村上の話を聞いていて、私はわけもなく泣いてしまう事がよくあった。そういう時、村上は「後遺症、後遺症」と言って私の頭をぽんぽんと軽く叩いて、決して深く聞こうとはしなかった。単にどろどろした話を聞きたくないだけだったのだろうが、私には救いだった。その頃では、村上のおかげで、もう死神からは復活していたが、一人になるとやはりまだ私は大石との事を考えていた。村上はバンドマンを目指していた。いつも派手なカバーに包まれたエレキギターを抱えて事務所に来ていた。村上の話すバンドの話、学校の話、自分がいかに貧乏な一人暮らしをしているかという話は、それがストレートにありのままなだけに切実だったが、村上の口からそれが語られると、私はどうしても笑いながら泣けてしまうのだった。私は村上と話すのがとても楽しみになっていた。考えた私は、花束のお礼と称して、毎日お昼を奢ってやっていた。スパゲッティやカツ丼をかっ込みながら話す村上を、私はずーっと眺めていたいと思っていた。

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