九號の巣窟

九號の巣窟

エム




僕の奏でるMが聴こえ始めた。
それは、もう、二度と、かき消されたりはないの。

今さら、伝えたいことは無い。何度もコピーされた、メロディの割り方なのでしょう。
匂いとか、温もりとか、すぐに欲しいものは、手近には表せぬものなのだと…気が違いそうになるのに…

今さら、伝えたいことは何?何度もコピーされた、リズムの取り方なのでしょう。
話し方、指折り方、すぐに思い出してしまうのは、こんな夜、深緑の支配している。

例えば…
「ウソツキでした あの時見せた 仕草はただの 強情っぱりの意地(つよがりのけっか)。」
せめて…
        「何かは あれからずっと 変われない あたしに 釣り合いの取れるものを残して。」

せめて…
 「何かは あれから きっと きっと… 重ねて 重ねて…」


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: