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グルジア共和国の国立博物館に「ドマニシ原人」という180万年前の原人(ホモ・エレクトゥス)の頭骨が保管されている。 人類が生まれたとされるアフリカからずっと北の地、ヨーロッパとアジアの境目にあるグルジア。ドマニシという村の中世の城壁の近くで4体の人骨が発見された。 4人が一度にその場所に居たと言うことは、集団での生活が行われていたことは違い無い。驚くべきことは、そのうちの1体の分の頭骨には歯が全く見当たらないということだ。 見当たらないだけでは無く、考古学者の推察では彼、「オールドマン」はおそらく40歳前後である。歯がすべて抜け落ちた後に骨が再生していることが見受けられる。このことから、「オールドマン」は歯のない状態で数年は生き続けていたことになる。 180万年も物を噛むことが出来ない彼が生き続けられたのはなぜか? 考えられるのは、軟らかい食物を自分で見つけることができたか?。しかし何年もに渡って偶然にもその食物が手に入るとは考えがたい。 でなければ他の誰かが咀嚼したものを与えるなどして面倒をみつづけたのであろうという事である。 人類以外の動物は種の保存を目的として、自分の子に乳を与え、餌を分け与える。しかし、このドマニシ原人は体力の衰えた「オールドマン」の世話を誰か他の人間が見続けていたであろうということだ。 考古学者は「これこそ人間らしい行動の最初の兆候が見られる」という。「人間らしい」とは本能によって刷り込まれたものでは無く、食物などを他人と共有する「心」が生まれたという事だ。ホスピタリティの始まりであり、他人に対する「サーヴィス」が見られる最初の証拠かも知れない。 「オールドマン」が歯のない口で無言に語るのは「ホスピタリティ・サーヴィス」は180万年前に生まれていたという事である。 180万年の時代を経て、「サーヴィス」はいったいどこまで進化したのであろうか。
Jul 27, 2005
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レストランの文化、特にフランス料理店において、食事が終わった後の時間を豊かにする「5つのC」があると言われている。 ひとつめはCafe(カフェ;コーヒー)、Cognac(コニャック;食後酒),Chocolat(ショコラ;チョコレート),そしてCigar(シガー;葉巻),最後のひとつはConversaccion(コンベルサシオン;会話)である。 このうちの最初の3アイテムは比較的ポピュラーなものともいえる。コーヒーはもちろん、チョコレートはプティフールと言われるお茶菓子に供される。お酒の強い方には食後酒もおすすめしやすい。4番目のシガーについては、楽しまれるお客様はまだまだ少ない。昨今はは健康増進法などの施行もあって、少々控えられがちだ。 シガーはれっきとしたヨーロッパ文化のひとつであるといえる。しかし、タバコそのものがヨーロッパに持ち込まれたのは、コロンブスが新大陸を発見してから以降16世紀に入ってからであった。 ヨーロッパでの習慣では食後に夫婦はそれぞれ男性と女性に別れてメインダイニングから他の部屋に移り、おしゃべりに華を咲かせる。別室に移動した男性組は、食後酒を片手に葉巻をくゆらし、議論を交わす。このとき葉巻を吸うにあたって、上着に香りがつくのを避けるため、ジャケットををわざわざ着替えたのだ。 この時着用された上着が「スモーキングジャケット」の名を残す。スモーキングジャケットをLLサイズのジャケットだと勘違いしてはいけない。葉巻を吸う意味のスモークであって「すもう・キング」つまり横綱のことではない。服装で言う「スモーキング」とは、サーヴィスマンの制服の代名詞ともなっている「タキシード・スーツ」のことである。 葉巻きには様々なエピソードにも事欠かない。みんな写真を取られる時に「Vサイン」(ピースサインとも言う)をするが、実はアレは第二次大戦の途中、英国首相のチャーチルが葉巻きを掴む自分の指の形から「ヴィクトリー(勝利)」の意味で使い出したのが広まったそうだ。 レストランで葉巻きを提供するのはいろいろな意味で制約が多い。まず、葉巻きを吸っていただくにあたって、他のお客様に迷惑のかからぬ様考慮する必要がある。タバコが嗜好品である以上、煙りを好まれないお客様もいらっしゃるからだ。葉巻き用に別室を用意しているレストランもある。 また、葉巻きはワインと同じように温度管理、湿度の管理も必要だ。サーヴィスマンに葉巻きを保存、サーヴィスするだけの知識と技量も必要とされる。 更に、日本の税制ではタバコにプレミアを付けて販売してはいけないことになっている。買ってきた値段で売らなければならないと言うことだ。ワインのように原価から何%の粗利益を付けることは禁じられている。 葉巻きは1本あたり1000円から3000円とする高価なものでもある。葉巻き1本を吸い切るのに4、50分から2時間近くかかることもある。金額も、時間の使い方も贅沢なものだ。それでもなお、シガーを楽しんで頂くだけの価値はあたえてくれるはずだ。
Jul 26, 2005
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夏の到来です。毎日暑い日が続いています。暑くなると、当然お店でもクーラーをかけるのですが、こんな失敗談もありました。 その日ご来店されたお客様、店に入ってきて席に着かれるとご自分の懐から扇子を取り出してパタパタ。ホールの温度が少し高かったのかな、と思って空調の温度を少し下げました。まだそれでも暑いのか、パタパタと扇子を動かされます。もう少し温度を調節して下げました。よっぽど暑がりのお客さまなのでしょうか。まだせわしなく扇子を動かされています。 結構涼しくなってきているのになぁ。と、思っていると、少し離れたテーブルのお客様が、先に席を立たれてお帰りになられました。 気付くと、先程の扇子のお客様の手はあおぐのをやめておられます。そして、お店のスタッフを呼ぶと、「ちょっとさっきから、エラい寒いんヤけど、クーラーちょっと弱めてくれんか!?」 そうだったんです。このお客様は暑くて扇子でパタパタしていたのでは無かったのです。 別のテーブルでタバコを吸っていたお客様の煙りが気になってずっと扇子で仰いで避けていたのでした。レストランにいらっしゃるお客様は自然にいろいろなサインを発します。キョロキョロされるのはお手洗いの場所を探しているのか、ソワソワしていらっしゃるのは料理が出て来るのが遅いからなのか、、、 レストランにおいてサーヴィスマンがお客様を「見る」ことは大切です。しかし見ることは手段であって目的ではありません。見えない「心理」を察知し対処ことが目的です。 お客様の発する「サイン」を読み間違えてしまった経験です。
Jul 25, 2005
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昨夕、関東地方で大きな地震がありました。現時点での報道では亡くなられた方はいらっしゃらないようなのですが、怪我をされてる方も多いようで、また、新聞には建物の壊れた壁などの模様が掲載されています。 私は1995年当時神戸で働いていました。95年といえば阪神大震災のあった年。震災当日は大阪市内に住んでいたので、怪我など無く大きな被害を被ったわけではありません。しかし、もともとその春にグランドオープンする予定であった90室ほどのシティホテルが三宮に完成し、そちらに勤める事になっていたため、震災直後の三宮に居を移しました。 震災の直後しばらくの間は何しろ交通が不便です。あちこちに規制がかかり、大阪市内から神戸市内へ引越しの荷物を移動させるのに7時間もの時間がかかりました。朝4時にウチを出て、11時のランチの営業にやっと間に合うというところ。ホントに街中のビルはあちこちで崩れ、道路は波打っているような状態でした。開店している店が少ないので食物さえ手に入らない状態です。こんな極限の状態では、フランス料理のサーヴィスマン、メートル・ド・テルというような職業など最も必要とされていないという事実を実感した出来事でもありました。 ところが震災から何ヶ月もすると、交通も不便なままの街にフランス料理の雰囲気を求めてわざわざ来店してくださるお客様もいらっしゃいました。服装はジャージ姿、かかえた荷物は沢山のミネラルウォーターのペットボトルです。 お客様とは地震の話はほとんどしませんでした。レストランはハレの場であって、お客様もそれを望んでおられたからです。以前のように食前酒を伺い、料理を注文され、ワインを抜いて、一回の食事に3時間あまりを費やされました。 人間は必要とされる「文明」だけを求めているのではなく、無駄な事のように見えることでもある「文化」をも欲して生きている事をあらためて感じます。空腹を満たすことだけがレストランの存在の意義ではありませんでした。心が満たされることも望まれるのです。 そして、その時本来お客様を喜ばせるはずの立場の私が、多分そのお客様以上に嬉しかったのを覚えております。 私自身は、私が喜びを感じられるように、私が楽しいように生活し働けることが目的でいます。非常に私利私欲的だと思います。ただ、その為の手段がサーヴィスを行うことであり、メートル・ド・テルとしての職業であったことだと感じています。
Jul 24, 2005
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はっきり言いますが、メートル・ド・テルに限らず、ソムリエなどフランス料理店のサーヴィスマンは結構モテます。もちろん接客業として他人に好感をもたれるように振る舞う事こそ、サーヴィスマンとはその値うちがあるというものではありますが、実はその他にも心理的な要因が働くこともあるのです。 そもそもフランス料理店というのは緊張を伴う場所でもあります。 飲食業の他の業態に比較してみても緊張感の度合いが高いことも、あえて豪華ななしつらえが施され敷居が高く感じられるように作られているような場所もあります。しょっちゅう足を運ぶようなことも無い未知の空間に対しての不安感でもあるでしょうし、フランス料理店の雰囲気に慣れないという要素もあります。 高級フランス料理店に足を運び、緊張した心理の時にメートル・ド・テル、ソムリエなどのサーヴィスマンに迎えられ、彼等のいでたちも黒のタキシードに蝶ネクタイといった非日常的なものだったりします。もちろん、本来ハレの場とはそこそこ緊張感を伴うものですから、それを楽しみにドレスアップして来店されるお客様もいらっしゃるのも確かだといえます。 で、人間、どういう形であれ緊張を覚えると心拍数が上がりドキドキします。この体の反応というのは怒り、驚き、あるいは恋愛の過程においても同様に見られます。ということは感情の要因は様々であっても、身体が示す反応は非常に良く似ていて、このとき状況を脳で判断して、なぜ興奮しているのかを理由付けするのだそうです。そのため人間は心理学的に見るとドキドキする緊張感を感じた時、傍にいる人に好意を覚えてしまう、というようなすりかえを行うことがままあるそうです。 映画「タイタニック」で見られるヒロインのように、豪華客船での船旅で、全く違った世界に住む男性と出会い、ましてやその船が沈んでしまうといった緊張感溢れるアクシデントが無かったのなら、あれほど激しい恋に落ちることは無かったと言えるかもしれません。 つまり他の理由であれ、気持ちの高ぶった状態の方に接するとそれは自らが好意があるからだと、脳が錯覚しようとするのです。こういった様子を心理学では「情動二要因理論」と言うのだそうで、これがサーヴィスマンがモテると言い切った秘密であると言えます。 もともとレストラン、特に高級フランス料理店と呼ばれる場所は気持ちが高ぶるようにシチュエーションが設定されていますので、好意を持った時の心の針の振れ方は大きいのです。だから、恋人同士はレストランを利用しますし、我々サーヴィスマンが注意せねばならないのは、逆に不快な印象を与えるとそのマイナス面も大きいのです。
Jul 21, 2005
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現代のフランス料理店、特にグランドメゾンと呼ばれる高級レストランにおけるスタイルの各所には、16世紀から18世紀にかけての貴族社会の慣習を模倣した要素が数多く見られる。店内の内装しかり、レストランにおける組織運営の方法しかり。 フランス料理店の敷居を上げてしまっている、「マナー」だとか、「エチケット」といわれる部分にも貴族社会の習わしに源を発する物は多い。 そのひとつに「ワインのホストテイスティング」がある。ホストといってもヒロシや北新地にたくさんいる職業の人の事ではない。会社の接待での利用なら招いた側の方、ご家族ならご主人、男女のばあいならほとんどは男性のケースが多い。 ワインを注文すると、最初に恭しく10ccほどがグラスに注がれ、お客様にお味見をして頂くという、フランス料理店ではよく見かける光景のことである。大体ワインを注文した時だけに見られる行為で、あんまり日本酒とかで注いで良いかどうかを尋ねたり、ましてビールなどで味見をしているのをみた事は無い。 実はこのホストテイスティングも貴族社会の習わしであった。中世から以降に成立した貴族社会といっても華やかなばかりでなく、暗殺や謀反などが度々ある物騒な時代でもあった。 例えば、ある貴族が他所の貴族を招いて会食の宴を開いたとする。招かれた方もこの間まで戦争をしていたり、不穏な空気の流れる仲どうしだったりすると、もしかして宴の席でワインに潜まされた毒薬によって殺されるかも知れない。 そこで、招いた側は「この場で振る舞うワインは安全ですよ」、「同じボトルから注がれたワインを一緒に味わいますよ」、ということを敢えて証明するために最初の一口は自らが飲み、「おすすめするに相応しい味だ」という名目で皆に振る舞った。 また、もう一つには、昔のワインは密閉性をよくするためにボトルの口の部分には少量の油が流し込まれていたという説もある。最初の一口は美味しく無いので、ゲストに提供するには失礼だという事でもあったらしい。 レストランにご来店されたお客様のホストの側の方に、テイスティングをお願いしようとして、「あ、あちらの方がお客様だから、お客様のお好みを伺って」と、ゲストの方にテイスティングをして頂くようにうながされる場合がままあるが、そう言う意味で始まった事なので「マナー」としてはホントの所は間違いかも知れない そういうわけで現代ではこの「ホストテイスティング」、非常に儀式めいた意味しか持ち合わせなくなっている。しかし無ければ無いで何となくワインを飲む気分が盛り上がらなかったりするので、やっぱり今日もあちこちのフランス料理店でテイスティングは行われている。
Jul 20, 2005
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「レストラン」という言葉、もともとフランス語であるが、現在の日本では多くのの飲食店、西洋料理店を指して言う言葉となっている。「ファミリーレストラン」「中華レストラン」などなどである。 実は「レストラン」とは元々料理の名前であった。ポ・ト・フから作られるビーフブイヨンに似た濃厚なスープの一種を「レストラン」と名付けて売られ出したのが、18世紀半ばの事である。 その名に「rest=休息、の意」が含まれるように「疲労回復、元気の素」が売り文句のその料理、「当店にてレストラン販売しています」の看板を掲げていた。当時、旅先でどこかに泊まるといった必要でもない限りは「外食」するという概念が生まれはじめた時代の事である。いつしか飲食店そのものを「レストラン」と呼ぶようになったのだ。 そして1789年のフランス革命。フランス革命は料理人の世界にも大きな影響をもたらした。 それまで貴族に仕えていた料理人、メートル・ド・テルは貴族と共に亡命するか、または貴族の館を出て街で料理人としての職を得るかの選択を迫られた。これを機会にフランス国内ではまた多くの「レストラン」が開店することとなる。 フランス革命で貴族制度を廃止したフランス国民であったが、レストランではフランス貴族の食卓が再現され、またいままで貴族以外は口に出来なかった食事の数々が提供された。 フランス革命以前と違ったのは、今度は身分に関係なくお金さえ出せば手に入れられるという「平等の精神」が生まれた事である。 17世紀のフランス貴族社会の模倣は、21世紀の現代においても実は続いている。乾杯の儀式、レストランで行われるワインのホストテイスティング、料理の出し下げ、テーブルマナー、男性が連れの女性に対するエスコートの意味、などが挙げられる。 また、フランス料理店の少しカジュアルなものを「ビストロ」と呼ぶ。こちらは元々はフランス語ではない。これはその昔ナポレオンが失政した後、ロシアから遠征してパリに駐留していた兵士たちが、料理店で注文した料理をせかすため「ヴィストロ!ヴィストロ!=早く!早く!」と叫んだ事が始りであった。本格的なレストランでなくすばやく料理が提供できる料理店、それがビストロであった。
Jul 18, 2005
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90年代のワインブームの頃から、テレビなどマスコミの影響か、お客様から「このワインって、なんて表現しますかァ?」とか、訪ねられる事が時々ある。「ワインの表現ですか?」「そうですよぉ。『砂漠のオアシスに咲いた一輪のバラのような』とか、『天の川にひときわ輝く星のような』とか、やってるじゃないですかぁ」 作家、開高健の一文にロマネ・コンティを称して「ビロードの手袋をはめた鋼鉄の手」というのがあって、さすが作家業を生業とする方の表現力には感嘆してしまう。 しかし、うーん、セールストークとしては面白いのだが、ソムリエやワイン販売業のようなワインの専門職どうしのやりとりとしてはあんまり使わないし、ソムリエ協会の試験で出題される場合などは客観性をもつ必要がある。 というのも、ソムリエ業でいう「ワインの表現」とは、本来そのワインがどのような性質を持つ物かを言葉に当てはめて、ワインを口にする事なくともお互いが認識出来る事を目的としているという点にある。 それは1曲の楽譜に似ている。音質の高さにド、レ、ミ、、、と名付けて、リズムとともにその記号を組み合わせると、心を動かす名曲となる。 一杯のグラスに注がれたワインがあるとして、まず色合いを見る。赤ワインなら、ルビー色、ガーネット色、紫がかった色合いでもパープルとバイオレットでは微妙にニュアンスが違う。また、グラスを傾けてワインを眺めた時に中心の色合いと、縁に広がる色合いとのグラデーションとの差異で過ごしてきた年数が推測出来る。 続いて香りを嗅いでみる。最初に感じる香りとグラスを回した時に現われる香りがある。ぶどう品種がピノ・ノワールなら「茹でたサトウダイコン」の香り、という表現をすることがある。トーストの香り、ヨード香なんてのもあり、本当にその表現した物の香りと同じ香りがするのかと言えば微妙だが、ワインの勉強をして行く上で、ワインそれぞれの特徴を記憶して行く時に、「ああ、この香りを××というんだ。」と覚えていくための「ド、レ、ミ、」だ。 中には変わった言い回しもあって、「雨に濡れて半乾きになった犬の香り」とか、「汗をかいた馬の鞍の香り」などという表現もある。しかし、これさえ英語で言えば英語圏のソムリエに、仏語で言えばフランスのソムリエに「ああ、あるタイプのワインに特徴的なものとして現れる香りだな。」と、お互いの頭の中で同じ香りを想像できるようにするためのものだ。 口に含んでみると、最初に感じる強さから始まって、アルコールの刺激感、もちろん酸味、甘味、渋み、膨らみなどの多岐に渡る項目について分析して適切な単語を当てはめていく。 もちろん、実践的にお客様を目の前にして、こう言った「テイスティングコメント」を延々と述べる必要もない。お客様がそのワインを楽しく飲めるように美点だけをアピールする事の方が大事で、それは、親戚の子にお見合いの相手を紹介するのに似ている。とりあえず頭がイイとか、背が高いからとかだけ言っておいて、その他いろいろと面倒そうな事は伏せておくほうが幸せな結婚が望めるというものだ。 ソムリエやメートル・ドテルのサーヴィスコンクールで行われるテイスティングコメントでは、必ずしも美点だけを述べるわけにはいかない。目の前の審査員の手許には何十項目に渡るチェックシートが用意され、表現が適切であるかと同時に、コメントもれがないかも厳しくチェックされる。 制限時間が3分だとか、5分と決まっているにせよ、適切に全部の項目を埋めるのは難しい。緊張している事もあり、大体は試験の終わったあとで、アレを言うのを忘れた、コレについて表現してない、と、後悔する事になる。 普段からそんな事を意識して実務についていればよいのだが、特に関西在住のソムリエはややそういった類いが苦手だ。普段の仕事での表現はやたらと擬音が多い。「いや~、お客さん、このワインなんか、最初ガツンときて、フワーッと膨らんだ香がスーッと鼻から抜けて、酸味がキリッときいて、クピクピッて飲んだら胃袋にシュワッシューと吸い込まれるような、そんなワインですわ。」 今日は7月17日。京都では祇園祭りが行われている。 しかし、もしかして私も含む関西ベタベタソムリエの連中は年中「ギオン」だらけである。
Jul 17, 2005
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JSA日本ソムリエ協会のソムリエ試験用のテキストを開くと、最初の方のページに「ワイン概論」という節がある。 ワインの大まかな歴史や栽培方などから始まって、こちらも良く出題されるのだが、「ワインの主たる病気とその対策」という項目がある。 本番のソムリエ試験では、それぞれの病名とそれぞれに対する薬剤の組み合わせを選択するという形で出題されることが多い。灰色カビ病に対してはロブラール水和剤、ウドンコ病に対しては硫黄を含んだ農薬散布、といった具合である。いくつかの例があげられているがこの中に「ボルドー液」というのがある。その名に付けられているように、ボルドーが発祥の地らしい。 「ボルドー液」はべト病というブドウの病気に対して用いられるのだが、このべト病とは、「1878年ヨーロッパで発見される。湿度の高い地域で繁殖し、初めは透明で油っぽい斑点が葉の表面に現われ、葉の裏側に羽毛が現れる。すぐに処置しないと台無しになる。」と教本にある この「ボルドー液」初めて私がその名前を聞いたのは、もう30年近く以前、小学校2年か3年生の頃のことだった。その当時からワインに親しんでいたのかと言われれば、そんなはずは無い。当時、学研がシリーズもので出版していた本で題名は私の記憶では定かでは無いが「学習マンガ・ナントカのひみつ」の一冊に「ボルドー液」についての記載があったのだ。 その本によると「ボルドー液」はそもそもブドウ泥棒対策であったらしい。秋の収穫の時期になると、ワインですでに名を馳せていたボルドーにはたびたびブドウ泥棒が表れる。業を煮やしたボルドーの住民たちは対策を練ろうとする。そこで考案されたのが、硫酸銅に生石灰を混ぜたものを水で伸ばし、ブドウのひと房ひと房をその水溶液に着けて回るというものであった。泥棒対策であったものが、実はべト病に効果があった。というニュアンスでのマンガの一節は締めくくられていたように思う。しかし、最初にどうして硫酸銅と生石灰であったのかは説明が無かったような気がする。 このボルドー液というのは日本の規定では農薬ではない。と、いうのもボルドー液はブドウのほかリンゴなどにも使用されるが、栽培者が自前で混合液を作成することが多く、「ボルドー液」の名称では登録されていないと言うことに他ならない。 しかし、原料となる硫酸銅は劇物扱いであるため、昨今では年々使用量は減少させる傾向にあるらしい。フランス国内でも銅の体内への蓄積が問題となっているようで、ボルドー液の使用を控える規制も設けられそうだ。 当然、小学生向けの学習まんがにそこまでの説明が載ってあるはずも無かったが、この「ボルドー液」の文字を見るたびに、そのマンガで泥棒がブドウを盗むのを諦めるひとコマを思いだす。「うへぇ、なんだこりゃ。きもちわるいぞ。ペッ、ペッ」(ブドウ泥棒の吹き出しより)
Jul 15, 2005
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ソムリエ試験なんかにも時々登場するのですが、年によってワインの名称が変更されたものがあります。 シャトー ムートンロートシルト(Ch.Mouton-Rothschild)で知られるロートシルト家が所有するシャトーの内のひとつ、シャトー・ダルマイヤック(Ch.d'Almailhac)は著名度でもその代表格で、過去のソムリエ試験においても、何度か登場した事もあります。フィリップ=ロートシルト男爵がこのシャトーを購入したのは1933年の事。当時はムートン・ダルマイヤック(Ch.Mouton-d'Armailhac)と呼ばれていました。1956年にその名を「シャトー ムートン・バロン・フィリップ(Ch.Mouton-Baron Philippe)」へ変更。さらに1976年、フィリップ=ロートシルト男爵の奥様が死去された事にあたって、翌年リリースされた1975年のヴィンテージから名称が変更されて「シャトー ムートン・バロンヌ・フィリップ(Ch.Mouton-Baronne Philippe)」亡き奥方を偲んでの名称の変更です。 バロンに対するバロンヌは「男爵婦人」の意味。この爵位というのがワインの名称の中に良く見かけられて、例えば「コンテス・ド・ラランド」の「コンテス」は伯爵婦人の意味。「マルキ・ダレーム・べケール」「クロ・ド・マルキ」の「マルキ」は侯爵の意味。お味噌汁なら「ハナマルキ」。 さらに年を下って1988年、フィリップ=ロートシルト男爵が死去されます。娘のフィリピーヌに譲渡されるのですが、男爵の王女にあたる意味の「バロネス」を用いたかといえばそうではなく、ロートシルト家が所有する以前の名称「シャトー ダルマイヤック(Ch.d'Armailhac)」に戻しました。 シャトー ダルマイヤックはそのセパージュにカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が約50%と低く、ムートン=ロートシルトと比較すると軽やかでチャーミングな印象を与えると言われてきました。しかし、97年以降くらいからは、世界的なワインの好まれる傾向から、やや、甘味の乗った凝縮感のあるワインへと醸造方を変更しているようで、2000年はもちろんの事、2002年などかなり膨らみのある仕上がりへとスタイルを変えてきています。----------------------------------------「と、言うわけで再びシャトー ダルマイヤックに戻ったという話」「へぇ~『シャトー ダルマイヤックン』?」「なんで、ヤックンやねん!?、ヤックンはシブガキ隊やんか!」「まるでヤックン?だってこのワインのラベルの図柄…」↓♪ジタバった すっるなよぉ~ 世紀末がくぅるぜぇ~ の図
Jul 14, 2005
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今年ももうすぐソムリエ試験の日がやってくる。 例年、試験は8月の下旬に行われ、7月中から全国各地で講習会が行われている。 私がソムリエ資格を取得したのは‘98年の事。初対面の方に「こう見えても私、ソムリエの資格も持っているんですよぉ」などと言うと「すっご~い。ソムリエなんだってぇ~」とかいわれたりするのは非常に嬉しいが、何が「スゴイ」のか良く判らない。 試験が難しそうといえば難しそうだ。どんなワインでも、「う~ん。これはシャトーナンタラの何年のものですね。間違いない!」とか言って当てられそうな事を思ってるかも知れないが、そんな事はまずない。 第一、ソムリエの資格を取ったからといって、別に毎月の給料が上がるわけでもなかった。ま、そりゃそうだろう、雇う側からしてみればワインの売上が上がるかどうかが問題であって、ソムリエの資格を持っているかどうかはあんまり関係無い。 とはいえ、フレンチのサービスに15年も勤めていればソムリエの資格も持ってないとカッコ悪い。何年か前のワインブームの頃からソムリエの数はどんどん増えてきて多分現在はソムリエ資格所持者だけでも5000人は下らないだろう。石を投げればソムリエに当たるかもしれないが、石をなげるのはなにかと危険なのでやめたほうがよい。 5000人いるからといって、ソムリエ試験が簡単になったのかというとそうでもない。純粋に受験者が多くなったと考えるべきだろう。10年とか15年前と比べると、ワインの消費者の要求が多様化する分、出題範囲も随分広くなっている。いつのまにかソムリエ協会発刊のソムリエ教本は、2冊組になっていた。 ソムリエの資格を持っていない「ソムリエ」でも優秀な人は少なくない。普通のソムリエ以上にワインに対する見識の深い人がいるのも確かだ。 しかし、ワインが広く普及した分、覚えないといけない事も多くなっている上、試験の内容にしても生半可な物ではない事は明らかで、少なくともソムリエの有資格者はワインに充分な興味を持ち、それ相応の努力が出来る人だといえるだろう。 ソムリエの試験は「筆記試験」と「実技試験」の2段階である。まずは筆記試験で100点中75点を取らねばならない。毎年その時の流行などを含めて問題の構成がソムリエ協会で大まかに決められる。 しかし、試験問題のほとんどはフランスワインについてがやはり中心になる。もちろん、フランスワインという商品のの扱いが世界的にも圧倒的に多いのはもちろんの事、フランスに限らず、法的に整備の進んだ国の方が試験問題も作りやすいことは確かだ。どっちでも正解という問題は採用しにくい事もあり、また客観的に判断できない、例えば「ロマネコンティとシャトー・ペトリュスを比較してどちらが美味しいか?」なんて問題はありえない。 衛生法規についても10門程度出題されることになっている。これは、ソムリエ協会が社団法人として厚生省の管轄下にあるために、必ず出題されなければならないそうだ。 さて、今年は私の後輩も何人かソムリエ試験に挑戦するらしい。初めての挑戦なのでどこから勉強して良いのか分からないそうだ。私がソムリエ試験に通ってから随分時間が経っているので、私のアドバイスはさほど役に立たないかもしれない。まぁ、眼につくところから片っ端にやればよい。まず地名、ぶどう品種、土壌、栽培法、醸造法、料理との相性、、、断片的に覚えたことがいつか網の目の様に繋がる時が来る。 心配することも無い、一度でダメでも何回か挑戦すればいい。この私もソムリエ試験は大好きだったので3回も受験したものだ。「…ってことは、2回も落ちてはるんですか?」…それは言うな。。。
Jul 13, 2005
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本日発売の朝日新聞社刊の週刊誌「アエラ」に「赤いユニフォームだと勝つ」という記事が載っていた。何でも英国の大学のリポートによると、ボクシング、テコンドー、レスリング・グレコローマンとフリースタイルの4競技において、赤と青の競技服を身に付けて競技に望むと、4競技共に赤の勝つ傾向が強いことが統計によって明らかになったという。 日本の研究者が言うには、赤い色というのはそれを見ているだけで心拍数が上がり闘争心に繋がる。その闘争心が相手に伝わって相手がひるんだ結果、「赤いユニフォームだと勝つ」という伝説が生まれたのではないかと。 そういえばスペインの闘牛も、闘牛士のもつケープは赤い。牛やその他の動物のほとんどはは色を見分けるの感覚が無いので牛を興奮させるというよりも、観客があおられて興奮する度合いが高くなるというものだ。 対して日本代表サッカーのユニフォームは青。青色でも比較的深く濃い色合いで、西洋でいうロイヤルブルーに近い、「藍色」である。この色にも理由があって、「藍色」というのは日本人にとっては戦いに赴く時の色らしい。そういえば、剣道着は多くは藍染めである。心頭滅却を旨とする武士道の戦い方においては、闘争心より冷静さを重んじたということか。 人間は赤い色に対して興奮する。ハレの場としてのレストランでは、壁の色や床の絨毯の色などに赤を用いる事は多々ある。東京・銀座の高級フランス料理店の「マキシム・ド・パリ」においては、照明も白熱灯とキャンドルの灯りを用い、レストランのホールの全体的なトーンが赤色を基調として染まっている。 ひとつには女性が美しく見えるという効果があるらしい。メイクのときにチークに紅色をさすのも同じ効果があるのだが、人は感情が昂ぶると顔が紅潮する。レストランの席に着き、同伴した連れの女性の頬が健康的に赤く染まっていれば、彼女の心の昂ぶりを表していると受け取られるのかもしれない。 照明や、店内の色合いによってメイクをするのと同様の効果が得られるというのだ。 余談になるが、このマキシム・ド・パリ、B1のウェイティングスペースからからB2のメインダイニングへと店内に螺旋階段がもうけられているのだが、それに添って壁面は銅張りの鏡になっている。ただ、この鏡微妙にくすんでいるのだ。ピカピカに磨かないのかというと、実はこれはわざわざそうしてあるとの事で、女性ははっきり自分の姿が見えてしまうと、そこここが気になってしまう。そのため、やや曇らせておいてドレスアップした装いとジュエリーの雰囲気だけが映えるように計算されているからなのだ、と。 もうひとつ、レストランにとって全体が赤いトーンにまとまるのは別の効果が認められるところがある。それが、人間は赤い照明の下にいると時間を長く感じるという点だ。 レストランではお客様にゆったりした時間を過ごしていただけるよう、我々サーヴィスマンは心を砕く。一回の食事に3時間から4時間の時間を費やすこととなる。そこでゆっくりしたなぁ、という感覚を得ていただくには赤っぽい照明は効果的なのである。 「心理戦で絶対に負けない本」を参考にすると、人間は青い光より赤い光を見ているときのほうが時間を長く感じられるそうだ。例を挙げると街角の信号機の赤色の点灯は青色のそれよりも長く感じるということだ。 このことをレストランに応用するとなると、銀座マキシム・ド・パリに見られるような、赤いトーンの店内はそれだけで時間の流れを長く感じ、2時間いただけでも3時間いたように感じ、4時間過ごせば半日いたような気分になるはずだ。 照明と店内の色のトーンで心地よい空間を演出出来ることもある。 結果、お客様にゆっくりしたなぁ、随分長い時間をすごしたなぁ、との印象をあたえる効果が期待できる。 贅沢とはむやみにお金を使う事ばかりでは無くて、時間をたっぷり使えること、これもまた昨今では充分な贅沢ではないだろうか? 流れゆく時間を楽しむ空間を演出するのも我々サーヴィスマンの仕事でもある。そのためにこのような心理的な要素を少しかじっておこうと思う。
Jul 11, 2005
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ブリア=サヴァラン。フレッシュタイプのチーズに分類され、乳脂肪分が比較的高いクリ-ミーなチーズだ。ブリア=サヴァランとは19世紀前半の美食家の名前である。フランス革命の直後より、美食に関する書物を著わす。「美味礼賛」や「味覚の生理学」などが有名だ。 このチーズにこの歴史上の美食家の名を付けたのは、現在パリ市内で世界的にも有名なフロマージュリー「アンドゥルエ」の現当主ピエール=アンドゥルエの父、アンリ=アンドゥルエだそうだ。 今回当店に入荷しておいたのは、500gサイズのもの。プラト-にそのまま載せるにはサイズが大きく、また保存にも支障があるので4等分し、うち2ヶ分をフレッシュのまま提供する。蜂蜜かレーズンを添えて召し上がっていただこうと思う。 残りの2ヶは形を円柱形に整えて表面にレーズンをまとわせて、もう2,3日寝かす事にした。じっくりとレーズンからの甘いジュースはブリア=サヴァランの酸味との相性も良く、馴染んでいってた頃には、新たな味わいを生みだす。 「ア・ラ・メゾン」のチーズ。レストランだからこそ召し上がっていただけるチーズのひとつだ。
Jul 10, 2005
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ほとんどのフランス料理店では料理が一皿運ばれるごとに料理の説明が行われる。洋食店や、ファミレスであんまり慇懃無礼な料理説明はされない。大体分かっているだろうというのが大前提にあるのか、注文に間違いが無いか確かめる程度だ。料理説明と一言に言っても、それぞれのお店によってまちまちである。単に使っている食材を羅列するだけとか、さっき見たメニューに記載されているとおりの内容を復唱するだけとか。料理の説明に入ることによってお客様とのコミュニケーションが図れる絶好のタイミングであることは確かだ。かと言ってお客様どうしのお話が弾んでいるのに遮ってまで行う必要も無いだろう。もちろん、目の前にある料理を言葉によってさらに引き立てて、「さあ、食べるぞぉ」と、興味の湧く様な説明が出来ること。コレが一番だと思う。何しろ、お客さまは今からその目の前に置かれた料理を食すのだ。ご自身が目で見て分かるものをわざわざ言う必要も無い。「このお味はうんぬんかんぬん」と言う説明も的外れになってしまうことがたびたびある。直接的な「味」については、心配せずともその料理は何分か後にはそのお客様の口に入っているからだ。いかにその一皿に料理人の情熱と技術が込められているのかを押し付けることなくアピール出来ることがサーヴィスマンの技術である。半ば儀式的にフランス料理とは料理を説明されるものだという認識が成り立っているのかも知れない。ネット上のグルメ掲示板などを読むと「どこどこの店は料理の説明が無かった」と書き込みしてあることもあるので、料理の説明を省くのは、なかなか勇気がいるコトなのだ。そのため「楽しませる」ことを念頭に置かないと、勢い「説明」ではなく「アナウンス」に終始しがちだ。------------------------------------------------「どうぞ、お待たせしました。えーっと、こちらは小麦粉を水で練って、イースト菌を加えて一晩寝かせ膨らませたのち、オーブンで焼き上げたモノです。」「……パンでしょ?」「さすが!お客さま、よくご存知で!フランス料理は食べ慣れてらっしゃるんですか!?通ですねぇ!」
Jul 9, 2005
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サーヴィスに携わる者として、自社の商品をお薦め、また販売するにあたって、お客様を知り、好みなどを推測できることは非常に大事な能力であると言えます。 お客さまに対する観察力、雰囲気を察知する能力を養うことは若い頃からの経験がモノをいいます。 お客様がご来店されてまず、入り口でお迎えするときから、お客様に対する「情報収集」は可能なのです。年齢、身なり、言葉遣い、お連れの方がご家族なのか、会社の同僚の方か、etc、、、 メートル・ド・テルという役職にかぎらず、ソムリエであったとしてもお料理の好みはもちろんのこと、合わせるワインなどもお客様の会話の中から推察することも出来るはずです。--------------------------------------------------------------------------さて、ソムリエとして次のような事例の場合、おすすめするに相応しいワインとはどのような銘柄でしょうか?状況としては年配の男性と若い女性。会話を何気なく聞いてみましょう…「ねぇ~社長ぅ。今度私誕生日なのぉ。なんかプレゼントとか欲しいわぁ~」「そうかそうか、じゃあデパートでキミの好きなものなんでも買ってあげるよ。そのかわり、、、ムフフ」「イヤ~ん。うれしい~。やったぁ、社長、うっふん、デパート」…社長、うっふん、デパート?しゃちょう、うっふん、でぱーとシャチョーウッフンデパートシャトーヌッフ・デュ・パープ!
Jul 8, 2005
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大阪の豊中に非常に評判の良いレストランがあります。30席あまりがあるのですが、ランチ、ディナーとも1回転づつ満席になるようなお店です。もちろん、料理も美味しいとの評判もあり繁盛しています。 ただ、立地は決して便利とは言えなさそうです。最寄の駅から歩けば40分以上あり、タクシーでも利用すれば1000円は軽く超えてしまいました。家賃が低く抑えられて経営にゆとりが出来るからであろう、と私は考えていました。 ある時、当のレストランのオーナーシェフと話す機会があって、私も兼ねてからの疑問を尋ねてみました。「シェフ、あそこの場所でしようと思わはったのは何でなんですか?決して立地とか良くないですよねぇ?」シェフは豪快に答えてくれました。「ははっ。建物の雰囲気が気に入ったからなんや。電車使う人からみたら、便利や無いけど、今時フランス料理食べに来るような人は大体車持ってるし、ワインも飲むからタクシーに乗ることもそんな不便に思わへんで。」なるほど… ミシュランがグルメのガイドブックを創刊したのは1900年、日本ではまだ明治時代の中期。 その時代、車を所有する層というのは結構ブルジョアか少なくともお金持ちであったことはまちがいありません。ミシュラン社のタイヤを買おうとするような人は少なくとも上流階級の社会に属する人々であったでしょう。 車のタイヤという当時の「上流階級のシンボル」であったからこそ高級ホテル、高級料理店を各付けするに至ったのであると思われます。 現代では発行部数はゆうに50万部を越え、世界中のシェフがグルメが、発刊のたびに注目するのです。 さて、このミシュランガイド、こういったフランスの文化の流れの上に成り立ったものです。日本とフランスと食文化ではいろいろと差異がありますよね。 日本人からしてみれば、今回の「日本ガイド」。創刊について例えるなら、「走っている車に座席に跳び乗るような感覚」かもしれません。
Jul 7, 2005
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ミシュランの「日本ガイド」が発刊されるそうだ。 先日の朝のワイドショーで、小倉さんが喋っていたのを聞いて、ネットで調べてみると、「ヨミウリ・オンライン」にも記事が載っていた。 発刊は2007年の予定。今年の秋から来年にかけて日本での調査を行い、その後パリで編集を行うという事だ。 ミシュランガイドブックは1900年フランスで創刊された。ミシュランといえば、グルメのガイドブックで良く知られているが、F1などのモータースポーツにおいても良く見かける名前では無いだろうか。 そもそもミシュランは世界一を誇るタイヤメーカーがガソリンスタンドなどで販売する旅行のガイドブックであった。20世紀初頭はフランスで、モータリゼーションとツーリズムが勢いを増していた頃。タイヤメーカーであるミシュラン社が当初は自社のタイヤの販売との関連を目的に作成したガイドブックで、旅先での宿泊先となるホテルと食事をとるレストランなどを紹介したのが始りである。フランスで日本版が発刊されるとなると、フランス料理業界は期待と不安に胸を膨らます。しかし、ちょっと待ってよ、である。 はたしてフランス本国、あるいはヨーロッパなど西欧諸国から見た視点での日本の料理とはいかなるものか?一ツ星、三ツ星と、格付けの行われる事で有名なミシュランガイドブックだ。しかし、このミシュランの「星」の本来の意味を簡単に訳すと一ツ星…旅行でその地を訪れた際には安心して食事のできるレストラン二ツ星…その地を訪れた時にはぜひ立ち寄りたいレストラン三ツ星…そのレストランに赴くためにその地を訪れる価値のあるレストランとある。と、なれば少なくとも外国人がガイドブックを見て訪れる「価値のあるレストラン」とはやはり日本料理か鉄板焼きにありそうだ。どうも我々フランス料理業界には分が悪い気がする。 このミシュランへの働きかけは、実は日本の政策にある。「YOKOSO JAPAN(ようこそ にっぽん)」のキャッチフレーズを掲げた、外国人を日本への観光に誘致しようという日本政府の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」があり、その一環として国際観光振興機構といわれる機関が、ミシュラン社と交渉してきたそうだ。 さて、この活動が盛んになった上で、迎える我が国はどんな応対が出来るのであろうか? 外国人の眼に日本はどう映るのか「心のこもったおもてなし」とはいえ、もてなし方もいろいろとある。異なる文化の眼で日本を見るわけだから、理詰めで成り立たっている「西洋のサーヴィス」をあらためて知っておく必要があるのかも知れない。
Jul 6, 2005
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お客様のご来店。 恰幅のよい方で、気さくな感じ。どっかの企業の社長さんか、重役の方か、、、 ワインをサーヴィスしていると、いろいろとお話が弾む。「そおかぁ、君もソムリエかぁ。そしたら神戸のPホテルにおった、Kさん、っちゅうソムリエ知っとるやろう?」「ハイ、その方ってあれですよねぇ、ソムリエコンクールの世界大会にも出場された。私はもちろん存じ上げてます。全国的にもカリスマ的な存在の方ですものね。」「そおなんか!?。そやけどあいつ面白いヤツちゃで。ワシがあそこのホテルのレストランに行ったら、ワシの顔見てツカツカって近付いて来よってな、ほんで一言『まいどぉ』って言いよんねん。」「へぇー、ホンマですかぁ。」「そおかぁ、あいつ、ソムリエの世界大会って、そんなたいそうなヤツやったんか!?」正直、私は驚いた。一流ソムリエの方が『まいどぉ』って言うかぁ!?…と、言うようなことでは無い。 高級ホテルの一流ソムリエの方である。誰にも彼にもそんな風な接し方をしているはずが無い。ある時は斜に構え、ある時は慇懃無礼にお客様に接する。いや、普段の営業のほとんどはそのような形の接客であったに違い無い。 誰しもに好まれるサーヴィススタイルというのは、ある意味それぞれのお客様に合わせて変化させられるものでは無いだろうか?「臨機応変」とは時に臨んでから方法を産み出す事では無く、幾多の引き出しを用意しながらも、いづれの手法を用いるか「選択」することでもある。 ソムリエのK氏は、このお客様の性格を見抜き、「意外性という驚き」をもってこのお客様に接した。ツボを得た接客、いわゆる心の琴線に触れるサーヴィスを行ったのではなかったか。 それがゆえに、もうすでにそのホテルを離れられて何年も経っている。にも関わらず、しかも他所のフランス料理店でお客様の口からそのようなエピソードが語られるとは、ある意味、絶大な宣伝効果である。 K氏は現在もワインの知識、技術面では日本トップクラスの方として活躍されている方だ。しかし、加えてお客様の心を掴むことにも「超一流」であったのだと私は思う。
Jul 4, 2005
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ウチの店でもチーズを提供しています。ディナーコースのほとんどにはメインディッシュの後にサーヴィスしており、常時6~10種類程プラトーに並べて、お客さまにご覧いただき、好みのチーズを選んでいただいてます。で、今夜のオススメは「エポワス Epoisse」フランス、ワインでも有名なブルゴーニュ地方。その中にあるエポワス村にて生産されているチーズです。フランスにおいては、現在A.O.Cにも認定されているチーズです。第一次、二次の両世界大戦にて村が被害を被り一時は生産されていませんでした。しかし、その歴史は古くナポレオンの「ジョセフィーヌ、チーズはもうたくさんだ。」のエピソードで知られています。カテゴリーは「ウォッシュタイプ」に分類されます。ブルゴーニュ産のマール(糟取りブランデー)でウォッシュされた表皮からは他のチーズに比べ、ひときわ強い香りが発せられますが、納豆、鮒ずし、などなどの他の発酵食品同様、人間の官能に訴え掛てきます。百貨店などで買い求めることは可能ですが、自宅にて食すには幾分量が多い。一箱なら約250g。また、日本における賞味期限の表示では結構若い状態のうちに設けられていることも多く、チーズに関しては、賞味期限の日付から本当は美味しくなると言われてもいます。 レストランで少量づつ試されるなら尚更、フランス並に熟成の進んだチーズを提供したいとも思うものです。海水に近い濃度の塩水にブランデーを加え、一旦その液体で表面を流します。塩水であるのは、乾燥を防いだ上で浸透圧をチーズに近づける為。この液体に浸したリードペーパーを軽く絞り、エポワスを包んで木箱に戻します。そして冷蔵庫へ。片面に塩味が偏らないよう、3~5日間隔で上下をひっくり返します。さて、いよいよ熟成がすすんで、ペティナイフを刺して試してみます。芯のある手応えは感じません。入荷された日付を確認してみると「5月25日」実に一ヶ月あまり寝かされていたことになりますね。かなり独特で強烈な香りに仕上がっています。中身はトロトロ。ナイフで切るよりティースプーンを用いて掬うと、ツゥー、と糸を引きます。風味の強いチーズを好まれるお客さまもいらっしゃいます。オススメしてみると、一言。「フェチですね」…おっしゃるとおりです。
Jul 3, 2005
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仕事熱心のあまり、レストランで働いている時の夢を見ているようだ。寝言で叫ぶらしい。 ヨメに指摘された。「zzz、、、オーダーお願いしまぁす!コースBでぇーす!」「えっ?」「Aじゃなくて、Bですっ!、、、zzz」
Jul 2, 2005
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と、いうわけで、今週は毎日ランチの時間は生ハムと格闘している。大体、お客様一人につき平均2~3枚を付ける。1脚あたり90名様分として、250枚程度をスライスする計算になる。 ここ2年で8本ほどカットしたのですでに通算実に2000枚。このあたりくらいまでスライスをくり返していれば、その熟練度は関西のメートル・ド・テルの中では5本の指に入るだろう。…ただし、足の指である。ちょっとクサイかも。~骨付生ハムを切る~使用するナイフは2本、ハムをスライスする為の牛刀。比較的幅が細いものが使われる。あるいはしっかりしたサーモンナイフ。もう1本はデゾッセと呼ばれる筋引き包丁である。生ハムはお客様に提供する1時間位前には冷蔵庫から出しておいて常温に近づけておいた方が良い。スライスする際に脂がスムーズに切れるからだ。蹄を上向き足首の位置を左側にしてハモネラ(ハムホルダー)に固定。上部の膨らんだ部分の皮を剥く。牛刀で脂を水平に切り落としておく。後にこの脂を切り進んだ後にカバーの役割をさせる。赤身が見えてきたら、側面の皮部分をその日に使用しそうな予定の所まで剥く。側面の脂は全て落とさずに。脂の旨味、甘味が共に食せるようにするためである。ハムを薄くスライスする。切り進む包丁の刃が透けて見えるくらいが理想。小刻みに刃を動かす方が分厚くなりにくい。前方にある斜めに入った骨(骨盤の骨)が現われてくるようになったら、骨の周りをデゾッセで切り込みを入れて、骨を避けて水平になるよう切り進める。横向きの骨(大腿骨)が出てくるようになる。骨は膝の所を折り目にスネの骨と太腿の骨が「へ」の字形に入っている。骨の所までのスライスを進めていく事になるので、一枚の長さがとれるのは徐々に短くなる。大腿骨がほぼ露出すれば、片面は終了。ひっくり返して、ハモネラに固定。今度はお尻の側である。皮を取り除き、最初と同じ要領でスライスしていく。両面を切り終わったら、骨の側面に残る肉の部分になるが、この辺りまでくれば骨から外して肉の塊にし、キッチンに戻してカットする事となる。ダイス状にカットしてサラダに散らすなどの使い方もできる。上手くできたでしょうか?上出来だったら、ハムだけに、、、 ↓ブヒサイン!(00)
Jul 1, 2005
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先週ウチの店に生ハムが入荷された。以来ここ何日かはランチのオードヴルは生ハムのスライスを添えたサラダを供している。 今回入荷されたものはスペイン産の「ハモン・セラーノ」フランスとスペインの国境にあたるピレネー山脈で作られた物とある。 私が今の店に勤めるようになってから、生ハムは通算8本ほどこなした。種類も様々で、同じスペイン産のものなら「ハモン・イベリコ」フランス産の物なら「ジャンボン・バイヨンヌ」イタリア産の物なら「パルマ」と「サン・ダニエーレ」などなどである。 4キロ程ある一本の脚から大体、60~100人前くらい取れるだろうか?人数の幅が大きいのはやはり、豚の種類、製法の違いもあり、また、同じ産地のものであってもハムになる前の豚の違いによって違いも出てくる。筋肉質であったもの、骨太なヤツ、脂肪をたっぷり蓄えたもの、、、 日本で「ハム」と言うとどうも「燻製にした肉」のイメージが強い。 「生ハム」は燻製にかけずに塩をまぶして脱水し、風通しのよい場所で干して乾燥させる。 そのため「ナマハム」であって「ナマハゲ」は秋田のお祭りだ。 ところで、「ハム」とは本来、豚の太腿肉の事を指す。フランス語の「ジャンボン」スペイン語の「ハモン」いづれも同じ意味である。とすれば、「ロースハム」とは「牛肉のトンカツ」くらい違和感を感じているのは私だけだろうか?
Jun 30, 2005
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最近のニュースで話題になっているのが、国会議員の飲酒問題だそうだ。連日、午後のワイドショーなどでも取り上げられている。 私は飲酒そのものは悪い行為では無いと思う。アメリカにおいて過去施行された禁酒法が破たんし、現代においては悪法であったとまでいわれている。 しかし、私どももワインなどアルコールを販売する立場、酒を愛してはいるので「飲酒」そのものに問題があるのでは無く、飲酒によって起こる弊害が問題なのである。当の国会議員達は口々に「飲んではいるが、酔っていない。」と弁明するが、酔っているかどうかが問題なのでは無くて、飲んだ事が問題なのであり、何よりこうやって非難される事自体が「悪弊」であると言えるだろう。 ソムリエ、バーテンダー、などなどお客様を相手にする接客業では、お客様にお酒のお相手を進められる事も多く、グランヴァンなど売れた日にはお客様から、「勉強もかねて、一杯どうぞ」などと、遠慮しながらも、実は、待ってました!の心持ちで一杯頂戴したりする。 ワインにおいては、ボトルの注文が入ったりするとやはり、ソムリエによるテイスティングが行われる。 ワインは自然食品であり本当に十何本かに1本くらい、ブショネだったり品質が劣化したものが現われる。ワインを抜いてお客様に提供する前に、ソムリエが5cc程グラスにとって味を確かめるのだ。 ソムリエ協会の教本などによると一応、お客様に「テイスティングをさせて頂いて宜しいですか?」と、お伺いをたてることになっているが、実際の現場ではソムリエによるその行為は不文律の了解となっているので、あんまり伺っているのを見た事は無い。 私がとあるホテルのレストランに勤務していたころ、父と母が食事をしに来た事がある。当日、レストランは満席で、あんまりテーブルに付きっぱなしで相手をするわけにもいかない。そのうち、あちこちのテーブルでワインの注文が入るのでそれぞれのテーブルにワインをサーヴィスして回る。 当時勤めていたレストランでは、ホールの中央にワイン用のサーヴィス台を設けていた。ワインクーラーや、パニエ、シャンパンストッパーなどの道具が揃えられ、お客さまから注文を受けたワインはそちらで抜栓され、テーブルにサーヴィスされるのだ。 自分で言うのもなんだが、ワインを抜く時の私はカッコいい。レストランのホールに立つ時はアクターでありアクトレスであれ!というのが座右の銘でもある。 キャップシールを鮮やかにめくり、コルクにソムリエナイフを刺す。ソムリエナイフはヘンケルを愛用している。無駄を省かれたそのフォルム、機能的なものは美しいと私自身が感じているからだ。シャトーラギオールが決して値段が高いからという理由からで無い。 ソムリエナイフをコルクに刺す。もう何千本も抜いているので、決してコルクが割れるような事は無い。もし、私が抜いたコルクが割れているとすれば、そのコルクは最初から割れていたのかも知れない。と、しておこう。 ワインボトルを斜に倒して、テイスティンググラスに少量取る。ラベルは常に上方を向いている。澱が回ったりしないように、細心の注意が払われる。ココにもソムリエとしての卓越した技術が介在するのだ。 テイスティンググラスに取ったワインを少量口に含む。うん、上出来のワインだ。バランス、味わいは申し分ない。先程お客様にご説明した通りの味わいを再現できるであろう。料理とのマリアージュも、私が意図したとおりの相乗効果を生み出すであろう。 私はソムリエとして、充分満足であった。テーブルで私を見守る両親も、息子がちゃんと仕事をしてるのを見て、さぞかし安心したに違いない。、、、と、その時母が私の所に近付いてきて、一言。「これ!あんたぁ!仕事中にお酒飲んでるとはどういうことねん!仕事中に酒飲むとはあんたもエエ身分やねぇ!お酒飲んで仕事するとはお客さんに失礼やンか!」その場で母にシバかれた。レストランのホールのまん中で、、、「俺、ソムリエやねん、、、」その言葉は、母の耳には届かない、、、
Jun 28, 2005
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我々飲食業というものは、どうも自分達が「技術職」であるとの意識が強い。いわゆる職人堅気である。 何かと不況が取りざたされる今日であるので、手に職をつける意味でも調理師学校や製菓学校には入学申し込みが絶えないそうだ。 立派な料理人になるために、手先の器用さは大事であろう、美的センスも兼ね備えていれば申し分ない。経営センスもあればオーナーシェフとしても活躍できるかも知れない。 しかし、職人である事は十二分に結構なのであるが、その前に一社会人としてもやはり他の職種に勤める方々のレベルというものを意識せねばならないと考える。大人としての言葉遣いができる。とか、ちゃんと手紙が書ける。といった類いの物である。 今でこそ料理人はテレビなどの影響もあり、結構カッコ良く見える職業であるが、過去においてはやはり水商売としての認識で、頭が悪いから手に職でも、、、といった考えがあったのは確かである。 私の先輩、といってももうすでに60才を越える大御所といえるシェフは、関西でフランス料理をもう40年近く営んでいるが、料理人がコックコートのままで、外を出歩くのを非常に嫌った。 コックコートをきたまま、明らかにどのような職業であるか分かる状態で、街でタバコを吸ったり、パチンコへ行ったり、職種としての世間の意識が図られるからである。-------------------------------------------------------------------------- 今年の春に入社した新入社員、彼等にも一般常識としての最低限の事は教育しないといけない。それもメートル・ド・テルの仕事である。挨拶がちゃんとできる事、返事がちゃんとできる事、自分の意志を表現できる事、手紙をきちんと書く事も出来ないといけない。「…おい、この宛名はおかしいぞ。『レストラン・フランス様』こういう場合は会社名だから『様』じゃ無くて『御中』になるから。」「は、はい?う、おんちゅうですか?さすがフレンチ業界ですね」「何がさすがやねん!とにかく、こういう場合は『御中』や!『おんちゅう』!」「はい!分かりましたァ!『レストラン・フランス おんちゅう』ですね」…心配する私をよそに手紙をしたためる新入社員。投函する前に確かめてみるとそこには大阪市○○区○○通り0-0-0レストラン・フランス want you!
Jun 27, 2005
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フランス本国のレストランなどで食事をした後に出てくるデザートはやたらと甘い。 モンブラン、ガトーショコラ、ムース・オ・ババ、マルキーズ・ショコラ、etc、etc フランス料理に限らず西洋料理は料理の中には基本的には砂糖を加えません。対して日本で調味料は「サシスセソ」で表されます。つまりサ=砂糖シ=しおス=酢セ=しょうゆソ=ミソと、砂糖は調味料の筆頭に挙げられたりしていますが、フランス料理において甘味が必要な場合はあえて、甘口のアルコール、例えばポルト酒だとか、マデラ酒などのお酒を煮詰めてお肉にソースにしたり、あるいは果物だとかを加えてその果実の甘味でバランスを取るようにしています。そのため、体が欲するであろう「甘味」をデザートにおいて摂取させようとした結果、自ずとデザートは甘味の強いものになるという傾向があります。 英語圏で「スゥィーツ=sweets」イタリア語では「ドルチェ=Dolce」とお菓子の事をそのまま「甘いもの」という意味を持って当てはめられるのは、その他の食事が基本的には砂糖の甘味を伴っていないもの。という捕らえ方ができるのではないでしょうか?「デザート」も、もちろん甘美なお菓子の意味として使われています。フランス語読みすると「デセール=Desserts」 デセールの「デ=Des」は、否定の意味で「~しない、~をやめる」「Serts」は「サーヴィスする」の語が訛ったものといわれています。この事から、「デセール」は本来「片付ける」の意味でした。そういえば、メインディッシュを下げた後に卓上のパン屑とかをお掃除しますよね。実は「デセール」とはメインの食後が終わった後に卓上を片付ける行為そのもので、いつしかその後に出てくる甘いお菓子の事を指すようになったのです。 で、お菓子そのものを指すのは。ガトーGateauですね。個々のお菓子を指して言う時はこちらを使うでしょうか? いつか将来、私がカフェなぞ開店させたら、そうですねぇ、本格的なフランス菓子と日本人の「茶」の心を融合させたようなお店がいいですね。本格的なフランス菓子の「ガトー」と日本の「茶」。店名は、、、『ガトー茶!』ハァ~ ビバ ノンノン
Jun 26, 2005
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「メートル・ド・テルって何やねん?」 私が名刺を差し出すと決まって口にされる言葉である。これがこの飲食業界の人だったりすると、大体分かってももらえるのだが、学生時代の古い友人だとか、親兄弟親戚にはもひとつピンと来ないようである。いちいち説明するのが、面倒くさくなったりすると、「フランス語で『男前!』ていう意味ですわ。」などと答えたりするようにしている。 何しろいかんせん「メートル・ド・テル」という言葉は「ソムリエ」に比べてマイナー過ぎる。私の名刺には「メートル・ド・テル 某」と、肩書きには記載されており、私自身、自慢じゃァないがシニアソムリエの資格も持っているのだが、あえて、「メートル・ド・テル」の名称だけ記載してもらっている。そうすると、冒頭のような質問を毎回受けるのである。 「メートル・ド・テル」と言う言葉そのものは、「給仕長」などと訳されることが一番多いのではないだろうか?しかし、どうもこれは古めかしいし、言葉の響きももうひとつよくない様に思う。 また、「支配人」などと大層な名称もあるにはあるが、一体何を支配しているのだろうか?大体、私自身、家に帰るとヨメと子供達に支配されているのというのが現実である。 ただ、自分が「メートル・ド・テル」であるのかどうかははななだ疑問のままである。 最近人から聞いて感銘を受けた話がある。オーケストラの指揮者についてであるが、指揮者という人々、彼らは特に楽器を持って演奏し、音を出すことも無ければ、多分指揮棒なんて道具は、他のどの楽器よりも軽いに違いない。更には、演奏会で披露される曲は何百年も前にモーツアルトとかベートーベンとか誰かが書いた曲がほとんどで、たいてい自分の作曲ではないはずである。ところがである、コンサートが行われるとなると、「誰某指揮」というのが一番最初に来るではないか?。 そんなコトを疑問に感じていたことがあったのだが、ある人から、「それは間違った認識だ。」と指摘された。指揮者というのは、そのオーケストラの中で、他の誰よりも最も演奏される曲を理解していなければならないのだと。作曲家の心情を理解し、時代背景の知識もあり、オーケストラの演奏者の力量を把握し、なお、その曲を表現する力と、観客に伝えたいとするホスピタリティを備えていなければ、つとまらないものだそうである。 メートル・ド・テルにも同様の事が言えるのではないだろうか。 中谷彰弘氏の著書に「ホテル王になろう」なる本があって、その中にこんな一文がある。「メートル・ドテルはレストランにいらっしゃるのお客様についてはもちろんの事、料理、ワインその他の什器設備、また当日のスタッフの力量などすべてを把握していなければならない。そしてメートル・ド・テルはレストランの空気を支配しているのだ…」と。メートルが支配人と呼ばれる所以がここにあった。 レストランの「空気」が「支配」出来ていなければ、それは、「店長」であっても、「メートル・ド・テル」ではないのである。 これからも、「メートル・ド・テル」の「レゾン・デートル=存在理由」を探していこうと思う。
Jun 25, 2005
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今年の夏のキーワードは「クール・ビズ」だそうだ。冷房機器の進化が進んだのはよい事かも知れないが、地球の温暖化だとか、エネルギーの問題だとか様々なマイナス要因を含んでいるという。服装を政府率先で変えていこうとする、、、何の事はない何年も前からで取り組んでいる「省エネルック」の呼び方を変えたのである。 さぞかしネクタイ製造業などには、売り上げが伸びなくなったりして影響が出ているだろうなと考えたりもするのだが、我々ホテル、レストラン業界にとっては、「クール・ビズ」だからといって、ハイそうですかと励行するわけにはなかなか行かない。 高級フランス料理店などでは、ユニフォームはタキシードだったりする。レストランが「ハレ」の場である以上、お客様がそれなりの格好をしていらっしゃる場合、迎える私どももそれなりの装いを持って迎えるのが「礼儀」だからである。レストランによっては「上着着用にてご来店をお願いします。」の看板を掲げている所もあり、暑いからといって簡単に看板を下ろしたりはしない。 この辺りが、日本の文化と西洋の文化、取り分け服装に関して、明治以降に洋服が普及した日本と西洋の違いではないだろうか? レストランのホールは、あくまでも公の場である。公の場で上着を脱ぐのははしたない事で、上着を脱いだ時に現れるそれはワイシャツであろうと「下着」なのであるから。 しかし、といってもヨーロッパの人々は暑さに強いのだ。といったものでは無い。長い年月において「クール・ビズ」は着々と進行してきたと言える。 上着=ジャケットはその昔、現在の学生服のような詰め襟であった。これではどうも暑いので、第一ボタンを外す。そして第2ボタンを外してみると、現代のジャケットのスタイルに近付く。 ところがこれだと胸元から下着がのぞくので、フリルやリボンで飾って隠そうとする。クラヴァットと呼ばれるが、これこそネクタイのはじまりである。 ネクタイはその後、普通に垂れるネクタイや、蝶ネクタイヘとだんだん小さくなっていく。下着であったシャツも胸に飾りを付けたり、イカ胸と呼ばれる固いプレスを当てたりして現在のワイシャツへと近付いていく。 さて、それでも上着の胸元から「ズボン吊り」が垣間見える。ジャケットが「上着」である以上、ズボン吊りは「下着」だからこれも隠さないといけない。と、いうわけでベストの誕生である。ベストは上着と同じ素材で作られ、ズボン吊りを隠すには最適だ。 スリーピースになったまではいいのだが、夏はそれでも暑い。イギリスが後に「東インド会社」なるものを設立して、インドに常駐するとなると、いくらなんでもインドではスリーピースは暑い。 そこで眼を付けたのが、インドの地元民の服装でもあった腰巻きである。これならズボン吊りは隠せるし、暑さも少しは和らぐだろう。かくして現代のカマーバンド、あるいはサッシュと呼ばれるタキシード着用の際にの腰に巻くベルトの誕生である。 私がこの業界に入った時に、当時の先輩にこのカマーバンドの事を聞いた事がある。当の先輩は、「さぁー?チップをもらった時に入れるようにするためのモンとちゃうの?」と、言っていた。 …あれから、10年あまり。未だにお客様からカマーバンドにチップを挟んでもらった事は無い。
Jun 24, 2005
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フランス料理店で勤めていると、様々なお客さまに出会います。フランス料理という職種柄、外国人のお客様も多くご来店下さる事は否めません。 日々、日本語以外の語学の収得に労を費やすのも、優秀なサーヴィスマンとしては必須の事とも思われます。--------------------------------------------------------------------------HOTEL VMG RESORT KYOTO(ホテル VMGリゾート 京都)…と、ある日の出来事。欧米人と思しき外国人のお客様がいらっしゃいました。「えーと、こちら『スズキのポアレ』でございます。」「Oh!スぅズぅキぃ!what?スぅズぅキぃハ、エイゴデ、ナント、イイマスカァ?」「はい、えーと『しーばす』ですね。」「しーばす、、、Oh!Sea Bassデスネ。OK。デモ、『Sea Bass』ハツオン、マチガッテマイスネ。Sea Bassデス」「しーばす」「No,Sea Bass」「シー・バス」「ウーン、Sea Bass。モウイチド」「Sea Bass!」「OK!スぅズぅキぃハ、Sea Bass デスネエ」「…『スぅズぅキぃ』やなくて、『スズキ』なんですけど、、、」<a href="https://ac.vmg-affiliate.com/gcdufe23d3e7g50d/cl/?bId=d5b8382z&bannerNum=1"><img src="https://img.vmg-affiliate.com/banner.25.1.IMAGE"></a>
Jun 23, 2005
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俺ってムッチャ頭ええんとちゃうのん!?とか、自分で思うときがあるんですよね。そんな時って大体、イカしたダジャレを思いついたときとか、、、しかし、いかんせん内容が高度すぎ。ウチの店の若い子に披露しても、何のことかトンチンカン、 ああ、こいつがソムリエの資格でも取ってればなぁ、、、不発に終わったダジャレも数々。------------------------------------------------------------------------「シャトー・グリエってなぁ、ソムリエの試験のときくらいしか名前でてけぇへんけど、実はムッチャ女性にお勧めやねん!」「何でやねん!?。結構辛口やし、癖もあるぞ」「シャトーグリエはヴィオニエ100%。ヴィオニエ、びおにえ、美容にえぇ!」
Jun 23, 2005
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「メートル・ド・テル連盟」ってサーヴィスの勉強会があるんですよ。フランス料理のサーヴィスに携わっていた方々が起こした会なんです。 そもそもメートル・ド・テルってのは、「給仕長」なんて、日本語では訳されたりしてるんですけど本来は貴族の館なんかで、「館の主人に成り変わって客人をもてなす」役職の名称から始まってるんですよね。 さて、時代は変わって1999年に大阪で「メートル・ド・テル連盟」が立ち上げられました。私も設立当初から、役員幹事として関わってるんですけど、2ヶ月に1回づつ位の割合いで、若いサーヴィスマン向けにセミナーを開いたり、食在を尋ねていろんなトコへ旅行に行ったりと、様々な活動もしてます。ホームページも作ってますので、一度ご興味のある方は立ち寄ってみて下さいね。http://maitres.hp.infoseek.co.jp/(…今日からブログをはじめたばかり。こんなんでいいのかな?)
Jun 22, 2005
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世の中ではブログが随分と流行っている。先日も元上司とばったり街で出会って「俺のブログを見ろ!」と責められたばかりだ。さて、ブログとは?検索エンジンで探し物をすると、最近はブログページばかりが目立って上位にランクされる。さて、いろんな事を書いてみたいぞと思いながら、さてさて、今まであった掲示板とはまた違うのか、HPも今まで作ったりしてるんだけどまた違うのか、、、 とりあえず、始めてみればいいかな? マズかったら修正しちゃおう、、、、
Jun 22, 2005
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