ムスコ誕生


12時過ぎたのでようやく病院に向かった。
20分間隔だった陣痛もだんだん15分くらいになってきた。

病院前では夫の両親がムスメを預かってくれるため
待っていた。夜中に急にジジババに預けられたムスメは眠いのもあって
おお泣きだった。

夫と一緒に産婦人科へ向かう。
診察の結果やはり陣痛。入院手続きをとって陣痛室に向かう。
今回私は夫に「立会い出産」をお願いしていたのだが
夫はあまり乗り気ではなかった。手続きをしていると
立会いに必要な同意書を忘れたことに気づいた。
安堵する夫。しかし私はちゃぁ~んと印鑑を持参していた。
これなら新たに同意書が作れる。夫がっかり。

夫の付き添いのもと陣痛室に入ったが
五時過ぎても陣痛はあるものの赤ちゃんは下に降りてこない。
ちょうど新しい妊婦さんが陣痛室に来ることもあり
看護婦さんに「当分産まれそうにもないので
ご主人は一度帰宅して結構です。」といわれた。
先ほどされた浣腸が効いてきて私がトイレにこもっている隙に
夫はとっとと退散してしまった。
冷たいやつだ。と一人陣痛に苦しんでいると
看護婦さんが様子を見に来た。
夫がいなくなってから30分足らずだったが
急に胎児が下がってきたらしい。
分娩台にあがるよう指示された。

どうも看護婦さんは出産は午後になると思っていたらしいようで
夫を帰宅させたのを心苦しく思ったらしい。
「お電話したんですけどまだご主人戻られてないみたいです。
ご主人が来るまで我慢してくださいね」
いやいや夫はもういいよ。とにかく早く産ませてくれぇ~
と祈る思いであった。
別に夫のそばで産みたかったわけではない。
出産するときの苦しみをちょっと夫に分かち合ってほしかっただけなのだ。
夫も5時間近く私が呻いている姿をみたから十分だ。
夫なんかどうでもいいよ!と思っていたら
「よかったですね~ご主人来ましたよ!」
夫は自分の実家に戻っていたのだが連絡を受け
そのままとんぼ返りでかけつけたらしい。
夫が到着するのを待っていたかのように
おなかの子供はあっさりと産まれてきた。
1999年9月29日6時21分ムスコはこの世に生を受けた。



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