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Chapter:3

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ここ一周間、近所での殺人がぴったりと止んだ。


しだいに朝や帰りのHRでの注意も簡単なものに変わってきている。


一方の僕も冴鳥を疑いつつも、わずかに信用するようになってきた。 席が近いせいもあるが、しだいに打ち解けてきて、ノートの貸し借り程度はする仲になった。


あの夜見た彼女は他人な空似だったのだろうか。

「透君、じゃあね」 手をふって返す。


空は雲一つない快晴。

夕方といっても、夏なので太陽はまだ高く強い日差しが照り付ける。

――今日の夜は久しぶりに散歩に行ってみるかな…。

そういえばここ最近は例の殺人のせいで、ずいぶんご無沙汰となっていた。

家の醤油がきれていることを思いだしたが、あまりに暑いため直接帰ることにした。


   **************

適当なジャージに着替えて、支度をする。


―――せっかく久しぶりの散歩なわけだし、隣町とあたりまで行くかな。

相変わらず夏の空は高く、様々な星が瞬いている。

久しぶりの、夜に出歩くという独特の感覚を体全体で感じながら、ひたすら歩いた。


          ***************


帰り道で違和感を覚えた… だれかに見られている感覚。


そしてもうひとつ―― そこは殺害を目撃したあの場所だった。


最悪の可能性を考え、体がすくむ。 どこから見られているのかわからない。

―――え……… 前方から何かが飛んで来たかと思うと次の瞬間には頬が切れていた。 手についた血をみて、生存本能が恐怖の閾値を越えた。

やみくもに走りだす。もっとも彼女から逃げれるとはとても思えないのだけれど。

走る。走る。走る。


予想以上に長い時間、逃げることができている。

いや、逃げることができているのかはわからないが少なくとも走っている。


恐る恐る振り返ってみたが誰もいない。

上手く捲くことができたのかもしれない。



それでも、走り続け気が付くと家の前についていた。

急いであがりこみ、鍵を閉める。

渇ききった喉に水を流し込む。 それからいくらか冷静になって気付いた。


『顔の横を何かがかすめた』……おかしい……


もし彼女なら……


              ***********


―――――邪魔をされた。


最後に狩りをしてからずっと…例のもう一人をおびき出すために、何もせずに毎日見張っていた。

人の行動は習慣づけられている。

ましてやあの時間帯にここにいたんだし、何らかの用があったに違いない。

だから、私はもう一人がまた必ずここに来る事に賭けた。

まぁ、私は私で自分を抑えるのに必死だったわけだけどね。

ちょうど一周間。


待ち侘びていた……あの時とほぼ同じ時間、まず同一人物に間違えないだろう。

もう少し近くないと暗いせいもあって、はっきりと空間を認識することができない。


昼間ならもう少し射程も伸びるのだろうけど、生憎わたしの領分ではない。



どちらにしろ獲物はこちらに向かってきている。


後、数秒後には真っ二つにできる――――


―――筈だった。


不意に何かが飛んでくる。


何とか反射的にそれを避けた。


ナイフ―いや投擲用ならダガーか――

どうやらひどくおびえているようだし、獲物の方にも投げて私に近づくのを止めたのだろう。走って逃げたが、それを追い掛ける余裕などなかった。



体を物影に隠して飛んできた方向を見る。


「くっ………いない」 続く二本目は避けきれずに腕に刺さる。


こちらから視覚できない以上、逃げるのが上策。


ダガーを迎撃しつつ、撤退することにした。

家の中に入る。


その間、迎撃したダガーは12本、うち完全に避けるまたは打ち落とすことができたのは10本。

まぁ、残り2本も掠っただけなので問題はない。

いったい何本もってるのかしら。


投擲じゃ頭か心臓にでもあたらない限り死なないからいいんだけど、めんどくさい。

家の中はこちらの領分、流石に追ってくることはないにしても朝になったらどうしよっかな……。

                ********

奴に姿を見せることはできない。


しかし家の中では、完全にこちらの不利。


情報量に差がありすぎる。


そもそも、この狩りは彼女が『奴』であるうちに行うように指令をうけている。


「今日は出直しですかね」




中央も面倒な指令を出してくれるものだ………。









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