前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

大量消費は地球を滅ぼす




 「もったいない」とは、物を惜しむ場合のみならず、感謝や謙虚の意味も含まれている。ノーベル平和賞を受賞したケニア環境副大臣のワンガリ・マータイ氏は日本を訪れた際に知った「もったいない」という言葉に感銘を受けたという。先頃、愛知万博で開かれた、人と自然が共生できる社会のあり方についての討論会に出席した彼は「自然が私たちに与えてくれた資源を『もったいない』の心で敬意と共感を持って扱い、無駄遣いをやめるべきだ」と強調し、今後、環境や平和を守る運動に役立てたいと話した。

 昨今の日本は大量消費と飽食で、「もったいない」はもう死語になってしまったようである。まだ使える物をいとも簡単に捨て、新製品にとびつく。なくなったら買えばよい、壊れたら捨てればよい、という考えが蔓延している現代社会は、物を大切にしないばかりか、人も大切にしない社会になっているような気がして仕方がない。カード地獄による自己破産や犯罪が多発しているが、この退廃的風潮は、大量消費と無縁とはいえないだろう。至る所にできたゴミの山、まるで人間の心まで荒んだようで、真の豊かさとは何だろうかとつくづく考える。

 大量消費の裏には環境破壊がある。これは世界的規模に広がっている。第三世界は貿易のために天然資源を過剰に採取し、環境悪化をもたらしている。原油価格が高騰し、石油輸出国機構(OPEC)は大幅な生産枠引き上げを決めた。それに伴い石油化学製品の原料価格も値上げし、消費者物価にも影響し、日本経済にも負の連鎖が及ぶことになるだろう。

 スーパーのレジ袋に使われるポリエチレン、一体どれだけの石油が必要なのだろう。いわば、運搬するだけの袋。使い捨て。もったいないことこの上ない。各自が袋や籠を持参すればよいのだ。近頃は、マイバッグ&マイバスケット運動を推進しているスーパーが増えたが、それでもまだまだ浸透していないようだ。身近なことからできる環境保護を、私も是非実践しようと思う。

 ところで、市民の足として親しまれてきた岐阜の路面電車が、3月一杯で廃線になる。ヨーロッパでは、環境に配慮した乗り物として(ガソリンを使わない)、路面電車を復活させている都市もあるというのに…。岐阜市を特徴づけている三大要素は長良川と金華山、それに今では珍しくなったこの路面電車である。確かに採算性は薄いだろうし、バスのネットワークが代替の役割を担えばよいとの結論であろう。しかし、路面電車をアトラクション的に考えることはできなかったのだろうか。豊かな自然に、旅情たっぷりの路面電車、そんなノスタルジーだけでは走ってくれないのだろうか。折りしも愛・地球博と重なるこの時期に廃線とは残念である。

 余談だが、かたや「未来の乗り物」「走るパビリオン」がうたい文句の、国内初のリニアモーターカー。こちらは、通学バス路線が廃止され、沿線の学生たちはリニモ通学を強いられることになったらしい。万博期間中は駅や階段に鮨詰めに並ばなければならない、待ち時間が長すぎて遅刻したりして!?


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