・・・」



「ガラーン ゴローン ガラーン ゴローン」
翌朝、教会の鐘が、街中に鳴り響きました。
こどもたちは一斉に飛び起き、
すぐにくつしたの中をのぞきこむと、
プレゼントをとりだし、歓声をあげました。

プレゼントの包みをあけながら、
こどもたちは、昨日の夜の事を思い出していました。

「よく覚えていないけど、
なんだか、とっても楽しい夢を見ていた気がするなぁ」

そして、こどもたちは一斉に、
「クスッ、クスクスッ」
と笑うと言いました。

「メリークリスマス! クスクスッ」

                        おしまい




ご意見、ご感想など、お寄せいただければ幸いです。

そして、これを読んでくださったあなたにも、
しあわせなクリスマスが訪れますように!
クスクスッ

                        くろ


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