下弦の月

本番



 冗談で彼が良にナイフを差し出して、

「では、新郎新婦初めての共同作業です」

て、渡したとき。


 『なんでやねん笑 それは本番でやるから。
    それはお前らにはちゃんとみせるから』

 私に約束したんじゃなくて、良がトモダチにそれを約束してくれた
 それがうれしかった。

 私にじゃないから、すごく真実味があって、本当にそうなりたいって
 思ったし、良がらしくもなくトモダチにそう話してくれてたのが
 とんでもなく幸せだった。

 やっぱりこの人だって思った。

バスオイル


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