颯HAYATE★我儘のべる

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榊: だから・・・常識人



「明けない夜はないから」に登場する榊や椛をそのまま使っていますが、

話の筋が少し繋がらないから気をつけて!

「罠!?」の続きと思えば・・・きっと大丈夫さ。

一部の会話を聞き流せば、「明けない~」の続きとしてもOKなんだけど。






★だから・・・常識人★  



俺は道明寺榊(さかき)。

猛獣の父と猛獣の母をもち、やっぱり猛獣の妹と猛獣になりつつある弟がいる。

猛獣ばかりのこの家でまともなのは俺だけだ。

親父の親友には猛獣使いと言われているお袋も、

俺に言わせれば親父より多少マシなだけで世間からはずれている。

猛獣を従わせることができるのはそれより強い猛獣なのだ。


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今日は俺と椛(もみじ)の誕生日。14歳にもなって誕生会って恥ずかしいのだが

道明寺家の誕生会はある意味では勉強であり、仕事。取引先や財閥系列で働くお偉いさんが大勢やってくるのだ。

つまり、後継者の顔を年に一度そのお偉いさんたちに覚えさせているのだ。

俺らも財閥のことを多少知る機会にもなるし勉強にもなる。

朝から誕生会のせいで屋敷の中はあわただしい。

メープルのホールを貸しきってするはずなのになぜ屋敷の中があわただしいのか

それはお袋が行かないと駄々をこねているから。

あわただしいというよりも使用人たちがお袋をなんとか行かせようと必死になっているだけなのだが。

なんでも昨晩、親父と喧嘩をしたらしい。原因はわからないがどうせ些細なことなのだろう。

いつもつまらないことで喧嘩するのが親父とお袋で、すぐに仲直りもする。

「榊、今日のお母さんは何?」

双子の妹、椛が聞いてきた。

「知らねぇ。親父と喧嘩したらしいが、ほっとけ、いつものことだろ」

「原因は?」

「だから知らねぇって」

「僕、知ってる」

俺たちの会話に割り込んできたのは9歳年下の弟、高天(たかま)

まだ5歳のくせに、超生意気な我儘者。そのうえお袋の血を引いた頑固者の最悪なヤツ。

「高天、わかってるならさっさと言え」

「・・・教えてくださいは?」

生意気な・・・親父とお袋が甘やかすからだ。ここは俺が兄として厳しく・・・

そんなことを考えていたら椛に先をこされた。

ガツン!!!

高天の頭に力強い拳骨がおちた。

「痛い~、何するんだよぉ」

「弟のくせに生意気なのよ!もう一発お見舞いされたくなかったらさっさと言いなさい!」

「・・・お父さんが浮き輪したって」

頭をさすりながら、顔をしかめていかにも渋々といった口調で言う。

浮き輪???親父が浮き輪をして泳ぐ姿を想像すると・・・笑える!

いや、浮き輪して泳ぐってありえねぇだろ?

「浮き輪って?」

「知らないよ。浮き輪したってお母さんが怒ってるの!」

浮き輪したから怒る・・・。いい大人が浮き輪して泳ぐなんて!ってことか?

それくらいで?それに親父が浮き輪・・・どっかで溺れて救助でもされたか?

「高天、お母さんは浮気って言ったんじゃないの?」

「そうだよ。浮き輪でしょ」

浮き輪と浮気。言葉は微妙に似ているが・・・親父の血をひいてるんだな。

それにしても・・・浮気ね・・・ってあの親父が浮気!?

それはもっとありえないだろ!!

親父はお袋にベタ惚れだぞ、間違いなく!

「お父さんが浮気ね。何でお母さんはそう思ったんだろ?」

「・・・ありえねぇだろ。お袋にベタ惚れの親父だぞ」

「うん。だからさ、お母さんがお父さんが浮気してるって思った原因って何かな」

・・・そうだ。結果があるからには原因がある。

親父は浮気はしてない。それは絶対に信じられる。

どうみてもお袋一筋で他の女にはまったく興味がない。

浮気なんて一度も考えたことはないだろう。

それでもお袋は親父が浮気をしたと思っている。

考えられることは何だろう?

「あの人たちなら知ってるかな?」

「・・・もしかしたらな。聞いてみるつもりか?」

「うん。簡単に教えそうでしょ?」

俺は返事をしなかった。そう、あの人たちなら簡単にしゃべるだろう。

親父が浮気してるなんて考えるだけでも楽しいだろうし、

からかうにはもってこいのネタだからな。

「あの人たちって誰?」

また高天が割り込む。無視をされるのが大嫌いなのだ。

「誕生会には来るんだよね?」

嫌いとわかっていながら椛は無視する。

どちらも子供なんだな・・・といいながら俺も無視だが。

9歳も年の違う弟はうっとおしい。

可愛いとも思うがくっついてまわられるとうっとおしくてたまらない。

「あの人たちって誰!?」

ガツン!!!

また椛のゲンコツが高天の上に落ちる。

有無を言わせぬ行動に俺は・・・やっぱり猛獣だと思った。

ちょっとだけ高天をかわいそうに感じたが、ちょっとだけだった。

俺が弟でなくて良かったな・・・

「痛いよ!!何するの!」

「高天、うるさい。大人の会話に口をはさむんじゃないよ!」

「・・・椛も子供でしょ」

「・・・あんたよりは大人よ。それもすっごくね!」

子供の喧嘩・・・親父とお袋の喧嘩となんら変わりはない。

「高天、あの人たちっていうのは総二郎おじさんに類おじさん、あきらおじさんに滋さんと桜子お姉さんだよ」

とにかく、知りたい情報を与えておけば大人しくなるのに・・・

なぜわざわざことを複雑にする必要があるのかわからない。

俺は呆れ顔で椛を見つつ、高天に情報を与えた。

「桜子がくるの?」

そういって満面の笑みを浮かべる。

高天は桜子おばさん・・・と言ったら怒られるんだった。

桜子お姉さんを気に入っている。将来は嫁にするらしい。

すでに結婚しているのだが・・・

「そうだ。俺たちの誕生会に来てくれる。わかったらあっちにいってろ」

「・・・やだ」

「高天?またゲンコツをあげようか?」

高天は椛を見上げて、しばらく考えたあと頭をさすりブツブツと言いながら俺たちの前から消えていった。



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「よお、神さま!」

やってきたのは親父の親友たち。

親父の親友の総おじさんは俺と高天のことを神さまと言ってからかう。

それは名前が榊と高天だから。

榊(さかき)とはご神木でよく神棚などにも飾られる木。神が宿る木と言われている。

高天(たかま)は高天原(たかまがはら)からとった名で日本の神話では神が住む場所と言われている。

母親曰く、父親のように猛獣にならないよう神頼みの意味でこの名をつけたらしい。

生まれたときから神頼みされていた俺たちっていったい・・・?

猛獣になるかならないかはお前たちの育て方の問題じゃないのか?と思ってしまう。

だが、遺伝ってもの大きい。どちらに転んでも猛獣になる可能性は高いだろう。

「俺を神さまなんて呼んでいたら本物の神さまに罰を与えられますよ」

「お~司の子とは思えないセリフだな。椛はどうした?」

「それよりおじさんたちにちょっと聞きたいことあるんだけど」

「あ?聞きたいこと?」

「親父とお袋の喧嘩の原因に心当たりない?」

「また喧嘩してるのか?飽きない奴らだな」

まあ年がら年中、喧嘩というか言い合いをしているからな。

そう言われても仕方の無い二人ではあるな。

だが今回は親父の浮気とお袋が思いこんでる以上、緊急事態かもしれないし。

「原因って・・・なんで俺らが知ってるんだ?」

あきらおじさんが困惑した顔で聞いてくる。類おじさんは興味なさそうにあくびをしている。

総おじさんといえば・・・顔がニヤケている。完全におもしろがっている。

「・・・なんかお袋は親父が浮気したと思ってるみたいなんだよね」

「・・・司が浮気?・・・」

「まあ、俺としては99%お袋の誤解だと思ってるけど」

「俺らもそう思うが・・・」

「もしかしたら本当かもしれないよ。司も牧野に飽きたのかも。」

突然に類おじさんが口をはさんできた。

え??親父がお袋に飽きる?ありえねぇ~

いつも追いかけてるのは親父だし。愛情表現過剰なのも親父。

お袋は親父に惚れているのかちょっと疑問なトコあるし。

「司が飽きたんなら、俺が牧野もらうって司に伝えて。」

う~ん、この人はまだお袋に惚れているのか?

もう33歳のおばさんだぞ・・・

でもこの人たちってまだ独身だしな~。もしかしてみんなお袋に惚れてる?

いや、ありえねぇな。あの色気もなにもないお袋に惚れるのは親父くらい・・・あと類おじさんか。

って、結局何も解決していないな。

「榊、あれ聞いたの?」

F3の面々とともにいる俺に気がついた椛がジュース片手にやってきた。

「よお、椛。綺麗になったな」

「総おじさん、私に愛嬌振りまいても無駄だよ。おじさんに興味ない。」

椛はそんなことを言っているが・・・類おじさんの大ファンだ。

「類さん、おひさしぶりです。来てくれてありがとうございます」

そう、椛は類おじさんだけ類さんと呼ぶ。そして猛獣を隠す・・・

「椛・・・類だけ類さんってあいかわらず露骨なヤツだな。いっとくが類も同い年だぞ」

「・・・見た目と印象の問題よ。総おじさんもあきらおじさんも印象が完璧にうちの父親と同じだからね」

「「司と同じには見られたくないぞ!」」

総おじさんとあきらおじさんが声をそろえて言った。

あの変てこ猛獣親父と一緒に見られるのはそれは嫌だろう・・・

「類さん、榊から聞きました?父さんが浮気してるって」

おい、してるかもしれない、だろうが!!

いつから確定になったんだ?

「うん、だから司が牧野に飽きたのかなって話をしていたんだよ。飽きたんなら俺が貰うって」

「え?お母さんと結婚したいの?私の方が若いしお買い得なのに・・・」

「椛もかわいいよ」

類おじさんはそういって椛の頬にキスをした。

「おい、類・・・そんなことすると獣がやって来るぞ」

「なあ、話をもとに戻すけど、お前らなんで牧野が司が浮気してるかもって思ってるって知ったんだ?」

F3の中では結構マジメで少し常識人?なあきらおじさん。

世話焼きの面倒見のいいおじさんなので気になるみたいだ。

「高天だよ。喧嘩を立ち聞きというか盗み聞きしてたみたいだ」

「あいつら、5歳の子供の前で夫婦喧嘩してたのか・・・」

「高天は親父が浮き輪してるって思ってるから大丈夫」

「「「浮き輪??」」」

3人とも頭をかしげている。椛は類おじさんの腕に手をまわしてクスクスと笑っている。

猫をかぶる・・・という言葉が頭に浮かんだ。

椛の後ろに猫が見える気がする。

「そ、浮気が浮き輪って聞こえてるんだよ。」

「「「司の子だな」」」

俺もまさしくそう思ったよ・・・。

「それにしても牧野が司の浮気を疑った理由ってなんだ?」

「だから、さっきから言ってるけど親父の親友だろ、なんか知ってるかと思ったんだけど?」

「知らん」

「司か牧野に直接聞けば早いのに。なんで聞かないの?」

類おじさんが簡単に言う。あの猛獣どもに聞けと?

「機嫌の悪いときに機嫌の悪い原因を聞いたら意味も無く鉄拳制裁だよ」

「そうだね。うちの両親って猛獣だから」

俺の言葉に椛がうなずきながら答えるが・・・俺に言わせればお前も猛獣だ。

「俺が聞こうか?司はどこ?」

「・・・・スウィートにこもってる。お袋がこないから拗ねちゃって。子供たちの誕生パーティーに親が不在ってどういうことだよな~。愛情を疑うね」

「司にとっては牧野が一番でその後がお前らだろ。」

総おじさん・・・そんな本当のことを・・・ため息。

とりあえず、類おじさんの意見を聞いて親父のもとへと大移動。

主役不在、というか主役一家が全て不在のパーティーっていったい・・・?



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部屋をノックすることなく進入。

というか、親父ってばドア開いてますけど??

やっぱ頭混乱してんだな。ドア開けっ放しってありえねぇし。

オートロックだからドアをきちんと閉めれば鍵はかかるんだが。

親父はソファに座ってなにやらブツブツと言っている。

酒も呑まずに酔っているのか?と思ってしまう光景だ。

なんだか怖いぞ。

とりあえず声をかけておこう。気がついてないしな。

「親父」

親父が振り向く。うわ、なんだその顔。

親父の顔にはミミズバレ・・・。漫画のようだ。

「「わはははは!!!!」」

部屋中に総おじさんとあきらおじさんの笑い声がひびいた。

類おじさんは・・・静かに肩を震わせて笑ってる。

椛と俺はただ唖然としていた。

「お、父さん・・・?どうしたの、その顔」

椛が言葉につまるなんて滅多にないことだ。

「・・・」

親父は無言でそっぽを向いた。

「勝手に入ってくるんじゃねぇよ。お前ら何しにきたんだ?」

「司、浮気したの?」

類おじさんってば直球だよ。親父のコメカミがピクっとした。

「俺が浮気なんてするか!俺はつくし一筋だ」

恥ずかしげもなくよく言えるよな。そこはある意味尊敬できる。

「でも牧野は浮気したと思ってるんだよね。その顔って牧野がしたの?」

「・・・ああ。でも浮気は誤解だ」

類おじさん以外の二人はまだ笑いがとまらないみたいだ。涙を流して喜んでいる??

34歳の男たちの大笑いってなんか変。

「何が原因?」

「・・・口紅とコロン、それに写真」

なんだそれ。

「俺のシャツに口紅がついていたらしい。それに女物の香水の匂いが染み付いていた。それに・・・女とホテルからでてくる写真が送られてきた。」

「脅迫されてるとか?」

「いや、口紅とコロンはおそらく取引先のバカ娘のものだろう。俺を誘惑しようとしてやがったからな。コケルふりして抱きついてきやがったんだ。思いっきり、突き飛ばして本当にコカしてやったけど」

おいおい・・・

「写真は?」

二人もやっと笑いが止まったようで、会話に参加してきたが・・・目は笑ってる。

椛も興味心身という感じで親父の答えを待っている。

「あれはそのバカ娘が仕組んだんだ!!ホテルで会っていたのは事実だが、向こうの親父も一緒で仕事がらみだったんだ!それに変なホテルじゃねぇぞ」

・・・そんなバカな罠に親父がはまったのか?

「司、それってその親父もグルなのか?」

「いや、娘の独断みたいだな。俺が怒って取引停止を申し渡したら慌てて娘に連絡をとって怒鳴ってたぞ。平謝りしてたが俺は許すつもりはねぇ」

「・・・なぁ、その娘っていったい何が目当てだったんだ?お前と牧野がおしどり夫婦って寒い呼び名で呼ばれているのは有名だよな。」

もう二人も笑っていなかった。怪訝な顔をして考えている。

「知るか!それに知りたくもねぇ。」

「・・・もしかして親父を奪えるって思ってたとか?世間の人っておしどり夫婦って呼んでるけど実情は知らないからなぁ。ただ『親父が』お袋にベタ惚れで他の女は目に入らないって気がついてない奴多いからな」

俺は『親父が』ということを強調して言った。

「つくしだって俺にベタ惚れだ!」

「お袋が親父に惚れてるのはわかるけど、ベタ惚れまでいくかな?」

「あ、そうだよね。惚れてるのは間違いないけど、お父さんほどじゃないよね」

椛も同調してうなずく。またあの二人は笑いがこみ上げてきたようだ。

「女って牧野の素晴らしさがわからないんだよね。それに司とは出身も含めて違うからさ、牧野に司はもったいないって思うみたいだね。本当は逆なのに。司に牧野はもったいない」

類さんは真剣だから怖い・・・この人は親父を怒らせるのが趣味だよな。

「学校の奴の親が言ってたんだけどさ、親父にはもっと家柄の良い美女がお似合いですのに~だってさ。世間ってホントわかってねぇよな。親父はお袋がいないとただのヘタレ中年親父だってのに」

「だ、誰がヘタレ中年だ!?」

親父の青筋がさらにひどくなる。ちょっと調子に乗りすぎたか?

「そうなんだよね。確かにお父さんの周りに美女は多いけど、お母さん以外目に入ってないし、そばにいないと暗くって近寄りたくない。高天が生まれるときなんて最悪だったもんね」

なぜか親父の浮気問題が親父のコキオロシ大会へと変化。おや??

親父のコメカミがピクピク・・・椛、やばいぞ。

「その通り!牧野がいてこその道明寺司なんだってことに誰も気がつかない。」

総おじさんが言った。ま、実際に椛の言うとおりなんだが・・・。

世界レベルの大実業家の裏側がそれって・・・ちょっと情けないか?

俺的には人間味あふれる感じで好きだけど、そんな親父の内面を知る奴は少ない。

「それにしても、牧野は今回に限ってどうして騒いでるの?」

類おじさんがまた会話に入ってきて、話がもとに戻る・・・

「だって司がそんな目にあうのって日常茶飯事だよね。今回に限って浮気だって怒ってるのはなんで?」

そういえばそうだな・・・。お袋も嫉妬はするみたいだけど

親父のことは信じてるみたいだから・・・いつもなら・・・

『どこでつけられたの!?』くらいの問い詰めとちょっとの八つ当たりですむんだけど。

今回は拗ねまくり。親父がもう一人いるかのような嫉妬っぷり。

「わかんねぇ。写真も誤解ってわかってるはずなんだけど機嫌がなおらねぇ」

「・・・牧野って今日は来るの?」

「もうすぐ来るぞ。お袋が『みっともない!』とか言って迎えに行った。あいつはお袋にはあんまり逆らわないから・・・来るだろ」




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ノックの音が聞こえる。

お袋が来たのか?

マスターキーで入ってきたのは祖母ちゃんだ。

「あ、お祖母様」

「榊、椛、久しぶりね。元気だった?」

「はい・・・」

「あなたたちも子供のような両親をもって大変ね。かわいそうに」

「だ、誰が子供だ!!」

「子供に夫婦喧嘩で心配をかけるような親は子供以下です!つくしさん、さっさと入りなさい!!」

ドアの影に隠れていたお袋が渋々と顔をだす・・・

「「「牧野、ひさしぶり」」」

「西門さん、美作さん、類・・・今日はごめんなさい。」

お袋はF3に視線を向けて親父を見ない。親父の青筋が・・・

「まったく!情けない親だこと。榊、椛、今日はあなたたちが主役です。さっさとパーティーに戻りなさい。お祖父様も待ってますよ」

祖母ちゃんの有無を言わせぬ語り口に渋々俺と椛は部屋を後にする。

話合いを聞きたいんだけど。椛もそう思っているのは明白だ。

チラチラと二人を盗み見つつゆっくりと部屋をでていく。

「類さんは・・・こないの?」

類おじさんはニッコリして椛の質問に答えた。

「あとでね。」

ようするにF3の面々はこの夫婦喧嘩の結果を知りたいと・・・部屋に残るわけだ。

親父たちにたとえ出て行けといわれようと出て行かないんだろうな。




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パーティに戻るとすぐに桜子さんと滋さんがやって来た。(桜子さんにへばりついた高天も一緒に)

「何やってたの~?F3も司もつくしもみんないないんだもん。」

「・・・えっと、部屋で・・・」

祖母ちゃんは俺らをパーティに戻すとさっさとどこかへ消えた。

たぶん両親が不在なので接待しに行ったんだろう。

「司が浮き輪したって高天ちゃんに聞いたけど?」

「はあ、そうなんですよ」

「浮き輪したの?わはははは、司って変~」

え?滋さんってば本気?まさか親父がマジで浮き輪したと思ってる?

「滋さん・・・5歳児の言葉をまともにとってどうするんですか?」

「お父さんが浮気してるかもって話しなの」

げ、椛!いきなりかよ。

「「司(道明寺さん)が浮気!?」」

「ありえませんよ・・・」

「うん、ありえないね」

やっぱりみんな同じ反応なんだな・・・よかったな親父、友達には信用されてるぞ・・・

「私たちもみんなのとこに行きます?」

「あ、親父たち話し合いの最中ですよ。俺ら追い出されたんです」

「話しあい・・・って先輩と道明寺さんが?それもありえませんね。あの二人なら話し合いイコール言い合いです」

長いお付き合いだけあってうちの両親をよく知っていらっしゃる・・・

「見学に行こうよ!!」

滋さん・・・見学って・・・

「私たちも連れてって!こっそり見たい。どこで見るの?」

椛がいきなり興奮口調。そんなに親父たちの話し合いに興味があるのか?

「・・・わかんない」

滋さん・・・考えてからモノを言いましょうよ




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「つくし、俺は浮気なんてしてないからな!」

「じゃ、あの写真なに!?あの口紅は?あの香水は誰のなの?」

「だから、あれはバカ女が勝手に抱きついてきやがってついたんだって言ってるだろ!写真だってそいつの嫌がらせだ。すでにあのクソ女にはそれなりの処置をした!」

「・・・それなりの処置ってなに??」

「ま、父親は知らなかったみたいだから・・・しばらく取引停止にしといた。うちと取引できないのは痛いだろうから、親父からこっぴどく叱られるだろ。甘やかされたバカ女にはいい薬だ」

部屋に残って静かに二人の喧嘩を見るF3の存在を完全に忘れている。

話し合い=言い合いはまだ続く。

「その・・・彼女はいったい何がしたいわけ?」

「知るか!」

「司が手に入るって思うからこそ、そういう嫌がらせをするんでしょ。ってことは司がそういう態度をしてるからってことでしょ!」

「・・・何言ってるんだ?」

「つまり肉体的に浮気してなくても精神的に浮気してるのよね」

「は?お前・・・言ってることわかってるか?」

F3もきょとんとしている。牧野はいったい何が言いたいのか・・・

「・・・だから、司が彼女にそういう・・・なんていうの?勘違いするような態度をしたんでしょ」

「はああ?ホントにお前大丈夫か?俺がそんな曖昧な態度するわけないだろ」

「あのさ」

いままでただ聞いていたF3。花沢類が急に会話に割り込んできた。

そこで初めてこの夫婦はF3の存在を思い出したようだ。

驚いた目で三人を見つめている。

「俺、気がついたんだけど、牧野ってつまり嫉妬してるんだよね」

「・・・してない!」

司が一瞬きょとんとしたが、すぐに笑みがこぼれた。

「そうなのか?」

「違う」

「あのさ、もしかしたらだけど、普通嫉妬しても牧野って素直に感情に出さないよね。うちに秘めて一人で耐えるでしょ。でも今回はこうやって表に感情丸出し。」

「嫉妬なんてしてない!」

「俺、15年ほど前にもこういう牧野を見たけど」

花沢類がそういうとF2もハッとした。

「「ああ、そういうことか」」

総二郎とあきらがお互いの顔を見て、したり顔でうなづく。

訳がわからないのは司とつくし。

「5年、いや6年前はそうでもなかったけど・・・15年前は凄かったよね。感情の起伏が」

類がそういってもこの夫婦にはピンとこないようだ。

つくしだけが鈍感と思っていたがどうやら司も・・・鈍い。

「お前ら・・・まだわからないのか?っていうか牧野、お前もしかしたらとか考えないのか?」

総二郎の問いに首をひねるつくし。

「何が?」

「お前ら何を言ってるんだ?」

司も全然わかっていない。

「15年前と6年前に何があったか考えろよ・・・」

おもいっきり呆れ顔のあきら。頭をかかえている。

「15年前と6年前?私ってまだ18だったよね。それに27歳?」

総二郎とあきらが力強くうなづく。

司とつくしは顔を見合わせてしばらく考えていたが・・・

「「あ・・・!!」」

二人してやっと思い当たることがあったようだ。

「お、お前・・・そうなのか?」

「そういえば・・・ここ2ヶ月・・・」

「そうなんじゃないの?」

類ののんきな声。

「いつもなら牧野ってこんなことで怒らないし、いつものことだって感じで流してるよね。イラついてるのはそれが原因でしょ」

二人は何も答えずに見つめ合っていた。



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「おじさん!」

パーティに現れたF3を見て俺らは駆け寄った。

「何だったの?解決した?」

「「「ぷっ!!」」」

三人は一斉に吹き出し、大笑いをはじめた。

なんだ?何があったんだ?

「あいつら、サイコ―!!!」

「もったいぶらずに教えてくださいよ」

桜子さんがイライラと足を踏み鳴らしながら聞いている。

俺も興味津々。椛も何も言わないが耳がダンボだ・・・

興味がないのは高天だけだろう。

滋さんは完全にF3に詰め寄っている。

「ははは、類がさ、気がついたんだけど、牧野って本当に超鈍感。お前らの時もそうだったよな」

俺らの時??なんだそれ。

「なになに?はやく教えなさいよ!」

滋さんはあきらおじさんの胸倉をつかんで揺さぶっている。

「ほぼそうだと思うけど・・・牧野がイラついてる原因は司の浮気疑惑じゃなくて・・・妊娠してんだよ!!」

「「「「妊娠!?」」」」

高天以外、俺らは声を揃えてしまった。

「そ、お前らの時もあんな感じだった。違うのはお前らの場合は初めてだったからさ、それに結婚より先にできただろ。あそこまで感情を出したのは司と結婚してからだよな」

そう、親父とお袋はできちゃった結婚というヤツだ。

俺たちができたから結婚した。というか親父がいうには俺らのおかげで2年はやく結婚できたらしい。

なんだ、それ?

それにしても・・・お袋が妊娠??

「で?親父とお袋はどうしてるわけ?」

「・・・さっそく医者に見せるって司が主治医をムリヤリ呼んでたぞ」

「また弟か妹ができるってこと?」

椛が嫌そうな顔をして聞いた。って嫌なのか?

「椛はいやなの?」

類おじさんが笑顔で聞く。

「う~ん、15歳離れてしまうからね・・・ちょっと恥ずかしい。でも嫌っていうか・・・男だったら嫌だなって思っただけ。」

「つまり、椛は妹がほしいわけだ」

「ま、妹ならかわいいかも」

そういいながら高天を見ている。

「・・・僕は優しいお姉さんがほしい。お母さんに優しいお姉さんを産んでもらう」

高天がそういうと椛がニヤリとした。

「ば~か、あんたより年上の子が今から生まれるわけないでしょ!つまり優しいお姉さんは永遠に私一人ってことよ!」




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誕生パーティも終盤に差し掛かったころ、親父とお袋がやってきた。

わ、手をつないでるぞ!!

気持ち悪い・・・・

二人とも顔がにやけている。

親父が壇上に上がり、お袋も来るように手を引っ張る。

「皆さん、ここで発表があります」

マイクを手にとり、親父が話しだす。

お客は何事かと注目している。

「実は、先ほどわかったのですが・・・私たちにまた子供ができました。」

この発表にお袋は顔を真っ赤にして俯いている。

つまり・・・やっぱり妊娠していたわけだ。

イライラの原因は本当に妊娠ってことか~!?

この少子化の時代に4人目の子供とは親父たちって凄い。

ま、34歳と33歳だからまだアリだけど

今の医学だと40越えても楽に産めるし

この間、60に近いおばさんが産んだって新聞に載ってたな・・・

っていうかそのおばさん、まだ生理あってたんだな。

それだと、うちのお袋はあと何人子供産むんだろう?

あと20年は産めるってことだろ・・・

俺の頭の中に「ギネスに挑戦」という言葉が浮かんだ。

やめてくれ~!!10人兄弟とかの大家族にはなりたくねぇぞ。

俺がそんなことを考えて一人で慌てふためいていると周りから歓声があがった。

歓声というか嬌声???

その直後に「うっ」という謎の声

壇上を見ると・・・お袋が親父の腹にパンチをくりだしていた。

おそらく、壇上でキスでもしたのだろう。

これも・・・道明寺家では日常的な風景だ。

椛が俺の横で呆れたように頭をふり、高天は桜子さんの横で笑っている。

俺はといえば、ため息をつくばかり。

どうしてこう俺の家には変人が多いのだろう。

両親、兄弟を含め、祖父母も・・・。



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結局、浮気騒動はなんだったんだ?

妊娠がわかったとたんに浮気騒動は治まった。

というか、お袋も別に親父が本当に浮気したなんて思ってなかったようだ。

ただイライラして八つ当たりの相手?というか感情の捌け口が必要だっただけ。

それが親父の浮気騒動となり、使用人たちも含め大変な思いをさせられたわけだ。

なんて人騒がせで迷惑なヤツらだ!

お袋の妊娠発覚後、親父は仕事にさっさと行け!といいたくなるほど家にいる。

秘書の人がいつも迎えにくるのだが・・・「今日は休みだ!」なんてバカはことを言って追い返そうとする。

ま、そこでお袋の鉄拳が飛び、結局はモタモタと仕事にでかける。

仕事が終わるとジェット機でも飛ばしたか?と聞きたくなるほど速攻で帰宅。

いや、マジで飛ばしているかもしれない・・・

親父の愛情(過多)に守られ、お袋の妊婦生活は安泰。

俺らでさえ、お袋には近づけないような状態。

いつでも親父がそばに陣取っているからな、居場所がない。

別にお袋にベタベタする年齢でもないし、それはOKだけど

高天は少し嫉妬中。あれが猛獣化するのも時間の問題だ。

親父は果たして気がついているのか?

ま、生まれてしまえば・・・どうなるんだ!?

どうして、子供の俺がこんな心配しているんだろう。

これも両親が変人だからだな・・・

常識のある人間、つまり俺が道明寺家を非常識から護っているのかも?

っていうのは大袈裟か。

でも誰か、こいつらに一般常識ってモンを教えてほしいぞ。



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俺たちの誕生日から半年が過ぎた頃、お袋が産気づいた。

産院について1時間で生まれるという速攻の超安産で

次女:楸(ひさぎ)が誕生した。

楸(ひさぎ)=ヒサカキの別名。榊のかわりに神事に用いられる樹木。

つまり、ついに娘も神頼みなのか!?

椛は妹の誕生に大喜び。不機嫌だった高天も初めて年下の兄妹ができて大喜び。

俺も・・・大喜び?なのかな。



fin




※・・・だから何?これって。
 雑誌とかで目についた言葉をタイトルにつけて
 勝手に話を書き出した結果、タイトルと内容があってない。
 だからタイトルも結果的にかわるし。
 それでいいのか?

 ああ、なんて中身のない内容なんでしょう。

 とりあえず、わけのわからないまま終わり。


 同じ内容無しなら、【R】的なモノの方が書きやすいのはなぜ!?



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