颯HAYATE★我儘のべる

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アラフォーの純愛 2



「「狭い方だろう?」」

総二郎とあきらの声がハモる。

「変わらないわね。いいんだけどさ、もう社会人になって何年よ。世間ってもんを知った方がいいわよ。
この世の中、セレブばかりで出来ているわけじゃないし。そもそも庶民がセレブを支えているようなもんよ。」


「否定はしないけど、育った環境がセレブなんだから仕方ないよ。僕はこの中では一番常識があるつもりだよ」

類が平然とコーヒーをすすりながらいう。

「一番の常識人は私だと思います」

そう断言したのは桜子だ。

「私に言わせれば、みんな同じよ。永遠に庶民にはなれない人たちよね。」

つくしはそういって笑った。何があっても庶民になれるような奴らではないし、ならないだろう。

「非常識なやつは司だけだろ」

いきなり出た道明寺の名前に一瞬、場が凍り付いてしまった。つくしは苦笑いをするしかなく、仕方なく軽く手を振った。

「そんなに神経質にならないでよ。さすがに20年よ?私の中ではある程度、消化していることよ」

そう、忘れてはいない。でもツライ思い出でもない。別に気を使ってもらう必要はない。

「俺たちが集まれば、自然と英徳の話になるのは当たり前だろ。そうなれば司のことだって出てくる。気を使っていたら俺たちが集まるのは無理なんじゃない?」

平然と言い放つ類に総二郎とあきらは顔を見合わせ微笑んだ。その通りだということだ。

滋と桜子も「その通りね」と相槌を打っている。

「そうよ。正直、あいつのことは忘れていないけどさ。私の中では綺麗な思い出になってるの。
なんて言うんだろう。大事な思い出って感じかな。本当は10年くらい前までは多少ひきずってたのよね。」

つくしは少し考えて続けた。ここはハッキリとさせておきたい。

というかハッキリ言っておかないと、滋や桜子は心配し続けるだろう。

「あいつ、どうしているかな。思い出したかな。なんてさ!思い出したなら迎えに来てくれるんじゃないかとか考えてたのよね。
でもさ、30歳になったときに時間かかりすぎだけど気が付いたわけよ。
どういう時間であれ、動いているんだって。記憶をなくして10年も経過すれば別の人生もあるよね。
たとえ記憶をとりもどしても、過去には戻れない。今を生きるしかない。過去に戻って記憶をなくした10年を捨てるなんてできないじゃない?」


「10年以上前から踏ん切りがついていたのに、俺たちに何の連絡もなしかよ!!!」

そう突っ込んだのはあきらだ。

「・・・いや、だから道明寺のことはある程度踏ん切りがついてもさ、10年も音信不通にしてたわけだし。」

「つまり牧野は司のことってより、俺たちに対する不義理で連絡できずにいたってこと?」

類は鋭い。簡単に言うとそういうこと。だって自分から逃げて、気持ちにケリをつけるのに10年もかかって。

それでどの面下げて「久しぶり、元気?」なんて連絡できるっつうのよ?

「どうでもいいよ、今、この場に牧野が俺たちといるってことが大事。俺たちも居場所知っていたのに、放置しすぎたんだよ」

「類・・・放置って人をなんだと・・・」

類はどうでもいいというように涼しい顔でコーヒーを飲んでいる。

学生時代から変わらないポジション。私が悩めば一番に気が付き、微妙なアドバイスらしきものをくれるのは花沢類だった。

「そうだよな。俺たちも俺たちらしくもなく遠慮しすぎたんだよ。人の気持ちより自分たちの気持ちを大事にしていれば、もっと早く牧野と再会できたはずだよな。」

そういって苦笑するのは美作あきら。

「いや、それを言えて実行できるのは司くらいだろ。人より自分。自分より大事な存在ってのができたのは、あいつにとって牧野が初めてだったと思うぞ。」

「そうかもな・・・」

しんみりした雰囲気を打ち消そうとつくしは大声を上げた。

「らしくないわね!!私にしてみたら、F4はみんな傲慢で自分が一番よ!」

「「「・・・・・」」」

「私もそう思います」

微かに笑いながら同意したのは桜子。

「そっかなぁ」

首をかしげるのは滋。同じようにセレブとして育ちながら感じ方が違うのは過去のせいだろう。

「俺は傲慢じゃないけどよ」

そう言い放ったのは類だが・・・誰も同意しなかった。

ある意味ではF4の誰よりも自分中心に生きているかもしれない。つくしはそう思った。

「よく言えるわね!」

「類、お前だけ良い子になるんじゃねぇよ!」

あきらはそういって類を羽交い絞めにした。

その瞬間、オートロックでしまっていたはずのドアから誰かが入ってくるのが見えた。

「お前ら!」

その声に誰もが凍り付く。

そう、その声の主は道明寺司だった。





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