第一章 若君・北条時行、諏訪で“再生”する
鎌倉幕府滅亡(1333)後、
北条時行は逃亡の末に信濃の諏訪へと辿り着きました。
そこで出会ったのが、諏訪大社の当主・諏訪頼重(すわよりしげ)。
頼重は、武将でありながら神職でもあり、
そして“神そのもの”を宿す**あら人神(ひとがみ)**として崇敬を集めていました。
この時代の日本には、
人でありながら神として信仰された者が三人存在したと伝えられます。
一人は、京の天皇。
一人は、出雲大社の当主。
そしてもう一人が、諏訪大社の当主・諏訪頼重。
諏訪氏は古来より、武士と神官と神の役割を併せ持つ極めて特異な大名家。
頼重もまた、諏訪明神をその身に宿した現人神として、
この地において絶大な信仰と畏敬を集めていました。
北条時行は、この“神と共にある武”の力に深く感銘を受け、
己の再生の道をここ諏訪に見出していきます。
「逃げる」とは終わりではなく、“次に生きるための選択”。
若君の生き様は、諏訪に宿る再生の祈りそのものでした。
第二章 黒曜石の山と神の刃
諏訪の山々、特に和田峠から霧ヶ峰にかけては、
縄文時代から“神の刃”を求めて人々が集まった聖地。
黒曜石は、火山の熱と大地の圧力によって生まれた天然ガラス。
その鋭さは“神が造りし石”と呼ばれ、
古代縄文人の人々はこの石を武器に変え、命をつなぎました。
『逃げ上手の若君』にも登場する「黒曜石の岩塊」は、
まさにこの諏訪の地を象徴する“神の刃”なのです。
諏訪の黒曜石層の地下深くには、
龍脈に沿って清らかな水脈が流れています。
その地層を通って湧き上がる水は、
“龍神の息吹”とも呼ばれる名水。
私は今、その黒曜石の山の恵みから湧く水を日々いただいています。
そしてその水を使って造られたクラフトビールが、
世界大会で二年連続優勝🏆という快挙を成し遂げています。
火(黒曜石)と水(湧水)。
武器と祈り。
太古の二つの力が交わる地——それが諏訪。
第三章 温泉は“祈りの延長線”
諏訪といえば、黒曜石と並ぶもう一つの宝が温泉。
『逃げ上手の若君』の中にも登場する“極楽の湯”の描写は、
まさに諏訪の地を象徴するシーンです。
諏訪の温泉は、断層の龍脈上に湧き出す“地の呼吸”。
古来より「神湯」として、戦いで傷ついた体を癒し、
新たな祈りを生む場とされてきました。
武士も巫女も太鼓の奏者も、
奉納の前には必ず湯に浸かり、心身を清めたといいます。
火と水、武と祈り。
それらが一つに溶け合うこの地で、
時行と頼重が出会ったことは“偶然ではなく必然”だったのです。
終章 黒曜石の刃が導く“祈りの循環”
黒曜石で生まれた武の力、
温泉が癒した命の力、
そして神職が継いできた祈りの力。
この三つが重なり合うことで、諏訪は“再生の地”となりました。
若君の逃走は、滅亡ではなく、再び命を循環させるための祈り。
それこそが「亡国の貴公子」北条時行が諏訪で悟った真理でした。
🌸次回予告
次章は──
『神在月のこども』と出雲の神々、そして龍神信仰へ。
出雲と諏訪、二つの神話が交わる“祈りの道”をたどります。
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