メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Feb 4, 2014
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 京都は特に多いのでしょうが、茶室や古い町家に「円窓」がしつらえられているのを見かけます。

 現在京都では「ダイナースクラブ京都レストランウィンタースペシャル2014」なる特別メニューを提供する催しが開催され、AKAGANE RESORTも参加させて頂いた、京都の一流店が名前を連ねています。

このガイドブックの表紙を飾っているのが、京都のお寺さんの円窓で、ひと目見て京都らしく日本らしさを感じさせるものだからであるからでしょう。

 あるお茶事に招かれた際に、中途半端に円窓が半分近く閉まっていました。なぜだろうと思い、先生に尋ねてみると、
「今夜は、半月の夜。だから今夜の月の満ち欠けを表しているの。こういったところを風流と呼ぶのです。」

 なるほどなぁ、と思う反面、なるほどと思えるところが日本人の感性なのでっすね。

 外国人の方々はこの感性に非常に興味を持って下さいます。風景に「理」由を求める感性です。

 円窓は風景を切り取る役割を持っています。庭が美しければ、窓を広く取って自分の目で見たいところを見ればいい、というものですがそれでは「余白」が際立ちません。

 円窓の周りの壁、または暗がりは西洋絵画における額縁ではなくて、紙の余白です。壁は必ず四角形であるために、丸い窓を設ければ、必ず余白が生まれます。


 余白の「理」由がそこにあります。

 美術の場合においてもこの「切り取りの」美学が見受けられます。主たるものが、「書」です。一文字、あるいは複数であっても背景は紙の色、白い余白で合ったりします。
 一方、西洋では「構築の美学」です。油絵は白い部分は白い絵の具を乗せますし、誰かの絵の上から再び描き上げた作品も珍しくありません。
 マティスの「赤い部屋」という有名な作品がありますが、元々は「緑の部屋」という作品でした。一旦完成した後、再度赤い塗料を塗りなおして新たな作品として世に出たのです。

 フランス料理のロジックは「構築の美学」そのものです。

 英語でCooking、イタリア語で Cuccina、フランス語でCuisine。それぞれ「加熱した。火を通した。」という意味です。
 火を通さないものは人間の食べ物ではなかったかのようです。流通も発達せず、冷蔵庫も無い時代、日本のような島国ではない大陸では火を通さずに食べる事は至難の業であったことが伺えます。

 日本における「料理」。料とは「米」を「斗」することです。斗するとは、枡で量ったり、それこそ「切り取った」りすることです。

 理はその「ことわり」です。美味しくする「理屈」「理由」と言った意味でしょうか。

 フランス料理、例えば「牛のフィレ肉のステーキ」という料理があります。牛という動物がいて、肉にされてそこからフィレ肉の部分を取り出して、焼いてソースを添える。
 ソースはこちらも牛の骨を叩いて出汁を摂ったフォン・ド・ヴォー。かくして牛は皿の上で再度「構築」されることに成ります。



 食事を終えた後に「ごちそうさま」の言葉があります。ごちそうさまを漢字で書くと、「御馳走様」馳走とは料理をする材料をあちこち駆け回って集めてくることで、いわば流通です。集めて来てくれた事に対しての礼の言葉とも取れます。
 かくなるように日本料理の本質では、もしかすると、まな板に乗るまでが勝負なのかも知れません。

 21世紀が早くも15年の歳月が過ぎ、情報はすばやく世界中に発信されます。寿司は世界中のレストランで見られ、日本ではあまたのフランス料理店があります。

 文化の違いを世界中の人が楽しむようになりましたが、その差異を発見して愉しむ感性は、日本とヨーロッパの「哲学」の違いにあります。
 「料理道」と「料理学」の違いですが、都市、あるいは国の成り立ちにその起源を発します。

円窓














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Last updated  Feb 5, 2014 02:29:50 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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