颯HAYATE★我儘のべる

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榊: 罰



まさか、合格するとは思わなかった。 ほんの力試しのつもりだったのに・・・

現在の英徳高校には「特別奨学生」という制度がある。うちの両親とその親友が作ったものだ。

制度に申し込み、受験成績が5位以内に入っていれば合格。

学費と英徳で学業にかかる費用のすべてが免除されるのだが、条件はある。

つねに成績は学年5位以内が条件、そして将来は出資者の企業に就職するというもの。

つまり、将来の幹部社員を育成しているようなものだ。実際に去年の「特別奨学生」は
道明寺財閥の系列会社に入社した。

F4がお金をだし、自分たちの企業に優秀な人材を入れているわけだ。

受験資格に規定はなく、金持ちだろうが貧乏人だろうが受けることはできる。

俺は力試しのつもりで申し込み受験した。

その結果・・・合格してしまった。 つまり受験成績がトップだったために今年の「特別奨学生」になった。

俺は辞退するつもりだったが、事実をしった母親に怒鳴られ、この制度を受けることになった。

「榊!! あんた・・・特別奨学生制度を受験したわね?」

「え?・・・ああ、力試しに・・・」

母親の怒りの形相を見ながら、俺は恐る恐る答えた。

「おめでとう!! 合格したわよ!」

え?うそ・・・ 俺ってさすが!――――なんて一瞬、自己満足に浸った。

「あんたね、何考えてるの? 奨学制度なんて利用しなくても、最高の教育を受けられる奴がこの制度を受験してどうするのよ!!」

「・・・合格したら、辞退するつもりだったし」

これは失言だった。お袋の顔はもっと怒りで真っ赤になってしまった。

「辞退? 辞退してどうするの?」

「え? 俺の次に優秀な奴を合格にすればいいじゃん」

「あんたって子は・・・私は躾を間違ったようね!!あんたみたいな子をもって恥ずかしいわ!」

俺にはお袋の怒りの原因が全然わからなかった。

「あんたが合格したことは誰もが知っているわ。 そのアンタが辞退し、次点の人が奨学生になる。

その人は在学中、ずっと次点の奨学生という目で見られる。その上、奨学生制度に合格したアンタが同級生にいる。

こんな嫌なことってないわよね。 アンタの辞退のおかげで奨学生になった・・・

アンタなら、そういうふうに見られることに耐えられるの?」

お袋の言葉に自分が恥ずかしくなった。 確かに俺はそこまで考えていなかった。

「この制度を受験する人の殆どが、英徳に来たくても学費が高いために諦める人たちばかりよ。

つまり、アンタの辞退で合格ということになれば、アンタに借りができるわ。

そして憐れみのおかげで合格したって気分になるんじゃないの?

アンタはそんなこともわからない愚か者だったのね! まったく、情けない!!」

俺はどうしようもなかった。恥ずかしさで真っ赤になりながら、うなだれるしかなかった。

「じゃあ、俺は・・・永林に行くから・・・」

「はあ?? それで解決すると思ってるの!? 永林に行くなんて司が許すと思う?

それに、永林にだって試験はあります。 その試験はもう終了しているのよ。

どうするの? 司に言って、金の力にものをいわせて入学しますか!?」

つくしは自分でも厳しすぎることを言っているとわかっていた。

でも、榊にわかってほしかった。 自分たちと違い、お金がなくて高校や大学に行くのが大変な人たちがいるということを。

どんなに高校に行きたいと思っても、どうしようもない人たちがいるということを。

そして、自分がどんなに恵まれた環境にいるのかということを知ってほしかった。

「じゃあ、どうすればいい? お袋のいうとおり、考えが浅かったよ。」

項垂れた息子の顔を見て、後悔と反省の色を見た。つくしは考えるふりをして・・・言った。

「今年の奨学生制度の枠を一つ広げます。アンタの他にもう一人、合格にするしかないわね。

理由は・・・そうね、変な話だけど・・・今年、校舎を一部新築したことを記念してってことにしましょう。

ま、なんとかなるでしょう。 それで、アンタのお仕置きだけど。」

高校生になる息子にお仕置きってことはないだろうと思ったが、この母親ならするだろう。

小さい頃、何度もお尻を叩かれたことを思い出した。 まさか・・・

「アンタは特別奨学生として英徳に通ってもらいます」

え? それが罰なの? 俺はホッとした。 しかし、お袋の次の言葉を聞いて、この罰が大変なことに気がついた。

「道明寺財閥の御曹司が奨学生制度で高校に通う・・・それも三年間。

成績は常に5位以内にないと奨学金は打ち切りよ、そしてそれは在学生に知られることになる。

とっても恥ずかしいわよね?? 榊、アンタが自分の意思でこの制度を受験し、合格したのよ。

三年間、頑張ってもらいましょうかね?」

そうだ、俺は三年間も奨学生であり続けなければならない。

日本一裕福な家の息子が学費免除で高校に通う・・・そして三年間、常に好成績をキープしなくてはならない。

俺は真っ青になった。 でも、このときは親父が反対するに違いないという希望も心の奥底にあった。

しかし、俺は忘れていた。たとえ反対しても・・・親父は最終的にお袋のいいなりだ。

そんなわけで俺は・・・学費免除で奨学生として英徳高校に通っている。

でも、学費払ってるだろ? とも思っている。

だって、うちの両親とF3がこの制度に投資してるわけだし。

これを言うと、お袋の怒りは更にヒートアップするだろうし、

結局のところ、両親が全額出しているわけでもない。

もしかしたら、俺の学費はF3が出していて、もう一人を両親が払っているかもしれない。

あのお袋なら、それぐらいはするだろうし・・・

後悔と反省はしているのだが、俺は三年間この罰を受け続ける。

一般学生の椛と一緒に英徳に通いつづけるわけだ―――――

FIN






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