夏とノースリーブ



小学校の高学年くらいで、まだ足が動かなくなった手術をする前のコトでした。

夏になって暑くなってノースリーブのシャツで学校に行きました。
半袖、ノースリーブ、ランニングと皆それぞれ暑さを凌げる服装で登校していました。
その中の一人でした。

午前中も終わって給食を食べてお昼休みです。

何の遊びをしていたか忘れましたが、突然一人の女の子が近くに来て
「何コレ?」
と私の肩を指差しました。

「ケロイド」
小さい頃から肩や腕や足にあるピンク色の皮膚の盛り上がりの事を母から「ケロイド」って呼ぶって聞いていたのでその子に教えてあげました。

「ケロイドっていうの?気持ち悪~い」

それは予想もしていなかった反応でした。

気持ち悪いの?その肩にあるケロイドは他の人から見たら気持ちの悪いモノなの?
それまでは、そのひきつれた形がピンク色の蝶々に見えて、肩に止まっている光った蝶々のようだと思っていた自分。
じゃ、この肩のケロイドだけじゃなく、腕のケロイドも足のケロイドも、気持ちの悪いモノなの?

初めて自分が普通に接していたこの身体が気持ちの悪いものだと知りました。

確かにどの友達の腕を見てもその盛り上がった気持ちの悪い物体は有りませんでした。

それからもう20年以上経つんですね。

未だにノースリーブは着れません。
ノースリーブを着るこの時期になると、ノースリーブを着ている女性が羨ましくて、羨ましくて。

私だってキレイな腕や肩をしていたら…なんて…。

その普通に暮らしていた小学時代から今まで更に4度身体にメスを入れました。

最初は小さな盲腸でした。
小学校5年生でした。

切ってお医者様に「そろそろくっついて来るね」と言われた時期からどんどん盛り上がり始める皮膚。

オナカにピンク色のカブトムシの幼虫くらいのケロイドが出来ました。

盛り上がりは3㎝くらいで、長さは4㎝くらいで幅は2㎝くらいありました。

切り取ってみました。
もう二度と気持ち悪いとは言われたくなかったのです。

でも、ケロイドは、何かの吹き出物のような格好をしていたけども、しっかりとした自分の皮膚でした。

激痛と大量出血で驚きと恐怖に包まれました。

激痛は覚悟していたのですが、まさかこんな塊を取って血まで出てくるとは…。

怖くなってもう二度と切り取ろうなんて考えなくなりました。

6年生になって足の手術をしました。
またケロイドになりました。
足も動かなくなりました。

家族で温泉に行って湯船に入ったら「ソレうつらないの?」って中年の女性に聞かれました。

あれから家族で温泉に行くことはなくなりました。

大人になって誰かと恋に落ちてた時には「私、足動かないからきちんとH出来ないし…」「私のカラダ汚いの、気持ち悪いの、ダメだったら無理しないでね」って前置きするようになりました。

その言葉だけでその先に進まないで終わってしまった関係も多かったですね。

夏になるとノースリーブが着たくなります。




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