本棚左側2段目後ろ側・・の半分


全冊に簡単でも評を書きたくもあり、中々書き始められませんでした。
んで。
後ろ側と前側に分けます。しかも後でまた半分にしました。

こちら側は全冊「子母澤 寛」
もう知っている人も少なくなったであろう作家。
北海道出身だが、創作活動も含め成人してからは北海道を離れている。
昭和初期に新聞記者をし、その当時にすでに数少なくなってきていた明治維新の生き証人達に直接取材し、後にまとめて「新撰組始末記」他の「新撰組3部作」を書いた。
北海道では幕府の御家人であった祖父に育てられ、生粋の江戸言葉を聞いて育った。
画家の三好好太郎は異父兄弟。

「勝海舟」1~6巻 新潮文庫版
今から考えてみても、そもそも何故この作家を読み始めたのかはもう忘れてしまったが。
ただ始めて読んだ時に古めかしい表現に辟易半分だったのが、読み進むにつれてどんどん引き込まれていったのはよく覚えている。
私なんかは明治の人の精神を尊敬しているが、その明治の人は「侍の精神」を尊敬しているのだな、という事は理解できた。

文庫版でいうと第5巻の途中頃から微妙に表記が変わる。
これは執筆時期の影響が大きい。
変わった時期に終戦があった。

正直言うと誰にでもお勧めできる本ではない。
独特の言い回し、省略の利いた表現などが多く、ある程度時代小説を読んだ人でないと馴染めないだろう。

またある人には偏った見方が多すぎると感じられるだろう。

しかし、これは読むべき本の一冊に挙げたい。

「父子鷹」(おやこだか) 新潮文庫版
これは「勝海舟」の前の時代を書いたもの。
小説臭がより強く、面白さはこれかな。
勝海舟の父、勝小吉を主に描いている。
勝小吉という人は無学であったが「夢粋酔言」という秀逸な遺言に代わるべき言葉を残している。

「おとこ鷹」 河出書房「国民の文学7」
3部作の最後。
前2作と内容が重なる部分が多く、図書館では借りていたが購入したのは随分後。
購入の決め手のなったのは巻末の年表だったりする。

「新撰組始末記」角川文庫版
下母澤 寛が作家として世に出たきっかけとなった作品。
小説というよりはルポルタージュに近い筆致。
初版は昭和3年。

「新撰組遺聞」「新撰組物語」共に中公文庫版
以上3冊が所謂「新撰組3部作」といわれている。
遺聞の方はネタ帖のような書き方、物語の方は幾分小説体に近い書き方になっている。
しかしかの司馬遼太郎が新撰組の小説を書くに当たって、どうしてもこの3部作抜きでは書けず、まだ存命していた子母澤の自宅を訪ね、許可を得たというのも有名な話。

「小説のタネ」文藝春秋新社
この本には思い出がある。
古書店に行ったら、買い取ったばかりの本の束にこれが見えた。
まだ値段がついていない。
こういう時はあせると高値をつけられてしまうのだが、その辺はさりげなく他の本を眺めるふりをしつつ思い切って値段を聞いてみた。
「んっ、800円くらいかな」
よく見ていなかったのか、信じられない安さ。

実はこれは発行が昭和30年にもかかわらず表記が旧仮名遣い。
しかも発行者の名前に「車谷 弘」とある。
うわーい。

「侠客列傳」 鱒書房
珍品度はこれが一番だろう。
昔の本は全集でもない限り、見返しに著者の印鑑が押してあった。
これにもある。
いつもは安い全集本の端本しか買えないのだが、これを見つけた時は思わず買ってしまった。
探している最中でもあったし、古本というのは買い逃すと本当になくなる。
2500円はしたと思う。

これで子母澤 寛の半分くらいです。
後半はなるべくすぐに書くようにします。









© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: