mama♪のおしゃべり

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羽ばたけ 明日へ ~ by papa ~

~ 羽ばたけ 明日へ ~ by papa



          「おはようございまーす」朝のピーンと張り詰めた冷たい空気を切り裂くように、
          子供たちの元気な声が、グラウンドとその上方に広がる青空の中へ吸い込まれて行く。

          ついさっきまで静寂に包まれていたスポーツ広場の空気がゆっくりと動き出す。

          そして、70人近い子供たちが揃う頃には、広場もすっかり目覚め
          子供たちの熱気で徐々にグラウンドの温度も上がっていく。

          身支度を整え学年ごとに整列した所で出欠を確認し、
          キャプテンの号令で挨拶を交わして練習がスタートする。

          1年中、毎週土日に繰り返されている光景である。


          私も、次男の入団をきっかけにスポ少の指導を始めて、
          気づくともう十年以上も続けていることになるが、
          不思議に飽きると言うか、嫌だと思った事はない。

          日常の大人社会での軋轢や、いろいろなしがらみの中でストレスが溜まり、疲れている時でも、
          子供たちの「おはようございまーす」の声と、曇りのないキラキラと輝く目を見た瞬間に
          「よし今日も一緒にサッカーを頑張ろう」と言う気にさせてくれるから、子供は不思議である。

          「心・技・体」昔から使われている言葉であり、
          いい選手はこの三つのレベルが高く、バランスが取れていると言われている。

          技術を磨くにも、体力を向上させるにも、それなりの努力と忍耐が必要であり、
          そこにはそれを支える「心」が必要である。
          これは何もスポーツに限った事ではなく、
          何事も「心」が大切で、一番に来ると言う事である。

          オリンピック日本代表の山本昌邦監督は、一流選手になる条件として、
          「負けず嫌いである事」と「人の話をよく聞ける事」を上げている。

          負けず嫌いである事とは・・・心を含めた強さであり、人の話がよく聞ける事とは・・・
          自ら学んで行くために人の話をよく聞けるという事である。

          やはりここでも「心」が重要になってくる。


          子供の頃誰もが持っていたはずの素直な心とあの目の輝きを、
          大人たちはいつ失ってしまったのだろうか。

          ほんの些細な見栄と欲望、そして大人たちの勝手な都合がそれらを奪っていくとしたのなら、
          子供たちの目に大人たちはどんな風に映っているのだろうか。
          大人たちが夢を持てなくなった今の世の中で、
          どんな夢を子供たちに与える事ができるのだろうか。

          感動できない、感謝の気持が持てない、他人に優しくできなくなった大人たちの中で
          自分は何を子供たちに伝えられるのだろうか。

          「子供だからこそ誤魔化しはきかない、
           いつでも真剣に向き合うことしか今の自分にはできない。
           それ以上もそれ以下もない」


          練習の合間にふとそんな事を考えている私を、
          子供たちの元気な声が現実の世界に戻してくれる。


          元気・勇気・やる気・負けん気、
          大切な言葉には「気」すなわち「心」が含まれている。

          「気」が満ちている人は強く、躍動感があり、周りの人に元気を与える。

          私もきっとグラウンドで子供たちに「気・心」を感じ、そして元気をもらっているのかも知れない。

          子供たちがこれからも強く優しい心を持ち、
          自ら学び行動できる人になって欲しいと願っている。


          羽ばたけ 明日へ。   
                      2003.12月 





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