ある夫婦の始まりから終わりまで・・          (ノンフィクション)

ある夫婦の始まりから終わりまで・・          (ノンフィクション)

地獄

個室に移ると、1人で感傷にふける事が多くなる。

心配して両親は、毎日午前と午後、病室に来てくれた。

その時の私がよっぽど沈んでいるように見えたのだろう。

自殺なんてしないで! というような事を言われた。

言われて気付くが、病室には飛び降りるに絶好の窓がある。

何度か窓を乗り越えてみたが、飛び降りる勇気は無かった。

退院後、数日間実家で体を休めて自分の家に帰る。

ちょうど出張で東京に来ていた元夫が駅まで迎えに来てくれた。

ちなみに、入院中に元夫が病院を訪れる事は一度も無かった。

元夫と共に、既に冬のように寒いN県へ帰る。

私の両親は、私の入院から退院、そして亡くなった子の火葬まで

行ってくれた為、ある意味、私以上に辛い思いをさせてしまった。

当時は自分の事だけで精一杯だった為、そんな両親の気持ちまでは

想像すら出来なかったが、今思うと、あの時を共有していた。

それに対して元夫や義父母には、終わった事だったのである。

そのギャップにもどかしさや、怒りを感じ、何度も元夫に爆発させた。

なんで?亡くなった子に愛情は無いの?

正直言って無い。

元夫の言葉が私を壊した。



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