颯HAYATE★我儘のべる

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楸の内心・憂鬱・抵抗




私にはお兄ちゃんが2人とお姉ちゃんが1人いる。

私はまだ生まれて5ヶ月だから、人間の言葉はしゃべれない。

だけど意味は理解できるんだ。

だから、みんなの会話を聞いているんだけど・・・

最近、思うんだ。

言葉にしないと伝わらないことって多いなって。

お父さんはお仕事っていうのから帰ってきたら、お母さんを抱っこする。

毎日する。抱っこされるのは私だけだと思ってたのにな~。

私はミルクを飲みながら、じっとお父さんを見ていた。

そうしたら、お父さんが緩みきった顔で近づいてきた。

「ひさぎちゃ~ん・・・お父さんですよ~」

・・・おかえり・・・お父さん、気持ち悪い。

お父さんがお母さんにするみたいに私にチュッとしようとする。

うわぁ、唾がついちゃうよ。やだやだ。

顔を振ってみたけど、お父さんはやめない。

泣いてみようかな。

「ああああああああ~ん!!!!」

とりあえず、嫌だという意思表明に泣いてみた。

するとお父さんに抱っこされてしまった。

「楸、泣くなよ~。お父さんがいなくて寂しかったか?よし、特別にもう一回キスしてやろうな~」

え?うそでしょ。

イヤイヤイヤ・・・・

顔をしかめて、思いっきり頭を振った。

「ご機嫌が悪いですね~」

お父さんがチュウするからでしょ!

ミルク飲んでいたのにぃ。

お食事の邪魔しないで!

お父さんは抱きながら、私を揺さぶった。

ミルク吐いちゃう~・・・

ヤダヤダヤダ・・・

「だあぁぁぁぁぁ・・・」

ゆすり続けるお父さんの高価そうなスーツの上にミルクを吐き出した。

もおぉぉぅ!!お父さんのせいで吐いちゃった。

お食事中はほっといてほしいわ!

まったく!!!!!

チュウも顔にはしないで!生暖かくてイヤなの!!

はやく人間の言葉をしゃべれるようにならなくっちゃ。



FIN



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●今日も憂鬱●


楸です。まだ5ヶ月です。

前にも言ったけど、まだ人間の言葉がしゃべれないの。

でも聞いて理解はできるんだよ。私って天才。

今日はお父さんが早く帰ってきた。

「ひさぎちゃ~ん・・・パパですよ~」

そう言って、チュウってしようとするの。

泣いたり、喚いたりして抵抗するんだけど

お父さんって、すっごく鈍感だから全然わかってくれない。

イヤイヤってしてるのに、喜んでいるって思うの。

いっつも自分に都合がいいように思っちゃう。

お父さんって幸せなんだな~

どうしたらわかってもらえるのかな?

チュウはいやなの!!!

ほっぺたがジメってするの。

顔中がお父さんの唾だらけって気がするの。

だからヤー!!!!って激しく暴れるんだけどな。

「泣かない、泣かない。ほら、お父さんはここにいるよ~、もう寂しくないだろう~?」

この家はお母さん、お兄ちゃん2人とお姉ちゃん、それに使用人がたくさん。

こんなに人間が多いんだもん、寂しがってる暇はないよ。

かわるがわる誰かが私を見にくるんだから。

いっつもゆっくり寝られないの。

赤ちゃんは寝るのがお仕事だってタマちゃんが言ってたのにな。

だ~れも、私を寝させてくれない。

お母さんのおっぱいを飲んだら、ちょっと眠くなっちゃう。

だから寝るでしょ?そしたら、高天兄ちゃんが来て

「楸、起きてる?」

寝てるよ・・・

チョンチョンと指先で頬をつつかれる。

だから、ううう~って言うの。

「あ、起きてた。」

そう言って喜んじゃって抱っこするの。

でも抱き方がすっごく下手だから疲れちゃう。

それが終わったら今度は椛お姉ちゃんが来る。

「楸、寝なさいね~」

寝てるのをムリヤリ起こされたんだよ?

「お姉ちゃんがご本を読んであげるね」

そう言ってありがた迷惑な本を読んでいく。

全然寝られない・・・

目を閉じているとやっと椛お姉ちゃんがでていくでしょ。

すると次は榊お兄ちゃんが来る。

「ひさぎ、今日も聞いてくれるか?」

榊お兄ちゃんは私が寝てると思って、いっつも独り言を言っていく。

それも道明寺財閥に生まれての苦悩っていうの?

私にそんなこと言われてもね・・・

榊お兄ちゃんが消えてやっと眠れると思ったら・・・

「楸、ミルクの時間ですよ~」

・・・・お母さんがやって来た。


FIN



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●楸の抵抗●


ずっと言っているけど、まだ5ヶ月だから人間の言葉はしゃべれない。

でも、聞いて理解はできる。私って天才なの。

最近、初めての人を殴ったの。

お父さんがね、ずっとイヤイヤってしてるのに

キスをしようとするから・・・

どうしたらいいのかなってず~っと考えてた。

泣いてもダメ、暴れてもダメ。

それなら、どうする??

私ね、お父さんにお母さんの方が好きって思ってもらおうと思ったの。

だから、お母さんに抱かれるといつもニッコリしてた。

お父さんに抱かれるといつも泣き喚いていたの。

そしたら、近くに来ないかなって思って。

でもね・・・計算ミス。天才のはずなのに・・・

お父さんって超鈍感、お母さんも超鈍感。

二人は似たもの夫婦だった。

「あら、楸~お父さんの顔忘れちゃったのかな?」

お母さんはそう言って、お父さんに私を渡した。

「もっといっぱい抱っこしてもらって可愛がってもらおうね。

お父さんのこと忘れないように、い~っぱい抱っこしてもらおうね~」

・・・お父さんのことは大好き、だけど・・・違う!!

忘れてないし。抱っこはいいけど、キスがイヤなの。

「お父さんは悲しいぞ。楸~、お父さん仕事が忙しくて、お前の相手ができないからな~。

ほら、今日はずっとお父さんが抱っこしてやるぞ。キスもい~っぱいしてやるからな~。」

げげげ、嘘でしょう? 私の計画が裏目に・・・

キスはイヤイヤイヤイヤ・・・激しく頭を振って泣いてみた。

「うわああああああん」

結局いつもと同じ抵抗、情けないな~。

「ねえ、楸ってもしかして・・・キスが嫌いなんじゃないの?」

・・・うそ!わかってもらえたの? 榊お兄ちゃん、ナイスです。

満面の笑みと拍手で同意した。そうなの、そうなのよ~。

「はあ?俺のキスを嫌がるヤツなんているわけねぇだろ。

楸はすっげ~喜んでるぞ。絶対、そうに決まっている!!!」

喜んでない、喜んでない!

「でも・・・楸が激しく泣いたり、暴れたりするのって、

いっつも親父がキスしようとしたときだし。

最近はキスって言葉がわかってるんじゃない?

その言葉を聞いただけで不機嫌になっている気がするけどな」

そう、そのとおりなの。榊お兄ちゃんだけなのね!?わかってくれるのは。

「俺のキスが嫌なヤツなんて、絶対にありえねぇ!!!そんなヤツはこの世にいねぇ!」

いや、ありえるから!

「あんた・・・誰を基準にしてその言葉を口にしてるの? 私以外に誰とキスしてるわけ?」

黙って聞いていたお母さんが不機嫌な顔になってる。

あれ?嫉妬かな、お父さんの言葉に意味なんて絶対にないのに。

それはわかっているはずなのに、お母さんってば・・・

「何言ってるんだ!俺がお前以外の女とキスするわけねぇだろ!」

・・・私にしてるじゃん。

このあと、くだらないキスのことでお父さんとお母さんはケンカしていた。

そんなことより、私が嫌がっているってことのほうが大事じゃないの?

・・・ふう、うちの親って子供だよね。


 FIN





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