フィンとリーフのトラキア博物館

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フィンのトラキア戦記(4)




<第36話・炎の皇帝>
ミレトス城を制圧した私たちは、ついにグランベル帝国に入った。

だが、ミレトス大橋をわたりきったところで、皇帝アルヴィスの直属部隊「ロートリッター」と接触する。
さすがは帝国随一の戦力を誇るロートリッターということもあり、かなりの強敵だった。

重騎士部隊によって足止めされている間に、騎馬部隊が本隊に迫りつつあった。

しかし我がランスリッターが、足止め役を担い、その間に体制を立て直すと、騎馬部隊とともに重騎士部隊を一掃した。

その後東岸にある岬で、逃げてきた子供たちが暗黒司祭に追いかけられているとの報を聞き、急いで駆けつけると、子供たちと子供たちを守る司祭は、崖までも少しというところまで追い詰められていた。

しかし私が指揮するランスリッターが、暗黒司祭たちを倒し、間一髪のところで子供たちを救出することができた。

司祭がお礼を述べようとした時、ちょうどセリス様がオイフェ殿とともに駆けつけてきたところだった。

オイフェ殿はその司祭を見るや、嬉しそうに駆け寄った。
司祭の名はパルマークといい、以前シグルド様づきの司祭だという。

パルマーク司祭は、セリス様をみるとすぐに膝まずき、臣下の礼をとる。

そして、白い布に巻かれたものをセリス様に手渡した。
セリス様が布をとると、その剣にはわたしも見覚えがあった。以前キュアン様とともにシアルフィ城を訪れた時に、実物をみたことがあるからだ。オイフェ殿が思わずこの剣をみて、あっと声をあげる。

「これは・・・もしや、聖剣ティルフィング!?一体どうしてあなたが?」
驚くのも無理はなかった。聖剣ティルフィングはシグルド様が持っていたもので「バーハラの戦い」以後、行方不明になっていたのだ。

ある方から託されたものだと、パルマーク司祭はおっしゃった。しかし誰から託されたのかは、一切言えないのだという。

そしてセリス様に必ずシアルフィ城を取り返してください、とパルマーク司祭は告げた。

ティルフィングを掲げたセリス様を淡い光が包む。その光はかつてキュアン様が「ゲイ・ボルグ」を装備した時の光と同じものだった。

シアルフィ城を前に遠距離魔法「メティオ」を得意とするロートリッターが待ちうけていた。

しかしセリス様は怯む事なくティルフィングを掲げると、そのままロートリッターに突っ込んでいった。
慌てて魔法を唱えるものの、不思議な力が働いているのか、セリス様が当たる直前に軌道が代わり、避けていくように地面にあたる。

聖剣ティルフィングは持つものに、相手の魔法を無効にする障壁がかかり、大概の魔法は剣に吸収されるのだと、以前オイフェ殿から聞いたことがある。

たちまちロートリッターを全滅させると、ついにセリス様はアルヴィス皇帝と対面する。

この男がいたせいで、シグルド軍の仲間は殺された。いわば弔い合戦である。

しかし十数年ぶりにみるアルヴィスはどこかやつれているように見えた。まだ40代半ばだというのに、その表情は悲壮感が漂っていた。すべては暗黒教団に実権を握られているからだろうか?

「ふ・・・だが、親子共々私の炎に焼かれることになる。さあ、くるがいい!!」

ティルフィングを掲げているセリス様をみたアルヴィスは、魔法書を取り出すと、魔法を唱えセリス様に攻撃をしかける。

突然炎の柱が何本も形成され、柱が一点に収束されて、セリス様に向けて大爆発をおこした。これが噂に聞く「炎の魔法ファラフレイム」だとは。おそらく普通の兵士なら確実に死んでいるだろう。

しかしティルフィングの魔法障壁に守られたセリス様は、傷を負ったものの無事だった。そしてすぐさまアルヴィスの懐に飛び込むと、聖剣ティルフィングを何度もふるう。相手に反撃をさせなかった。

「見事だ・・・セリス・・・」
そういい残しアルヴィス皇帝は倒れた。その様子をセリス様は呆然としながら眺めていた。

こうしてシアルフィ城を取り戻したセリス様は、市民から歓呼をもって迎えられた。セリス様が手をあげると、その興奮は頂点に達した。

そして、この戦い事態も最後の決戦を迎えようとしていたのである。


第36話・完
第37話に続く・・・


<第37話・最後の聖戦>

アルヴィス皇帝の死から2週間が過ぎた。皇帝の死はまたたく間にユグドラル大陸全域に広がり、各地で帝国軍に反旗を翻す市民たちが続出した。

まずシレジア王国が祖国に残っていた天馬騎士団が中心となり、バイゲリッター率いる帝国ユングヴィ軍から祖国を取り戻した。この報告にセティ王子とフィー王女、そしてフィー王女についていた天馬騎士団は笑顔で聞いていた。ラケシスの祖国であるアグストリアでも勝利の日は近いのだという。

だが、グランベル帝国本国には、まだ帝国の中枢をなす軍団がいる。ドズル家の長男でヨハン公子、ヨハルヴァ公子の兄ブリアンが聖斧スワンチカを持って、我々の動きを牽制していたし、ユングヴィ家にはレスター様とファバル様の従兄弟にあたるスコピオ公子が、フリージ家には魔女ヒルダがいるし、バーハラ城では魔皇子ユリウスと雷神イシュタルが、これといった動きも見せず、不気味な沈黙を見せていた。

そして数日後、シアルフィ城の北東にあるエッダ城から混成騎士団が迫っているとの情報を聞いた私たちは、ランスリッターを率いて即座にエッダ城へと向かった。一方シアルフィ城の北に位置するドズル城からはブリアン公子が率いる、精鋭騎士団「グラオリッター」が迫ってきていたので、こちらはセリス様の軍が迎え討つことにした。

エッダ城から出てきた混成騎士団を打ち破った我々を待ちかまえていたのは、攻撃魔法や間接魔法を得意とする、エッダの僧兵魔法軍団である。

ここではアスベルやリノアン嬢など魔法防御が高い人たちを前線に置き、サフィ嬢や妹であるティナ嬢などに、マジックシールドなど、魔法防御に優れた魔法をリーフ様や私、マリータなどにかけてもらい、弱点を補強する。ただし効果は時間が経つともに薄れていくとのことであり、まさに短期決戦である。

そしてアスベルが風魔法グラフカリバーを放ったと同時に戦いが始まった。

マジックシールドをかけてもらった効果は絶大だった。相手がエルファイアーやエルサンダーの魔法をかけてきても、障壁に包まれこちらには傷すら与えなかった。直接攻撃が弱点であるエッダの魔法兵に、電光石火の突撃作戦は相手の士気に混乱をもたらした。統制が取れなくなったエッダ兵を、次々と撃破していく。

そして城の前を守っていたエッダの領主を討ち取り、エッダ城に突入。玉座を守っていた暗黒教団の闇司祭を倒し、エッダ城を制圧した。

グレイドなどに事後処理を任せると、すぐさまブリアン公子が出撃したことにより、手薄になっているドズル城の制圧に向かった。相手もそこは読んでいたらしく、斧騎士団を差し向けてきたものの、これまでの相手と違い、非常にあっけなかった。大した時間もかからずに斧騎士団を倒すと、あとはドズル城まで一直線だった。

そして手薄になっていたドズル城に突撃し、ドズル城を守っていた暗黒教団の闇司祭を倒す。どうやらグランベルの各城では諸公たちが出撃したあとを、暗黒教壇の闇司祭が守っているようだ。おそらくこれから出撃するであろうフリージ、ヴェルトマーなども同じ方法でくるだろう。

ドズル城を制圧しようとした時、セリス軍が苦戦を強いられているとの報をきき、急いで救援に向かう。

ほどなくしてグラオリッターとの戦場にたどり着くと、すぐさま相手をはさみうちにする。
退路をたたれ混乱状態に陥ったところに、ヨハン、ヨハルヴァ両公子がブリアン公子を孤立状態にする。

しかしいくら彼らでも兄であるブリアン公子を討つことなど出来るはずがなかった。と、そこにリーフ様が光の剣でブリアン公子に切りかかる。
持つ者の守備力を極限まであげるスワンチカを持つブリアンになかなかダメージを与えられなかったが、ナンナが大地の剣の魔力を解放し、リザイアの魔法で公子の体力を削る。物理攻撃に対しては強かったスワンチカであったが、魔法攻撃に対しては、いくらかは効果があったにしろ、ナンナの魔力の前には皆無だった。

ふらついたところをセティ王子が最後は風魔法フォルセティでしとめた。
グラオリッターは壊滅し、私たちは改めてドズル城を制圧した。

だがまだ戦いはこれからである。厳しい戦いは続く・・・


第37話・完
第38話に続く・・・


<第38話・狂気の女王>

ドズル城を制圧した我々は、次の目標をフリージ城に定める。
と、ここで天馬騎士団から有力な情報が手にはいる。

ドズルの北西にある森にユングヴィの弓騎士団「バイゲリッター」が潜んでいるというのだ。リーダーは以前実の父親殺しの公子アンドレイ(エーディン公女とブリギッド公女の弟君)の息子スコピオである。卑劣な手を使う、あのフリージのヒルダがいかにも考えそうなことである。

私たちがフリージ軍と交戦中に、背後から襲いかかろうという策だろう。

天馬騎士団から情報を得たのを参考に、新たな作戦に討って出る。

セリス軍はそのままフリージ城を目指して進むが、我々は西に大きく遠回りをして森の中に潜み、バイゲリッターの背後を突こうというのである。その結果予想した通りに、スコピオ公子率いるバイゲリッターは森の中に進軍してきた。

私たちをフリージ軍の精鋭部隊ゲルプリッターと挟み撃ちにして倒そうとしていた彼らは、私たちがいるのを見て、ようやく自分たちが待ち伏せされていることを知って、あわてて迎撃に出ようとしたのだが、すべては手遅れだった。

まず私とグレイドの部隊がバイゲリッターに突撃し陣形を乱す。混乱状態に陥ったところで、デルムッドとカリオンの部隊が左右から挟み撃ちにし襲いかかった。いくら弓が得意の彼らであっても、接近戦に持ち込まれては勝ち目はなかった。スコピオ公子もグレイドの銀の槍の必殺の一撃であっさりと倒れ、これによりバイゲリッターは壊滅した。

バイゲリッターを壊滅した私たちは、すぐさまセリス軍の救援に向かう。フリージ城が見えてきた時、すでに戦いは始まっていた。
卑劣な手を使うと思っていたフリージの女王ヒルダ率いる雷騎士団「ゲルプリッター」は魔法が使えるバロン騎士団を中心にして、真正面から戦いを挑んできた。すべてはバイゲリッターの援軍が来ると予想してのことだったのだろう。

そこでフィー様率いる天馬騎士団と、アルテナ様率いる竜騎士団が城の後方に向かい、フリージ軍の背後をつく。

ゲルプリッターは混乱状態になり、やむなく前進を余儀なくされる。その後、フリージ軍の将軍であるアマルダ将軍とオルエン将軍、副官のフレッド殿の部隊が合流し、さらに敵は前進をさせられる。追い込まれたゲルプリッターをまっていたのはレスター様とファバル様、それにセルフィナが率いる弓騎士部隊だった。一斉射撃で数を減らされたゲルプリッターに、セリス様が率いる本隊が攻撃を開始し、同時に敵を包囲していた他の部隊も加わり総攻撃を開始する。

ここにきてようやくヒルダはバイゲリッターが壊滅したことを知ったのだが、すべては時すでにおそしだった。
女王ヒルダをしとめたのは、彼女によって病死に追い込まれたティルテュ様のご息女であるティニー様だった。兄のアーサー様と恋人であるシレジアのセティ王子を励ましをうけたティニー様は雷の上級魔法トロンを放つ。華奢な体からは想像もできないほどの凄まじい魔力で、膨大となった雷の塊をうけたヒルダはあっさりと敗れた。

その後フリージ城の守備についていた、暗黒教団の司祭を倒した私たちは、ようやくフリージ城を制圧した。
フリージ城では一人の司祭が私たちのもとを訪れた。フェリペ司祭といったその人は、これまでに各地から連れ去られた子供たちが、バーハラ城からこのフリージ城の修道院に預けられているのを知る。子供たちを助けたのは、なんとあのイシュタルだというのである。

何とかして説得できないのかと考えていた時、イシュタル公女率いるヴァイスリッターがフリージ城に迫ってきているという。

いよいよ「雷神」イシュタルとの最後の対決が目前に迫ってきた。


余談:フリージ城でレヴィン様と休憩している時、レヴィン様の息子であるセティ王子とティニー様が話をしているのを聞いてしまったのだが、その中でセティ王子はティニー様のことを「君はわたしの宝物だ」と発言。思わず笑いを堪えてしまった私だが、レヴィン様の方は文字通り固まっていた。まさか自分の息子が、あのような台詞をいうなど思ってもみなかったことだろう。

「一体誰に似たのだろうな・・・」とレヴィン様はつぶやいたが、私は(それは間違いなくあなたなのでは?)と、心の中で思わずにはいられなかった。

こうなると私の息子のデルムッドが、まともな告白をしてくれるかどうか気がかりである。
たしかデルムッドはエーヴェルの義娘マリータと一緒にいるのをよく目撃している。

はたして息子は大丈夫だろうか、と父親として心配でならない。よけいなお世話なのだろうか?




第38話・完
第39話に続く・・・


<第39話・諸悪の根源マンフロイ>

フリージ城を出発した私たちは、ほどなくバーハラの聖騎士団「ヴァイスリッター」と戦闘に入った。ヴァイスリッターを率いているのは、「雷神」イシュタル公女だった。彼女を取り巻く兵士たちを撃破するものの、イシュタルが放つ雷の聖魔法「トールハンマー」の凄まじい威力の前に、こちらの被害も尋常ではなかった。
どこか死に急いでいるようにも感じた彼女の戦いぶりに、私たちもじりじりと後方へと下がる。

そこにティニー様が現れ、イシュタル公女に戦いをやめるようにと、必死に説得する。だがイシュタル公女はティニー様の言葉を聞き入れなかった。「すべては遅すぎた」といって。そしてティニー様にイシュタル公女はトールハンマーを放とうとした。

だが、突然ティニー様の横を光の矢が通り抜けたかと思うと、イシュタル公女の胸を射ぬいた。彼女の胸に尽き刺さっていたのは一本の矢。そう、ファバル様が聖弓イチイバルをイシュタル公女に向けて撃ったのだ。
崩れ落ちるイシュタル公女の姿をみて、悲鳴を上げるティニー様だったが、ファバル様はイシュタル公女のもとに駆け寄り、突き刺さったイチイバルの矢に向けて、何かを唱えていた。

するとイチイバルの矢から、光があふれイシュタル公女の体を包む。光が消えるとイシュタル公女の体からは再び生気が戻ってきていた。やがてファバル様はイシュタル公女を抱え、ケガ人のいるテントへと向かった。

数時間後、私たちはバーハラ城へ進軍を再開した。もちろんファバル様も戦線に復帰している。
あの時、ファバル様は胸にイチイバルの矢が突き刺さっているイシュタル公女に、特殊な祈りを唱えたという。その祈りとはユングヴィのイチイバル継承者に代々受け継がれているのだという。

その「祈り」の効果もあって、イシュタル公女は奇跡的に命を取り留めたという。もちろんあのままでは危険だったので、ラナ様やナンナ、セティ王子たちが回復魔法をかけ続けたおかげでもあるのだが。数日は安静にしなければいけないので、イシュタル公女の持つ「トールハンマー」の魔法書は、こちらで預かることとなった。

やがて、バーハラ城が見えてきた時、一人の少女がこちらに向かって歩いてきた。
その姿をみてセリス様と恋人であるスカサハ様は表情を明るくさせた。ペルルークで行方不明になっていたユリア様が(以前レヴィン様の話により、セリス様の異父妹であることが確認されている)戻ってきたのである。だが、どこかユリア様の表情がおかしい、と私が思った時である。

「ククク・・・まんふろいサマニサカラウモノ、ミナコロス・・・」と不気味な言葉を発したあと、光魔法であるライトニングをセリス様とスカサハ様に向けてはなってきた。

ユリア様の異変を素早く察したのはレヴィン様だった。ユリア様は暗黒魔術によって操られている、と。そしてユリア様を操っている人物こそ、この戦いのすべての元凶である、暗黒教団の大司教マンフロイなのだとおっしゃった。マンフロイはアゼル様とアルヴィス皇帝の故郷である、ヴェルトマー城にいるという。
「よし、騎馬部隊だけでヴェルトマー城を落とすぞ!!ほかの皆はユリアを遠回りで囲むんだ!」

セリス様はそうおっしゃると、急いでマンフロイのいるヴェルトマー城に向かった。もちろん私やリーフ様、ナンナ、デルムッドも一緒である。

ヴェルトマー城が見えてきた時、城から暗黒教団の司祭たちがやってきた。すかさず暗黒魔法の上級魔法である「ヘル」を放つ。だが、私たちは難なくかわすと、反撃の一撃で魔道士たちを次々と倒していく。

ヴェルトマー城の城門は、アーサー様の魔法で打ち破り、一気に城内へと突き進む。
そして玉座の間で、ついにマンフロイと対面する。この老人こそ、戦いのすべての元凶である。

「暗黒神ロプトウス様はユリウス様に降臨した!!もはや貴様らに勝ち目などない・・・ククク・・・なんと愉快なことよ。わしの思い通りにことが進み、愚かな人間どもは、わしの手駒となって操られる・・・これほど愉快なことがほかにあるだろうか!!ハァーッハッハッハッ!!!」
セリス様は思わず怒りに震えていた。だがリーフ様はそんなセリス様を見て、「セリス様、落ち着いてください。これはあなたを絶望の縁においやろうとするマンフロイの罠なのです!!」とおっしゃった。このような状況でも冷静に戦況を見つめているリーフ様をみて、私は本当にリーフ様は成長なされたと実感した。

冷静を取り戻したセリス様は、マンフロイに突撃し聖剣ティルフィングを振るった。ティルフィングはマンフロイの体をまっぷたつに切り裂いた。
マンフロイの死亡とともに、ヴェルトマー城は制圧された。
そして操られていたユリア様も元の状態に戻り、セリス様やスカサハ様もほっ、と胸をなで下ろした。

ヴェルトマー城に入った私たちは、宝物庫にたどり着く。扉にはくぼみがあって、普通では入れないようになっていた。そこにユリア様が、母親であるディアドラ様の形見サークレットをくぼみにあてる。するとカチャリ、と扉が開いたのである。

宝物庫には一つの本が机の上におかれていた。だが、その本こそ「暗黒魔法ロプトウス」打ち破れる唯一の魔法「光魔法ナーガ」であった。ユリア様がその魔法書を手にとると、ユリア様の体を淡い光が包む。彼女も聖戦士の1人だったのだ。

こうして光魔法ナーガを手に入れた私たちは、ユリウスの待つバーハラ城へと進む。
最終決戦が目前に迫っている。もうすぐ戦い終わる・・・はずである。


第39話・完
第40話に続く・・・


<第40話・十二魔将との再戦と魔皇子ユリウス>

諸悪の根源であるマンフロイを倒した私たちは、ついに魔皇子ユリウスがいるバーハラ城に向かう。
だが、バーハラ城を前にして私たちに立ちふさがったのは、ユリウス直属の十二魔将だった。
しかも中には、以前マンスター城地下神殿で倒されたはずの戦士も混ざっていた。

「奴らは、たとえ倒れようとも主が生きている限り、何度でもよみがえる。すべてはユリウスを倒さない限り終わらないぞ」
と、戦いの前にレヴィン様はおっしゃった。

かくして十二魔将とユリウスとの最後の決戦が幕を開けた。
まずは、素早さに自信のあるスカサハ様とラクチェ様の双子の兄妹、それとシャナン様がおとりとなり、十二魔将の注意をこちらに引き付ける。ユリウスが炎の遠距離魔法「メティオ」を放ってくるが、彼らはあっさりとかわす。

まずはバロンのアインスがやってきたのだが、ラクチェ様の流星剣であっという間に倒した。次にスナイパーのフュンフがスカサハ様に攻撃をしかけてきた。必殺のあるキラーボウを片手に次々と矢を撃ってくるものの、スカサハ様は怯まず突っ込み、接近戦に持ち込んで、銀の剣でしとめる。

シャナン様は同じソードマスターのノインと対決し、シャナン様は持てる力を存分に発揮、神剣バルムンクの力もあわさり、尋常ではないほどのスピードでノインを倒した。ウォーリアのドライはヨハルヴァ公子が気合い一発の勇者の斧でドライの頭を叩ききった。

フォーレストのツヴァイは私が銀の槍でしとめ、マージファイターのゼクスはティニー様が、必殺攻撃となったトローンの魔法で倒す。ダークビショップのツェーンは、レスター様のキラーボウで、ビショップのズィーベンはファバル様の聖弓イチイバルで見事にしとめた。

シーフファイターのツヴェルフはセリス様の聖剣ティルフィングで倒し、セイジのアハトとシャーマンのエルフは苦戦は強いられたが、アレス様の魔剣ミストルティンとリーフ様の光の剣で倒した。武器を持っていなかったハイプリーストのフィーアはデルムッドがとどめをさした。

こうして十二魔将は全滅し、残すは魔皇子ユリウスのみとなった。

遠距離魔法があるのでセリス様とユリア様と恋人であるスカサハ様を残し、あとの全員は遠距離魔法が届かないところまで避難した。

最後の戦いは離れてみていたが、壮絶なものだった。

まずはユリウスが暗黒魔法ロプトウスで、ユリア様を闇で包み込もうとしたが、ユリア様は怯まず、光魔法ナーガで応戦する。
その様子は二つの竜がお互いを締めあい、絡み合い、のたうちあい、異様ともいえる光景だった。だが、お互い絶対に負けないという気持ちだけはこちらにも伝わってくる。

やがて、黒い竜が光の竜に飲み込まれ、それと同時にユリウス皇子は倒れた。ユリウス皇子の体が消滅すると、バーハラ城全体が激しく揺れ、黒い竜が現れ、苦しい断末魔の叫びをあげながら消えていった。

こうして実に二世代にもわたる、戦いはついに決着がついた。解放軍全員が勝利の喜びに打ち震える。ようやく戦いは終わったのだ・・・


第40話・完
第41話に続く・・・


「フィンのトラキア戦記(4)」はここまで。「フィンのトラキア戦記(5)」に続きます!!


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