仙燐眼

仙燐眼

別居の覚悟の後



ぼろぼろに泣いて電話してきた。

「何でもするから、戻ってきて欲しい」
「今までの行動を全て改めるから、お願いします」
「今度こそちゃんと反省しました」

毎日、同じ事を繰り返した内容での電話。

何回か話を聞いてるうちに、
一回だけチャンスをあげてもいいか、という気持ちになってきた。

そして、又、夫の元に戻ってしまった。

丁度その頃、
大手雑誌編集社で社員を募集する広告があった。
丁度、職を失っていたので受けてみたら、
これが、採用試験トップで合格してしまったのだ。

そして、
全く今までとは畑違いの仕事に携わることとなった。

しかし★
この仕事はアダとなってしまった。

夫は結局何も変わらなかった。
残業で遅くなると言っても、
やはり、違う場所に寄り道して帰ってきてくることがすぐに分かった。

雑誌編集の仕事があまりにも楽しくて
自分にもこんな才能があったのかと思うぐらいに業績もアップすることができた。
当然給料に跳ね返る金額も大きかった。
私はこの仕事を辞めたくないって思うようになっていた。

でも、夫は変わらない、
稼いでも、結局また出て行く、
というか、今度は勝手に通帳を盗み、
夫が、全て使っていることが繰り返された。

もし、仕事が順調でなかったら・・?
例えば、うまくいってても精神的に辛い仕事だったら、
迷わずに再び、夫の元を去っていたはず、

確かに心決めて出て行った後に戻った時に
「今度こそちゃんとやろうね★
すっかり、足洗おうね、家族みんなで笑って過ごそうね」
なんて約束していた。

でも、夫の元に戻ってから2週間もしないうちに
全く同じような夫の行動に目を向いた。
家庭のやすらぎどころか、
毎晩11時過ぎに帰る毎日
休みの日も同じ。
朝から、スポーツ誌を買い、8時過ぎには出て行き
夜中に帰ってくる様。

何も変わらなかった。

寂しかった。

忙しかった。

まだ、子供と私だけのが良かった。

寝る時間になって、やっと帰る夫。
それから、食事をして、寝る支度までに無視ばかりするわけにはいかない。
何もかもがリズムがおかしい毎日だった。


仕事はうまくいっても
家庭は火の車。
これでは何にも意味がない・・・

でも、仕事を辞めたくない・・
実家に帰れば、
当然に辞めなくてはならない。

だから、ひきずった。

仕事中はなるべくこれについて考えないようにした。
でも、本当は毎日悩んだ、

究極の選択だった。

仕事をとって、この堕落しきった夫とずっとやっていくのか、

又は仕事も捨てて、
全てリセットするのか。

精神的にはどうなのか?

それらを秤にかけて、どっちが比重大きいのか?

こういう時って、
もちろん
お金だけの問題だけでは考えられない。

子供の将来について。
私の精神的な負担について、
夫の将来について。
家族としての各々の精神状態はどうか?

もし、本当に離婚したら、
その後はどう生きていくかの人生設計は・・?

迷った。

何もかも捨てて、我慢しても
この仕事にしがみついていきたいという気持ちが大きかった。
それだけのウエイトが大きかった。

でも

とうとう二回目に又、子供と一緒に家出することになりました。


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