颯HAYATE★我儘のべる

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高天の観察日記 22~25



あれから1年が経過していた

また夏休みの宿題をもらってしまった。

「今年も何か一つ、観察日記をつけてみましょう。」

先生はそう言った。でも僕は去年からずっと観察日記をつけている。

1年生の時の宿題が終わっていないってことだ!!

高天はあせっていた。

「先生!!!僕はまだ前の観察を続けています!!!」

「・・・前の観察・・・ああ、あれね・・・違う観察はしないのかな?」

「でもまだわからないから。」

僕がそういうと先生は変な顔をした。

「・・・高天くんが観察を続けたいなら仕方ないわね。去年と同じ観察を続けてそれを夏休みが終わったら先生に出してもいいわよ?」

先生の言葉に高天はホッとした。

他の観察なんて考えられなかった。僕お父さんとお母さんの秘密を観察しなくては。

その前にカンの正体もつかまないといけないし・・・夏休みはすることがいっぱいで忙しい。

高天は決意も新たにカンに立ち向かうことにした。




「高天、明日から夏休みでしょ?今年はどんな宿題がでたの?」

「去年と同じだよ。」

お母さんが夕飯の席で聞いてきた。でも本当のことは言えない。

だってお母さんはカンに操られている可能性がある。お兄ちゃんやお姉ちゃんだってそうかもしれない。

お父さんはすでにカンに操られていることが証明されている。

もしかしたら・・・・先生だったカンの仲間かもしれないのだ。油断できない。

そうだ!!だから先生は、違う観察をしないのかと聞いたんだ。

カンを調べられたら困るから!!!

高天はそのころに気がついて茫然とした。

やっぱりカンはすでに僕の家だけじゃなく、外にも手を伸ばしていたんだ。

もう友達だってカンの仲間になっているかもしれない。

学校の中にカンがいるかもしれない・・・先生かもしれない。

「そういえば、なずなちゃんは学校に慣れたのかしら?。」

なずなというのはお父さんの友達、類おじさんの子供で花沢なずな。

僕の一つ年下で、この家にいることが多かったから僕の妹みたいな子だ。

「うん、友達もできたみたいだよ。」

「高天、ちゃんとなずなちゃんを助けてあげなさいよ。あんたはお兄ちゃんなんだから、学校のわからないことをキチンと教えてあげなくちゃね。」

「そうしているよ!!」

お母さんの言葉に答えながら僕は考えていた。なずなはどうなのかな?

僕の家にいることも多かったし、もしかしたらってこともあるのかな?

いや、なずなは小さいしカンに操られることも無いと思う。

高天は自分で自分の疑問を打ち消した。

「高天、高天! 聞いているの!? ご飯を食べながら考え込むのはやめなさい。学校で何かあったの?」

「何もないよ。明日から夏休みだから・・・何をしようかなって」

「夏休みだからって遊んでばっかりいたらダメよ?」

「・・・遊ぶ暇なんてないよ。僕は忙しいんだ!!」

「忙しい?何をするの?」

言えるはずがない。だってお母さんもカンに操られているに違いないんだから。

カンの正体を突き止めるんだなんて言えるわけないじゃないかっ!

「僕にもいろいろあるんだよ。」

「いろいろね・・・」

今まで何か知らないが本を読みながら、お行儀悪くご飯を食べていたお兄ちゃんが意味ありげに僕を見る。

お兄ちゃんは僕がしようとしていることに気がついている。

「お前、まさかまだ・・・」

やっぱり気が付いている!!!僕は焦った。

変なことは言えない。周りはカンの仲間だらけかもしれないんだから。

違うかもしれないし、そうかもしれない。

変なことを言って、僕までカンに操られるようなことになったら誰がお父さんを助けるの?

ここは逃げるしかない!!!

僕は大きな声で「ごちそうさまっ!」と叫ぶと部屋へ走った。






「危なかった・・・」

僕は自分の部屋でホッと息をついた。安全な場所はもう僕の部屋しかないのかもしれない。

どうしよう。

「おじいちゃんたちもカンの仲間だとすると・・・もう頼れる人がいないよね。」

途方に暮れて高天は頭を抱えた。

そこに、ふっと浮かんだ顔・・・花沢類。なずなのお父さん!!!

「そうだ、類おじさんだ!! だってお父さんよりずっと頭がいいし、きっとカンに操られるなんてことはないと思う」

高天は興奮した。やっとカンに操られていない人を見つけた!!

うん、絶対に類おじさんは大丈夫だ。

「明日、類おじさんちに行ってみよう!」

高天はそう決断した。

明日になったら、類おじさんに会いに行って一緒にカンを退治する方法を考えるんだ。

よかった・・・これでお父さんは大丈夫だ。

安心した高天は睡魔に襲われた―――――。

夢の中でカンを退治しながら、いつの間にか気持ちよく眠っていた。


FIN




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■高天の観察日記 23■

最近、不思議なことが起きなくなった。

カンは地球征服を諦めて宇宙に帰ったのかな??

どうしよう・・・観察日記はこれで終了していいのかな??

もう類おじさんに相談しなくても大丈夫な気がする。

お父さんやお母さんも元に戻ったような気がするんだ・・・だからもう終わりでいいのかもしれない。

高天は思い悩んでいた。

本当にカンがいなくなったのか、まだどこかに潜んでいるのか幼い高天には検討がつかなかった。

「みんな操られているんだから、誰にも聞けないし」

トボトボと廊下を歩いていると、両親の部屋から微かに笑い声が聞こえた。

部屋をのぞくとベビーベッドに寝かされている楸が楽しそうに笑っていた。

何が楽しいのか全然わからないけど・・・

この家で操られていない人間がいるとすれば、それは楸しかいなかった。

赤ちゃんを操っても何もできないもんな・・・

「楸・・・お兄ちゃんはどうしたらいいのかな?」

高天は両親のベッドに上がってベビーベッドを覗いて楸に聞いてみた。

もちろん赤ちゃんの楸が答えるはずはない。

楸は高天の顔を見上げて手をバタバタと振り回している。

「お兄ちゃんの言っていることわかる?」

高天は楸に触ろうと手を伸ばした・・・すると、その手を楸がしっかりとにぎった。

「楸・・・わかるのか?」

「うぅ~あう」

わけのわからない言葉を発し、楸は小さくうなずいた。

「・・・すげぇじゃん!!楸、俺の言っていることわかるんだな?」

高天は天にも昇る気持ちだった。やっと味方が出来たからだ。

「なあ、楸、この家の奴は俺たち以外全員カンって宇宙人に操られているんだ・・・でも今はそんな感じじゃない。もうカンは宇宙に帰ったのかな?」

真剣に高天は生後約1年の妹に聞いていた。その真剣さが伝わったのか
楸も黙って高天の顔を見上げていた。

「どう思う?」

楸はしばらく身動き一つしなかった。

「やっぱりわかんないか?」

「・・・・あうぅう」

楸が手に力を込めて何かをしゃべろうとした時、廊下から大きな声が聞こえてきた。






「何を言っているの?そんなことあるわけないじゃない」

両親の声がどんどん近づいてくる。

「間違いねぇんだよ。」

「どこにそんな証拠があるのよ!?」

「証拠なんか必要ねぇ!!!俺の勘ははずれねぇ!!!」

「・・・一番信用できないわよ」

両親は揃って部屋に入ってきた。

「あら?高天・・・?あら、楸、目が覚めたのね。高天が遊んでくれていたの?」

「う、うん・・・」

高天は真っ青になってうなずいた。

「高天?どうしたの??具合でも悪いの?」

「な、なんでもないよ!!!」

高天はそう叫ぶと両親の部屋を飛び出した。

「・・・なんだ、あいつは?」

「勝手に部屋に入ったから怒られると思ったんじゃないの?」

「怒るわけねぇだろ?」

「前にクローゼットに隠れていたら怒られたからじゃない?」

「そりゃ、あんな夜に・・・隠れていたら怒るだろう?・・・邪魔だしな。」

司の言葉につくしはほんのりと顔を染めた。

「まあ、アイツのことはどうでもいいさ・・・」






高天は両親の話に呆然としていた。

『俺とカンははずれねぇ』お父さんは確かにそう言った。

油断していた・・・やっぱりカンはお父さんと一緒にいるんだ。

間違いなく、お父さんの中にカンがいるんだ。

もう類おじさんに相談してみるしかない・・・・!!!!!

高天は自分の部屋で呆然と立っていた。


FIN




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■高天の観察日記 24■

お父さんはカンと合体していたのだ。

「俺とカンははずれねぇ!」

お父さんが自分で言っていたじゃないか。

つまり、お父さんはまだ完全に乗っ取られていないんだ。

だってカンとはずれないってことがわかっているんだもん。

きっとお父さんは僕に助けを求めているのかもしれない。

でも僕はまだ子供。早く類おじさんに言わなくちゃ!!!



高天は学校に行くふりをして花沢物産を訪ねていた。

「類おじさんを呼んで!」

ビルを入ると病院の受付みたいな場所があったから、そこにいるお姉さんにお願いした。

「類おじさん?・・・学校はどうしたのかな? 類おじさんって誰かな?」

お姉さんは隣の同じ服を着たお姉さんの顔を見て言った。

「類おじさんだよ! 僕はおじさんの助けが必要なんだ! 学校なんて行っている場合じゃないんだ! 早く類おじさんに会わせて!」

「・・・・・」

必死に叫んでもお姉さんはおじさんを呼んでくれない。

横のお姉さんと何かを話している。

「僕、おじさんの名前はなんて言うの? 名前を全部言えるかな?」

「・・・名前!? はなざわるい!! 類おじさん!!」

「「!!!」」

お姉さんはびっくりして顔を見合わせていた。

「花沢類って・・・社長じゃない!? どうして、こんな子供が社長を?」

「し、知らないわよ。でもどうしたらいいの?甥っ子とかかしら。でも社長って一人っ子よね?」

お姉さんたちは僕を変な目で見ていた。

もしかして、この人たちもカンの仲間なんだろうか?

「・・・あっ!!!もしかして、僕はなずなちゃんのお友達かな?」

なずなというのは類おじさんの子供だ。

そうか、なあんだ、このお姉さんたちは僕が誰なのかわかっていなかっただけなんだ。

そう言えば、僕は慌てていたから自分の名前を言っていない。

お母さんが言っていた。知らない人に何か聞く時は、まずご挨拶しなさいって。

「ごめんなさい。僕は道明寺高天です。類おじさんを読んでください。」

これで大丈夫だ・・・

「「・・・・・道明寺?」」

お姉さんたちは口をそろえて言ったけど、何か変?

「ど、道明寺!?」

「道明寺高天です」

お姉さんたちは二人でコソコソと話しあって僕をチラチラとみている。

なんだか怪しい・・・やっぱり、この人たち???

「本当に道明寺家にかかわりのある子なら、繋がないとヤバいよね。とにかく秘書課の指示を仰ごうよ」

お姉さんは電話をとって、どこかへ電話した。

「受付です。あの・・・実は今、花沢社長を訪ねて道明寺高天と名乗る男の子が来ているんですが・・・」

やっと類おじさんを呼んでくれるのかな?

『道明寺?』

「はい、あの道明寺家の方かどうか私どもでは判断が・・・」

『子供よね?でもちょっと待って。調べるから』




『道明寺高天って・・・道明寺司の次男の名前みたいだけど・・・』

「えっ! やっぱりあの道明寺家の?どうしたらよいでしょうか?」

『もうすぐ社長が戻るわ。それからになるから・・・少し待ってもらって、判断は社長が戻ってからよ』

「わかりました。   ・・・高天くんよね?花沢社長は今、外出中らしいの。
でも、もうすぐ戻るらしいから、あそこで待っててくれる?ジュース持ってくるからね」

お姉さんが指差した方向を見るとテーブルと椅子が並んだ場所があった。

あそこで待っていれば類おじさんが来るんだ・・・僕はお姉さんにお礼を言って、テーブルについた。

しばらくするとお姉さんの一人がリンゴジュースを持ってきてくれた。

それを飲みながら、僕は類おじさんを待っていた。



10分くらいしたら、入口におじさんが見えた。誰かとしゃべりながら僕の近くにやってきた。

「・・・だから勘だけで仕事をするとそうなるんだよ」

「そうですね。」

か、カンだけで仕事!?

僕は驚いて、思わず声をあげてしまった。

「え?高天?どうしてここにいるんだ?」

類おじさんが僕に気がついて言ったけど・・・僕の耳にはカンという言葉が渦巻いていた。

「カンだけで仕事・・・」

「高天?どうしたの?」

おじさんはカンに仕事をさせていた。しかもカンだけでする仕事があるのだ。

カンはやはり一人じゃないのだ。

カンに仕事をさせている・・・もしかしたら類おじさんがカンの親玉なのかもしれない!

僕は慌てて逃げ出した。

「高天!?」

類おじさんの大きな声が聞こえたけど、僕はただひたすら逃げた。

まさか・・・類おじさんがカンを操っていたなんて。

どうしてお父さんを・・・お父さんの友達なのに!!!!

FIN




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高天の観察日記 25


びっくり仰天新事実だ!!!

カンの親玉は類おじさんだった・・・

もしかしたらカンは類おじさんの命令でお父さんを?

類おじさんがカンの親玉ってことは、おじさんも宇宙人ってことだ。

もしかしたら昔からお父さんたちを操っていたのかもしれない。

総おじさんやあきらおじさんは知っているのかな?

「おい、高天!高天!」

ぼ~と歩いていたら後ろの車から声がした。

振り向くと総おじさんだった。

「お前、一人か?SPがいねえじゃねえか」

「総おじさん・・・」

「どうした? 家まで送ってやるよ、乗れ」

僕は疲れていたから、おとなしく送ってもらうことにした。



「で、どこに行ってたんだ?」

「類おじさんとこ・・・」

「類?なんでまた」

「・・・総おじさんは知ってた?」

僕は勇気を出して聞いてみることにした。

「類おじさんは宇宙人だったんだよ・・・」

「え?」

「類おじさんは宇宙人なんだよ!!!!」

「はあ? どうしてそうなるんだ? まあ宇宙人みたいなやつだけどな」

僕は簡単に説明した。

お父さんがカンに乗っ取られていることも

でもまだ意識はあってカンと離れたがっていること

そして類おじさんがカンに仕事をさせていることも。

「・・・類おじさんはカンのボスに違いないんだ」

「わはははははは!!」

総おじさんは変な顔をして爆笑した。

僕はやっぱりそうなるんだなとガッカリした。

だって総おじさんやあきらおじさんに言ったら笑うと思ってたもん。

「カンってお前・・・わはははは」

運転手の人が変な顔で後ろをチラッと見たのもちょっと変。

もしかして運転手の人、カンに操られている?

「カンだけで仕事って、お前の親父がずっとそうだけどな。」

そう言って総おじさんは笑いつづけた。涙まで浮かべて。

お父さんがずっとカンだけで仕事している?

じゃあずいぶん前からカンに仕事をさせていたの?

もしかしてカンに無理やり仕事をさせてカンが怒って

お父さんと合体しちゃったのかな?

「お父さんはカンだけで仕事しているの?」

「そ、そうだよ。司はある意味、野生のカンを持っているからな」

野生のカン!?

カンに野生とかあるの?

野生化した動物は危ないってテレビで言っていた。

じゃあ、野生のカンに仕事をさせていたお父さんはとっても危険ってこと?

高天は顔面蒼白になった。

ぼ、僕はどうしたらいいんだろう?

お父さんと合体しているカンは

とっても危険な野生のカンかもしれない・・・・

でも総おじさんも知っているのに放っておくなんて

友達なのに、ひどい!!!

もしかしたら総おじさんもあきらおじさんもカンを操っているのか?

でももしかしたら操っていると思わせて、操られているのかもしれない。

やっぱり誰も信用できない。

・・・でもカンに野生がいたなんて!

FIN


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