午後2時前、穂高岳山荘を出発し、白出沢を下り始めた。一面真っ白で何も見えない。足下の雪すらろくに見えないホワイトアウトの中を下る。けっこうな急斜面でアンザイレンしてはいるものの、慎重に下る。予想以上に雪が深く、またしても難渋した。


雪を踏むとズボッと深く落ち込み、そこから足を抜くのに一苦労。ここでも短い足が諸悪の根源になっているのを感じた。しかし身長や足を長くすることは不可能で自分に与えられている体で解決するしかない。「もう何なの、この雪は!!」と悪態をつきながらひたすら下った。途中転倒したりすべったりして散々だった。沢筋に雪崩れた跡のデブリを何本も見た。今日だって雪崩がない訳ではないから時間との勝負だ。とは思うが気持ちが焦るだけで足は進まない。ええい、こうなったら焦るのは止めよう。自分のベストを尽くして歩けばそれでよい。それで雪崩が来たら運が悪かったと諦めるしかないと覚悟を決める。
ずぶずぶと沈む深い雪に難渋
30分ほど下降すると視界がきくようになり、雪渓の両側が見えて地形が掴めてきた。
やっと沢の末端部に近づき、白出大滝を巻くために樹林帯に入る。ここの雪がまた腐っているというか軟らかく不安定で危ういトラバースが続く。2度ほど転倒してガイドをあきれさせた。懲りて後ろ向きのダガーポジションで斜面を下った。これが一番安全で私の得意技だ。
雪渓をがんがん下って遂に天狗沢出合いに残置していた緑色のテントを見たときは生還できたという気持ちで心から安堵した。テントを撤収し、ザックをまとめ、スノーシューを履いてただちに下山。すでに午後4時を回っていた。新宿行き最終のあずさ号は午後8時松本発なのでそれに間に合うにはタイムリミットぎりぎりだった。


スノーシューにも大分慣れてきた 2,3日の間に雪が融けて様変わりした穗高平山荘
もう話をしたり行動食を食べたり飲んだりしている場合ではなく、ひたすら歩き、下った。穗高平小屋まではスノーシューだったので早く歩けなかったが、そこから新穗高までは小走りに走った。今思えばテント泊用のザックを背負い、冬靴を履いてよく走れたと思う。
そして幸運なことに道路が混み合ってなかったので車は順調に走行し、発車7分前7時53分松本駅に到着、無事最終のあずさ号に乗車でき、11時58分かろうじてその日の内に帰宅できたのだった。まずはめでたし。
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