前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

張りぼてチームの単発打線




 4月の時点で前途を占うには未知数が多すぎるが、セ・リーグはなんとも意外な展開である。「赤ゴジラ」と早々にニックネームをつけられた大化け選手も現れ、緒戦3連敗の広島がトップを走っている。かたや、開幕から20戦連続本塁打(球団タイ記録)でも最下位を独走中の巨人。「史上最強打線」で首位独走かと思いきや、セ・リーグの借金を独り占めしている有様だ。

 やはり巨人はよく打つ。さすが金満球団だけのことはある。その上、阿部までが既に昨年1年分の半分以上を打っている。この勢いは、どうやらこれからも続きそうだ。

 それにしても、あの顔ぶれなら勝って当たり前だと誰もが思うのに、どうしてこうも弱いのだろうか。いくらホームランを打っても、それが必ずしも勝ちにつながらないのが現状である。多い失点、高い防御率、極端に少ない盗塁、ホームランが多いわりには平凡な総得点、リーグ最多の被本塁打。やはり、ホームランだけが野球ではないのだ。

 そもそも、ホームランバッターばかりを引っこ抜いて野球をやろうという姿勢に問題がある。まったく巨人というチームは、お金を使いたくて仕方がないようだ。すぐに出前をとる。どうせ巨費を投じるならピッチャーを獲ればいいのに、守りの重要性を認識していないとしか言いようがない。阿部よ!いくら打っても、自軍のピッチャーがそれ以上に打たれては話になるまい!

 こう言っては何だが、自分一人で野球をやっている気になっているような選手ばかりでは打線のつながりなど生まれるはずがない。ランナーをためての一発ではなく、ソロが多いのが何よりの証拠だ。どんなスポーツでも、チームの戦力には一定のバランスが必要である。短気決戦ならともかく、半年以上の長丁場を制するのは難しい。個人の学業成績にしても、いくら社会科だけ満点でも一番にはなれないのと同じだ。

 また、高橋由伸には相当なプレッシャーがかかっていると思われる。堀内監督の理想は、松井のような「巨人生え抜きの不動の四番」をつくることだという。FAで獲得した選手をとっかえひっかえ四番に据えるやり方に終止符を打つという意味では理解できるが、そうやって据えられた高橋の惨状たるや見るに忍びないものであった。ほかに四番候補がいないならともかく、ゴロゴロいるのに…。「四番打者は、チャンスで凡退しても平然としていられる者がふさわしい」と中日の落合監督はいう。四番が萎縮していては、ほかの選手まで萎縮してしまうのだという。しかし巨人は、高橋が萎縮しても影響など受けないであろう猛者揃いのチームであり、それがなおさら高橋の焦りを呼んでしまうように思う。

 「栄光の巨人軍」は何かとプレッシャーの多いチームだと思う。まるで多重責務者のようだ。まず、チーム内でプレッシャーをかけ合う。コーチは選手に「てめぇ打たないと2軍だぞ」とプレッシャーをかけるし、選手どうしでも、清原が「こらペタ公、打ったらドツくぞ」とプレッシャーをかける。高額年棒もプレッシャーの要因だろう。さらに、ファンからのプレッシャーが加わる。中継ぎ投手は「おい、今度打たれたら承知せんぞ」のプレッシャーに負けて、やはり打たれ、例によって例の如く逆転負け。さらにさらに、巨人OBからのプレッシャー、ナベツネプレッシャー、伝統の巨人軍プレッシャー等、数え上げればきりがない。そりゃ負けるわ~!(苦笑)

 一方、広島はあまり期待されていないし、高額年棒プレッシャーも無関係。ほとんど全員低額年棒者だから、のびのび溌剌とプレーできる。だから首位なのさ!



© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: