赤いライオンを探して

赤いライオンを探して

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2010/01/04
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カテゴリ: カテゴリ未分類

僕は、笑っていた

その男に向かって

僕は、笑っていた

その男の肩越しの

ガラスに写る僕の顔は

その笑顔を維持しようとして

酷く歪んでいるようだった

ああ、今の僕の姿が

卑屈ということなのだろう

すでにその時僕は失っていたのだろう

人間としての大切な何かを

仕方が無いじゃないか

この人に嫌われるとこれからの生活が

苦しい物になる

その時僕はそう思った

自分の卑屈さをごまかす為に

現実の生活を理由にして

僕は、まだ独りにはなりたくはなかった

自分の気持ちに嘘をついても

そこにいなければならないと思っていた

だから僕は笑っていた

いつもその歪んだ笑顔を顔に貼り付けて

笑いが僕の心を空っぽにしていく

彼女は独りだった

彼女の周りには世界があった

荒野に直立する太い樹のように

荒んだ世界に独りで立ち向かっていた

そこには媚もへつらいもない

怖いこと

僕が恐れること

寂しさや痛み、死ぬこと

彼女はそれらにも真正面から立ち向かっていた

人生が妥協の産物だとすれば

妥協せずに生きて行く為には

ある程度の力が必要になる

僕のような卑怯者は妥協しながら

適当に楽しいと思って生きて行くしかないと思っていた

大事な事はなにがなんでも勝ち残ること

後ろに隠れていても

最終的に生き残って

倒れて行く者を踏み越えて

欲しい物を手に入れる事

彼女は、恐れずに

自分が対峙している世界の理不尽さに

それがどんなに強い向かい風でも

しっかり前を向いて立ち続けていた

僕の憧れだった

その姿は僕にとっては眩し過ぎて

遠くから見ているだけだったけれども

彼女は微笑んだ

不敵にも

来るなら来なさいというように

微笑んだ

その笑顔こそが

僕が本当にしたい笑顔だった






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Last updated  2010/01/04 11:56:50 PM
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Comments

梨花7777 @ Re:笑顔(01/04) 今年も宜しくね。 笑顔は人の心幸せに…
村雨十郎太 @ Re[1]:笑顔(01/04) 小雪牡丹さん >昨日 漫画のカイジを六…
村雨十郎太 @ Re:卑屈な(01/04) pluto2103さん >笑顔でも泣き顔よりいい…
小雪牡丹 @ Re:笑顔(01/04) 昨日 漫画のカイジを六巻まで読んだ。 …
pluto2103 @ 卑屈な 笑顔でも泣き顔よりいいさ 辛いときバカ…

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