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颯HAYATE★我儘のべる
雨が止まない 2
日付は1週間後、急な話だった。でも俺は絶対に出席するつもりだった。
俺は司と滋を訪ねる決意をした。総二郎とあきらも同じ気持ちだったらしく連絡をすると一緒に行くという。
最近ではあまり連絡をとっていなかった三条からも連絡があった。
牧野は三条にも招待状を送っていたようだ。彼女も道明寺邸に一緒に行くと言った。
次の日、俺たち4人は朝から道明寺邸を訪ねた。
「・・・久しぶりだね、もう2年くらい会ってないよね。」
でてきたのは司ではなく滋だった。
「ああ、お前らの結婚式にもでなくて悪かったよ。」
「いいのよ。理由はわかってるから。」
「滋さん・・・道明寺さんは?」
桜子が会話に割り込み、滋を制した。目は滋を睨みつけている。
桜子は牧野を尊敬していたし、慕っていた。
司と結婚するのは牧野だと思っていたから、自分も司を好きだったが身を引いたのだ。
それが滋と結婚した。 滋が牧野を裏切った。 桜子にとっては怒りしかないのだろう。
「いるけど、何の用なの? 彼、仕事が忙しいの」
「・・・大事な用があるんです。 道明寺さんを呼んでください。」
「私にはいえないことなの?」
「いいえ。滋さんにも聞いてもらっていいです。 というか、聞いてください。
でも、道明寺さんにも聞いてもらいます。さっさと呼んでください。」
「桜子・・・あんたの怒りはわかるけど、その態度はいけないと思うよ」
俺たちは滋の言葉に固まった。 何様のつもりなんだろう。
「滋、俺たちは親友として会いに来たが、親友としてがダメなら会社社長として会いたい。
道明寺社長を呼んでもらえるか? 早急にだ。 その場合、お前は席をはずすことになる。
会社に何も関係ない人間に仕事の話をするつもりはないんでね。」
あきらの言葉はとても冷たい。 人のことを思いやるあきらの言葉とは思えない。
当然、仕事の話をしにきたのではないが、そうでも言わないと滋は司を呼びそうもない。
滋は俺たちに会って、もしも司の記憶が戻ったら・・・と不安なのだろう。
何がきっかけとなって突然記憶が戻るかわからないのだから。
でも、俺たちは司に話さなくてはならない。 みんなが後悔しないためにも。
司が苛立ったような顔で俺たちの前に顔をだした。
「久しぶりだな。 殆ど顔を見せなかったのに何事だ?」
「大事な用ができたんだよ。」
「・・・忙しいんだ、何だよ。」
「まずは座れよ、お前の家だけどな。 司も滋も座って落ち着け。」
二人が腰掛けると、あきらが俺たちを見渡して俺が話していいのかと目で訴えてきた。
俺たちはお互いを見て、頷きあった。 この場で話す適当な人物はあきらしかいないだろう。
「・・・司、牧野が結婚する」
「牧野?」
「お前が入院していたとき何度もあっているだろう? それに野球ボールの女だよ」
「ああ、類の女だな。 あの失礼なヤツ。 他人にボールをぶつけて逃げるとはな」
司はそう言って類を睨み付けた。 類は大きなため息をついた。
「司、まだそんなこと言ってるの? 牧野は俺の彼女じゃないよ。」
「・・・どうでもいいさ、あんな女。 で、あの女が結婚するのが俺に何の関係がある?」
「まだ全然思い出せないんだな」
「・・・ああ」
「そうか、じゃあ仕方がないな。 牧野が結婚するって聞いたら少しはって期待したんだが。
だが、こうなったら仕方ない。 牧野だって幸せになる権利はあるからな。
司、俺たちはお前にきちんと伝えたからな。 それだけはどんなことがあっても忘れるなよ。」
司は訳がわからず、さらに苛立った。 こいつらはいったい何が言いたいんだ?
滋はただ黙って俯いていた。 握り締めた指が震えている。
「道明寺さん、滋さん、二人とも後悔しないでくださいね。」
桜子は辛らつに言い放った、二人と睨みつけながら。
「・・・後悔? なんで私が?」
少し不安な面持ちで、でもしっかりとした視線で滋は切り替えした。
「司の記憶はいずれ戻る。明日かもしれないし、何十年かたったあとかもしれない。
でも、一生忘れたままではないだろうな。 その時に二人とも後悔するだろう。
司は失ったもののために、滋は・・・裏切りと良心のためにね。」
「お前らの言うことは全然意味がわからない。用はそれだけか?
それなら、もう帰ってくれ。 俺は忙しいんだ、そんな女が結婚するからって報告をわざわざ聞く暇はない。」
俺たちはもう何も言うことはなかった。 伝えるべきことは伝えた。
席をたち、部屋を後にした。 玄関まで、滋が見送りについてきた。
「滋、記憶が戻ったとき・・・司はお前を責めると思うぞ。」
「記憶が戻らないのは私のせいじゃない。 つくしが司の記憶を戻すために今も努力しているなら私だって・・・。
でも、つくしは司を見捨てたじゃない? それなら私が司を手に入れてもいいでしょう?
何が悪いの? なぜ私を責めるの? 私だって司を愛しているのよ。」
「愛しているのはわかってますよ。 でも滋さん、道明寺さんが愛しているのは先輩です。滋さんじゃない。
今だって滋さんを愛しているわけじゃないでしょう? それで幸せになれるんですか?
それに滋さんは今回のことで・・・友人を失いました。 それはわかっていますよね?」
桜子は自分を友達と思うなと言っている。 俺たちも同じ気持ちだった。
滋の気持ちもわからないでもない、だが牧野の気持ちはもっとわかる。
奪いたい気持ちになるのはわかるが、それを親友のために堪えて抑えるのが大事なことだ。
滋は何もわかっていない、その場の衝動で行動している。
今はいいが・・・将来は悲惨だろう。
「あなたたちを失っても得たいものがあるの。 それが司だったのよ。
それに、司と私はもう結婚しているの。 今更つくしのことを言われても迷惑よ。
その結婚でつくしが幸せになれるなら、お互いに良いことじゃないの?
私は司の記憶が永遠に戻らないほうに賭けたの。 それに戻らないように私が努力する。」
もう滋に何を言っても無駄だろう。 牧野が結婚するまえに司の記憶が戻ればまだ間に合う、そう思ったが・・・
司は間に合わないだろう。
颯介とつくしの結婚式は大財閥の御曹司の結婚にしては質素に執り行われた。
招待されたのはF3と桜子、それにお互いの両親、兄弟、そして鷹野の親戚を数人と颯介の友人が数人。
身内だけの質素な式を小さな教会で挙げた。 披露宴はなし。
式に出席した者全員で、鷹野が経営するホテル内のレストランで食事をした。
それが披露宴の代わりという本当に倹しい結婚式だった。
「牧野、おめでとう。 後悔はしないね?」
類はつくしに近づいて、静かな口調で言った。
「考えて決めたことだから。 道明寺のことを完全に忘れるのは無理だろうけど、
颯介さんはそれでもいいって言ってくれてるの。 学生時代の恋愛は思い出だって。
忘れる必要はない、良い思い出に変えろって言ってくれたの。」
彼女はそういって笑顔になった。 類は彼女が司のことを少しずつ乗り越えていっていることがわかった。
二人の結婚は、式の翌日に新聞に大きく報道された。
『鷹野財閥御曹司、鷹野颯介氏 結婚!! お相手は一般人。』
マスコミは相手が道明寺司と噂のあった女性だとつかんでいたが、
二人の結婚の情報をつかんだ道明寺と鷹野の2大財閥から圧力をかけられて、その内容の報道は一切されなかった。
彼女の顔写真が載ることさえなく、名前も公開されなかった。
いずれは表舞台にでなくてはならないだろうが、まだつくしにはそれだけの覚悟はできていなかった。
二人は翌日、その新聞が掲載された日に新婚旅行に飛び立った。
行き先はつくしの希望を聞いてハワイだった。
目が覚めるとベッドから落ちていた。 こんなことは小学生のとき以来だ。
どういう落ち方をしたのかはわからないが、頭と腰をしたたかに打ったらしい。
何か、夢を見ていた気がする。 覚えていないが・・・悪夢を。
ああ、痛くてたまらない。 それなのに朝まで目が覚めなかったとは、自分でも驚きだ。
痛む頭をさすりながら立ち上がると、何かが頭にひらめいた。
妻・・・そうだ、俺って結婚したんだっけ?
妻となった女とは寝室を別にしている。 気が向いたら一緒に寝る、そんな夫婦関係だ。
おぼろげに浮かんでくる結婚式のイメージ。 盛大な結婚式・・・
不機嫌な顔の俺の横で幸せそうに笑っているのは誰だ?
頭が痛い、痛くてたまらない。 でも思い出さなくてはいけない、そんな気がした。
誰かが泣いている。 俺の名を呼びながら泣いている。 誰だ?
思い出せない妻の顔と、泣いている女の顔。
それは突然だった。 まるでフラッシュバックのように・・・頭の中に映像が浮かんできた。
滋! 俺は滋と結婚した・・・? なぜ滋と・・・
泣いているのは誰だ? 俺を必死で呼んでいる女。
責めるような類の顔、哀れむような総二郎とあきらの顔。
なぜ、そんな目で、顔で俺を見るんだ!?
突然、一つの名前が頭に浮かんだ。 『牧野』
・・・牧野!! そうだ、牧野だ。
牧野を思い出したとたんに、いろいろなことが頭に浮かんできた。
なんてことだ、俺はアイツを忘れていたのか?
あれから、どれくらいの時間が過ぎたんだ!?
俺は必死で計算していた。 そして・・・
また忘れてしまいたくなった。 現実から逃げたくなった。
5年・・・あれから5年以上が経過している。
『司、牧野が結婚する』
突然、あきらの声がした。
・・・誰が結婚するって? 俺は・・・目を閉じた。
これは夢だ、夢に違いない。
目をそっと開けてみても結局は同じ、現実は変わらない。
牧野が結婚する? 俺以外の男と。
俺は慌てて携帯を探した。 あいつらに電話をしないと・・・
誰にかけるかと考えたが、一番話しやすい気がして、あきらにかけた。
早くでろ、早く!!!!!
『はい?』
寝ぼけたような声。
「あきらか!?」
『司・・・? なんだよ、朝っぱらから。 昨日遅かったんだよな~・・・』
「・・・思い出した!! 思い出したんだ!!」
電話が切れたかと思った。 あきらの息さえ聞こえない。
「あきら?」
『・・・何を思い出したんだ?』
何を言っているんだ? 何をって・・・決まっているじゃないか!
「全部だ、全部思い出した。 牧野のことも、記憶を失ったあとのこともだ。」
『そうか。 お前が記憶が戻って興奮しているのはわかるが・・・落ち着け。
じゃあ、お前は滋と結婚していることもわかっているよな?』
かすかに責めるような口調。 仕方がない、俺は牧野を忘れて別の女と結婚してしまった。
だが、全てを訂正しなくてはならない!! こんなこと有り得ない。
「ああ、それはわかっている。 なんとか離婚する。 それで、牧野は・・・」
『・・・俺たちが1週間くらい前にお前んちに行ったの覚えてるか? その時に言ったことは覚えているか?』
覚えている・・・やはり、あれは本当に言われたのか・・・
「・・・牧野が結婚する・・・」
『そうだ。 司、遅かったよ・・・』
遅かった? 俺は愕然とした。 嘘だろう?
『牧野は結婚したよ、昨日ね。 俺たちは結婚式に出席して、そのあと飲みすぎたんだ。 だから、疲れているんだよ。
牧野は新婚旅行に行ったよ、今朝はやくね・・・。 司、思い出すのが遅すぎるんだよ!!』
俺は携帯を握りしめた。 どうして・・・こんなことになったんだ?
気分が悪い・・・
俺はうめき声を上げて、その場に座り込んだ。
『司、大丈夫か?』
あきらの声は聞こえているが、俺は何も考えられなかった。
遅すぎた? 嘘だ、信じられない・・・。
どれくらい、そうしていただろう。 気がつくと電話は切れていた。
牧野・・・
司が思い出した。 あいつも・・・なぜ今なんだ。
そう思いたくなるようなタイミングだ。
昨日、牧野が結婚した。 そして今朝・・・新婚旅行にでかけた。
その今、なぜ記憶が戻るんだ?
俺も総二郎も類も、こうなったら一生戻らない方がいいかもしれない、と昨日話していたところだった。
俺はため息をついて、携帯を握った。 類と総二郎に電話をする。
アイツらはすぐに俺の家にやってきた。
「司、本当に記憶戻ったの?」
類がいきなり本題を切り出した。
「ああ、今朝電話があった。興奮してたな。
滋と結婚してるだろうと指摘したら、すぐに離婚するって言っていたぞ。」
「司てきには、そうしたいだろうね。 気がついたら、滋と結婚していたんだから。
わけがわからないんじゃない? でも・・・少し遅かったね。」
「ああ。どうしたらいいんだろうな。 司は牧野のことを知って凄いショックを受けていた。
最後は俺が電話を切ったが、俺が牧野が昨日結婚して、今朝新婚旅行にでかけたって行ったら
何も聞こえなくなったんだ。ときたま・・・吐くようなうめき声が聞こえた。
アイツ・・・気分悪くなって吐いていたんじゃないか? ショックが強すぎたんだろう。」
あきらの声には同情が色濃く現れていた。
「それは当然だろうな。 だが、アイツは思い出すことを諦めていただろう?
俺たちは何度も滋との結婚を止めたし、牧野の結婚話を聞かせて思い出させようともした。
だけど、全然ダメだったじゃないか。 もう遅すぎるんだよ・・・」
総二郎の声には同情はない。 ただ憤りだけが感じられた。
「司のとこに行く?」
類が行った。 俺たちは・・・渋々頷いた。 俺たちは司を許せない。
記憶喪失の時の牧野に対する態度はひどいものだった。
仕方ないと思っても、牧野の傷ついた顔が頭を離れない。
だが、司は親友だ。 牧野との付き合いよりも長い。
俺たちは結局、司を見捨てることはできなかった。
俺たちが着いたとき、司はベッドに座り込み、虚ろな目で何かを見ていた。
その脇で滋が泣きじゃくっていた。
「なぜ? なぜ・・・私が悪いわけじゃない。 司が記憶喪失になったのは私のせいじゃない。
司だって私との結婚に同意したじゃない。 愛はないけどって言われたけど、それでもいいって私、言ったでしょう?」
滋は司に必死で訴えているが、司に耳には届いていないようだった。
俺たちは見るに見かねて声をかけた。
「滋、お前・・・ちょっと出ててくれないか?」
滋はやっと俺たちの存在に気がついたようだった。司は微動だにしない。
俺たちに気がついているのか、いないのか・・・
「つ、司の記憶が戻ったの・・・つくしが結婚したって知って私を責めるのよ」
俺たちは三人とも自業自得だと思っていた。 滋は同情を誘うかのように俺たちに視線を合わせ涙を流していた。
「俺たちは司との結婚を止めただろう?」
総二郎が冷めた視線を滋にぶつけた。 総二郎の言いたいことはわかっている。
「総二郎、その女はどうでもいいよ。 司の方が大事でしょ。」
類は気持ちに正直だ。 滋は自分のことしか考えずに司を手に入れた。
類もある意味では自分のことしか考えていない、と言っても自分の気持ちのことだ。
類は牧野が大事だ、だから牧野を苦しめるモノは許さない。
それが司であっても、滋であっても。
俺たちは三人とも牧野が好きだ。 好きという気持ちを正直に表したのは類だけだが
俺たちは全員知っていた。 お互いに牧野に惚れていることを・・・
天下のF4が揃って惚れた相手が牧野だ。 だが、牧野が惚れたのは司だ。
俺たちは何があっても、親友の女を奪わないし、彼女を傷つけることはしない。
そこが滋との違いだろう。俺たちは友を大事にする。
俺たちは友達というものが少ない、牧野のように気軽に友達を作ることができない。
だからこそ、友達を裏切るようなマネだけはできない。
滋は・・・それに気がついていない。 今、滋は孤独だろう。
俺たちはいない、桜子ももう友達ではない。 本当に全てを失っても司が欲しかったのだろうか。
「司はつくしを思い出さなかったじゃない! 二人が両思いだってわかったから一度は身をひいた!!
どうしてまた・・・私が身を引かなければならないの? 司が思い出さないのなら最初からやり直してもいいでしょ。
もともとは私が司の婚約者だったのよ!!!」
最後は叫びだった。 おそらく滋は罪の意識があるのだろう、それをやわらげたいのだ。
それには俺たちの同意が必要なのだろう。
「そうだね、お前は悪くない」と、そういってもらいたいに違いない。
俺たちはそこまで優しくはない。 俺たちは警告したはずだ。
この結婚はうまくいかないと、司にも滋にも警告したはずだ。
俺たちは滋を無視して、司の目の前にたった。
それでも司は動かなかった。
「司?」
呼びかけても反応しない。 何を見ているのか、じっと一点を見据えて座っている。 少し怖い気がした。
「司?」
俺はもう一度、呼びかけてみた。 やはり反応がない。
司の顔を掴んで、無理矢理に俺に視線を合わさせた。 すこしだけ反応した。
「司、大丈夫か?」
「・・・俺は・・・なんで・・・」
言葉にはならない、ただ繰り返している。 今、司の頭の中はこの5年が駆け巡っているのかもしれない。
なぜ、5年間も愛する女を忘れていたのか。
後悔と絶望―
司の深い悲しみが俺たちにはわかった。 このままでは司は危ない。
「司!」
類が突然、大声を出して司を呼んだ。 しかし司の反応は鈍い。
バチン!!! 大きな音が響いた。 類が司の頬を打ったのだ。
俺を押しのけ、司の前に立つと思い切り腕を振り上げて・・・司を打った。
「司、しっかりしなよ。 今さら、過去を振り返って何になるの?」
「類・・・牧野は本当に結婚したのか?」
平手打ちが聞いたのか、司は類を見つめて、しっかりとした声で聞いた。
「ああ」
「どうして・・・なんだ?」
「牧野は5年間、司を思い続けていたよ。 いつ記憶が戻るかもわからない司をね。
でも、もうそろそろ解放してもいいんじゃないの? 別の幸せを求めてもいいでしょ。
司は文句を言える立場ではないでしょ?」
類は容赦がない。 だが、確かに俺たちから見ても司に異を唱える資格はない。
「でも・・・俺は・・・過去じゃない、今なんだよ!! ずっと忘れていたんだ。
あの時から俺の時間は止まっていたんだ。やっと動きだしたのに・・・」
「・・・司、それはないでしょ。 司の時間は止まってなんかいなかったよ。
記憶が戻ってもこの5年間のことは覚えているんだよね。
大河原と結婚したことも、牧野にしたこと、言ったこと全てを。
司はただ牧野つくしの存在を完全に消していただけで、時間は動いていた。
それを止まっていたなんていうのは卑怯だよ。 俺は許せない。」
「類」
俺は打ちのめされた司をこれ以上、痛めつけたくなかった。だが、類の攻撃は止まらなかった。
「大河原と結婚したのは司の意志だよ。 俺たちはみんな反対した、それも覚えているね?
それなのに、お前は強硬に結婚をしたんだ。 たとえ親がお見合いさせても断ることだってできたはずだ。
大河原はお前の記憶喪失につけこんだけど、アイツだけを責められないよ。
お前が自分で決断して、今のこの状況をつくったんだ。」
「なんで・・・なんで忘れたんだろう。 なんで大事な女を忘れたりできたんだ?
なんで・・・なんで・・・俺は・・・」
「今、それを考えても仕方ないよ。 実際に司は牧野を忘れたんだし、今更その原因を知って何になるの?」
俺たちは司のこんな惨めな姿を見るのは初めてだった。
「司、牧野はお前に忘れられて・・・あのボールをぶつけられた日に諦める決心をしたんだ。
お前は海って子を大事な女だと思いこんで、牧野にひどいことを言ったし、
あの日は牧野が持ってきた思い出の品を捨てろとまで言ったよね。
あれを見て、お前が思い出してくれることを願っていたんだ。ダメだったけど。
それで牧野はもう限界だったんだ。 その日をさかいに俺たちの前から姿を消したんだ。」
「オイ、類・・・」
俺と総二郎は、記憶が戻ったばかりの司にこんなことを聞かせていいのか迷っていた。
俺たちの存在を忘れたかのように、類は容赦なく話をすすめていく。
「姿を消した?」
「そうだ、牧野はね・・・」
類はすべてを話した。 英徳高校を辞め、夜学に通ったこと、鷹野財閥に就職し、颯介の秘書になったこと、そして司の結婚会見と俺たちが行ったことを。
そして最後に鷹野颯介と牧野が結婚したことを告げた。
伝え終えたとき、司の目には涙が光っていた。
「なんてことだ・・・」
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