草原家の日々

子どもの絵の見方

 子どもの絵の見方 



遠足や運動会などの行事のあとに楽しかった思い出を絵にしたり、母の日のプレゼントにお母さんの似顔絵を描いてみたり。
まだ文字の書けない、言葉も十分でない幼児期には、絵というものがとてもストレートな表現方法となるのです。
幼稚園で絵画指導を行う場合は、描く前の段階に重点をおきます。
例えば遠足を題材にするとしたら、まず当日の様子を子どもたちとよく話し合います。
どんな物を見て、どんな事を感じて、なにが楽しかったか。
何を描くかを考えるよりも、楽しかった思い出で心の中をいっぱいにして、そこから溢れ出すものが絵となるようにするのが理想です。
そのような絵には、たいてい一番印象的だったものが真ん中にどーんと大きく描かれています。
一目見て、「こんな事が楽しかったんだな、心に残ったんだな」という事が伝わってくる絵は、子どもが心の中のものを伸び伸びとまっすぐに表現できているということです。

また、子どもの絵の特徴には 「視点の違い」 があります。

大人はいつも同じ高さから物を見ます。
高い木を見るときには視線を上げるので、梢の向こうには青空が見えます。
逆に根元を見るときには視線を下げますが、木のまわりは土の表面で、地中の根までは見えません。
一方、子どもの場合は全てのものを水平に見ます。
高い木を見るときには見上げるのではなく、視点が木の高さまで引き上げられるのです。
つまり梢を真横から見ているのです。
青空は更に高いところにあるので、梢の向こうには決して空は見えません。
また、木の根元を見るときには視点が地中までもぐるので、根っこもきちんと見えています。
すると、このような絵になります。

このとき、大人はどうしても背景の白が気になってしまうのです。
そこで「木のうしろには空の色をぬりましょう」と言って、白が残らないように水色でぬりつぶしてしまいます。
すると、空ではなく、水色の大きな壁になってしまうのです。
子どもの視点では木以外のものは見えないのですから、背景が白いのは当たり前です。
無理に画用紙全体に色をつける必要はありません。
空はあくまでも高いところにあるものですから、画用紙の上に幅数センチで空色がぬってあれば十分なのです。
この点だけでも知っておくと、子どもの絵の見方は随分かわると思います。

おまけ
運動会の絵を描くときには必ず白組の「白」を使うので、真っ白な画用紙ではなく、グレーやクリーム色の画用紙を用意します。








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