I歯科医院の高楊枝通信。

I歯科医院の高楊枝通信。

高カリエスリスク症例1.1(糖質と虫歯の関係)



前回のつづき

https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202403090001/

前回はこの歯冠崩壊とも言えるひどい虫歯の経緯の話をしたのだが、最初のきっかけは咬合性外傷によると思われる。今日はその話をする予定だ。

右側の上下の6番が虫歯になっているが、左側はなっていない。主に右側で噛んでいることを示唆している。
右上6は歯冠崩壊まで進行しているが、下顎6は咬頭に穴が開いており、そこから内部の象牙質に虫歯が進行している。咬頭はエナメル質の発生段階で最後に閉じるところなので、結晶構造が乱れるもしくはエナメル小柱が接着せず管状に疎になっていることもあり虫歯になりやすいこともある。

このケースの場合硬いものを右側で食べたり、噛み締めたりした結果クラック(ヒビ)が入りそこから酸素濃度差腐食が始まり、象牙質に達すると象牙質とエナメル質のイオン化傾向の差による異種金属接触腐食が始まり一挙に虫歯が進行する。この段階で始めて糖質は虫歯の進行要因となる。

口腔内細菌の解糖系の代謝産物として各種有機酸が出るからだが、ショ糖(砂糖)が最も虫歯になりやすく、その他の糖はショ糖の1/2〜1/4のう蝕原性(虫歯の原因となる性質)がある。決して純粋なハチミツが虫歯の原因にならないわけではない。

以下鏡像




噛み合わせの画像を見ると右側の歯冠は近心半(手前側)が崩壊しているので、5番が後ろに移動しているように見える。元々上下のどこが当たりやすかったのかはよく分からないが、


左側を見ると強く当たって崩壊のきっかけになると思われるクラックも見える。
多分右側も同じだったと思われ、左側も同じようになる可能性は高い。




つづく


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