九號の巣窟

九號の巣窟

Az




「君の瞳はいつか輝くために空がくれたの」
あれから止まない雨の中で俯く君に届くように
粉雪舞う空に向かい微笑む君の頬を伝う僕を
消して
もう同じ時間を生きていけない
君と歩むことができない僕が
あの頃奏でた言葉は色褪せず君を蝕む

君のかじかんだ手に吐息溶かして温もり分け合う事もできない

このスピードに現実を乗せて
記憶の向こうで「季節」越えられない君に届けて

終わりと始まりを

木葉のように揺れる
さ迷い心は
冬空に溶けず帰る場所にはぐれ佇む

ねぇ雪よ
泣きすぎて涙も枯れたアスファルトのような心の上に
少しずつ染みて積もり
やがて埋め尽くして僕を消してください

そして君よ
真っ白な表面に鮮やかな明日を描いて
踵を鳴らして飛び込んで

「手を離した僕はもういないよ」
ねぇ、届いて
お願い いつだって笑顔を絶やさずにいてね

傘を差し出す違う誰かに寄り添ってすれ違う
嬉しいけれど涙が止まらないよ


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