どのくらいそうしていたのだろう。大石のマンションの前で佇んでいた私は、いきなり肩を叩かれて、驚いて声をあげてしまった。「やっぱりチサトだ。いつ来たんだい、びっくりしたなぁ」寒そうな大石の笑顔がそこにあった。私は結局何も言えず大石に飛びついて泣いていた。大石は全く変わっていなかった。大石の胸は暖かく、笑顔は優しくて、私は今までこだわっていた事などすっかりどうでもよくなって、いつまでも大石に抱きついたまま泣いていた。母親に怒られて泣いていた私を慰めてくれた子供の頃のように、大石は何も聞かず私の頭を撫でていた。「このまま朝までこうしてるか?二人して氷の像になっちゃうぞ」そう言いながら大石は私の背中を押して部屋に連れて入った。大石の部屋はそう広くはなかったが、予想どおり綺麗に片付けられていた。オイルヒーターをつけながら「来てくれて嬉しいよ」と言う大石に私はまた涙が止まらなくなっていた。やはり私には大石しかいない。自分でも呆れるほど繰り返した思いが、身体の芯が暖まってくるにしたがって、また私を支配しようとしていた。![]()

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