【この曲について】
ティアーズ・フォー・フィアーズは英国バース出身のローランド・オーザバルとカート・スミスの二人が結成したバンドだ。余談だがバースは英語の「お風呂」の語源になった街で観光都市で私も行ったことがある。 1981年にこの長ったらしいグループ名を付けた音楽活動を本格化させた二人は、1984年にリリースされたアルバム「Songs From The Big Chair」で大ブレークする。「Shout」「Head Over Heels」らに混じって「Everybody Wants To Rule The World」は英米チャートを制し世界的ヒットとなった。 この曲はポップスの黄金期でもあった1985年を代表する曲の一つでもあり、MTV全盛時代の中にあってメッセージ性の強さと力強いサウンドが融合した結果生み出された名曲でもある。 タイトルはズバリ「誰もが世界を支配しようと思っている」であり、人間が深く考えることなく愚かな行動に走ることを皮肉っぽい歌詞に乗せて歌う。カートの声が少し高いキーで淡々と歌い透明感があるのに対し、ローランドの方は勢いに任せて歌うタイプに近い。この静と動を感じさせる二人の個性がT.F.F.の魅力でもあるし、曲調も他のヴィジュアル系バンドとは一線を引いていたのも好感が持てた。 PVでは彼らのスタジオでの演奏シーンと、アメリカでの移動中のショットが交差するようでどこか退廃的なイメージも感じさせる出来上がりになっていた。 T.F.F.は次のアルバム発売が4年後となり、カートが'90年代に入り音楽的志向の相違で脱退し、T.F.F.はローランドの個人プロジェクトと化した。 【セールスとヒット・チャート】
シングル・ヒットを連発した彼らだが、この曲は見事に1位を獲得し年間チャートでも7位と高い位置を記録する大ヒットだった。アルバムでも1位を記録し、こちらの年間チャート順位は10位だった。因みに1985年はビッグ・ヒットの多い年で年間シングル1位はワム!の「Careless Whisper」、アルバム1位はブルース・スプリングスティーンの「Born In The U.S.A.」だった。 このアルバムからは「Shout」も1位を記録し、結果的に2曲が全米1位を獲得するモンスター・アルバムとなった。