1話.失ったゆえに



>>>>>1話...失ったゆえに>>>>>

あの日、何も出来なかった自分が嫌い
あの日見せた、君の涙のわけもわからなくて

つけっ放しのテレビの音で目を覚ました
神門 真知(みかど まち)はまだ寝ぼけまなこの目をこすりながら
布団の中から手を伸ばし、目覚ましを探った
時計を手にとり、針が記した時刻は7時
「今日…学校だ…」
―…夢を見ていた
長い夢…
いや、短かったかもしれない
君といた、ふたりの時間にくらべると
夢の中でふたり…―
あのころの真知は、ずっとこんな日が永遠と続くものだと思っていた
信じていた…

「あ!おはよう神門さん」
クラスメイトのひとり、時岬 林檎(ときさき りんご)が
教室に入ってきた真知に朝のあいさつをした
しかし真知は
「…」
無で返す
何もなかったように自分の席へと進み腰掛ける
鮎河 明(あゆかわ めい)と白須 潤珠(しらす じゅんじゅ)は
林檎の元へ駆け寄った
「もーう!林檎、神門さんなんかにあいさつしなくていいよ」
明が言うと潤珠も続ける
「そうそう!こっちがなに言ったって無反応なんだモン」
「…でも」
林檎はふたりの言葉に納得できない
だって林檎は知っていた
今の真知は真知であって真知でないことを…
「神門さんは恐れてるだけなの…」
「え?」
「恐れる?」
明と潤珠は、林檎の言葉に意味がわからず言葉を返すが
それ以上、林檎はなにも喋らなかった

「ねぇー、林檎はなんであんなに神門さんに気をかけるのかな?」
明が潤珠に問いかけた
「あ!それ潤珠も思った!!」
今日も終えた、学校の帰り道
話は真知と林檎の仲について
「たしか小学校から一緒って聞いたことはあるんだけどね」
「それ本当?潤珠、はじめてきいた!」
びっくりしたように目を丸くする潤珠だが
だからといって、考えられる繋がりはただそれだけ
「小学校の時、仲良かったのかな?」
潤珠の言葉に明は
「ンなワケないじゃん!」
と即答に否定した
性格も正反対なふたり
人気者の林檎にいつもひとりの真知
「それにしても、神門さんってアレどうなんだろうね?」
明の言うアレとは真知の態度のこと
「うーん…“友達なんて要らない”…みたいな」
...........さしえ............
ひとりぼっちだからと話しかけていくクラスメイトを
ことごとくシカト
今では、真知に話しかける人など林檎ぐらいだ
「ふたりの関係…か、謎…だな」
明に対し潤珠も
「謎…だね」


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>つづく>>>>




© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: